イーロン・マスクによる買収後に起きた『X/Twitter』の主な機能変化をまとめてみた

まもなくXではブロック機能の仕様変更が実施予定。具体的には「ブロックされた側のアカウントは、ブロック元のアカウントの投稿を閲覧できる」ようになります。2024年9月24日には、XのCEOであるイーロン・マスク氏が「Xでブロックした相手も公開アカウントの投稿は閲覧可能になるべき」とXに投稿していたこともあり、この仕様変更は同氏が主導したものである可能性があります。

2022年4月にイーロン・マスク氏によって買収されたX(旧Twitter)。ブロック機能の変更にとどまらず、Xは「旧Twitter」とは良くも悪くも機能の多くが変わりました。「マスク氏による買収後のTwitterは使用したくない」という方も、この記事をお読みの方の中にはいるのでは?

そこで、今回はマスク氏買収後に起きたX(旧Twitter)の変化についてまとめました。

「スーパーアプリ」を目指すX(Twitter)で主に起きた変化

マスク氏はX(Twitter)に決済機能の搭載を表明済みであり、あらゆる機能を搭載した「スーパーアプリ」にする方針を掲げています。たとえば生成AI機能「Grok」の提供開始や、求人機能「X Hiring」の開始などはその一環であると見られます。

加えてマスク氏は「botの排除」に取り組んでおり、Xの一部機能の有料化などがbot排除策に含まれていると見られます。botを排除したうえで質の良いユーザーをプラットフォームに残し、それらのユーザーに対して「スーパーアプリ」的な決済機能などを提供する狙いがあると考えられるでしょう。

そんなマスク氏が買収を行った後、Xに起きた主な変化をいくつかご紹介します。

名称とロゴの変更及びドメイン変更

2023年7月24日、旧Twitterはブランド名称を「X(エックス)」に変更しました。それに伴い、青い鳥のロゴも廃止し、新しい「X」のロゴへと移行が開始されました。

なお「X」への名称変更後も、ドメインはしばらく「twitter.com」が使用されました。完全に移行が完了したのは、名称の変更から約1年後の2024年5月でした。

求人検索機能「X Hiring」

「スーパーアプリ」的な機能の1つとして、公開された機能には求人検索「X Hiring」が挙げられます。同機能は2023年、まずは認証済みの組織を対象に提供開始された求人機能です。「X Hiring」の求人をベースに、2024年には求人情報検索サービス「X Job Search」を全ユーザーに向けて公開しています。

Xは「スーパーアプリ」の一環として、一種のビジネスSNSとしても利用される未来が近い可能性があります。一方でユーザーがbotの場合は「求人」の価値が下がるため、マスク氏はbot排除を強硬に行っていると言えるのではないでしょうか。

アカウントなしでの閲覧制限

Twitter時代は「アカウントなし」でも、ブラウザ版から投稿などを閲覧することが可能でした。しかし仕様変更により2023年6月30日頃から、アカウントなしでの閲覧に制限がかかるように。

Xはアカウントなしでは「検索」「返信」「リポスト」「いいね」など、ほとんどの機能は表示されず、使用もできません。Xは「見るだけ」のユーザーは良くも悪くも排除の方向に向かい、アカウントを持つ「ロイヤルユーザー」を対象としたサービスに変貌しつつあります。

API利用の有料化

Xは収益性の改善にも乗り出しており、2023年2月にはAPIの仕様変更と有料化を発表しました。

従来のTwitterは、開発者にとっては無料APIを用いてできることが非常に幅広く、サードパーティー製アプリなどを開発しやすいサービスでした。いわゆる「Twitterクライアント」がかつて多数リリースされていたのは、APIの柔軟性と安さが要因です。

(画像は「黒歴史クリーナー」より引用)※閉鎖前に筆者が撮影したもの

APIの仕様変更と有料化に伴い、その影響を受けたと思われる有名なTwitter関連サービスは続々サービス終了に追い込まれました。たとえばツイ消しツールとして有名だった「黒歴史クリーナー」などが終了しています。

ユーザーにとっては「Twitter関連サービス」が続々使えなくなったため、不便さも大きいです。一方で、API有料化によって、Xは「開発者」や「SaaS企業」から収益を得る機会を得られるようにもなりました。

X Premiumと「Grok」

個人ユーザーを対象とした有料プランである「X Premium(旧:Twitter Blue)」も、マスク氏の肝いりのサービスとして有名です。

X Premiumに加入することで利用できる機能には「青い認証バッジの付与」「長文投稿」など様々なものがあります。加えて、マスク氏が特に注力度を高めている機能には「プレミアム」および「プレミアムプラス」で利用できる生成AI「Grok」へのアクセスが挙げられます。

「Grok」とは、xAI社が開発・公開している対話型のAI。2024年7月から、Xはユーザーの投稿をAIの学習に利用開始。Twitter時代から蓄積された大量の投稿データを学習することで、Twitterユーザーらしい「ユーモア」や「人間っぽい言動や知見」などを学んだAIモデルとして成長していくことが期待されます。

一方で「Xへの投稿がAI学習に利用される」ことはユーザーからの反発も大きく、物議も醸しています。

クリエイター広告収益分配プログラム

Xは
・Xプレミアムアカウントであること(または認証済み組織アカウント)
・過去3カ月間でオーガニックインプレッションが500万以上あること
・プレミアム会員のフォロワーが500人以上いること
といった条件を満たしたユーザーを対象に、2023年8月から広告収益の分配プログラムを開始しました。Xで精力的に活動するインフルエンサーらにとっては、マネタイズの機会が拡大しています。

「改悪」とは言い切れない意欲的な機能も存在する

「Xの変化」を改めて見直すと、必ずしも「改悪」とは言い切れない意欲的な機能変更も少なからず存在しています。たとえば「求人検索機能」は、マスク氏が掲げるスーパーアプリ構想の一端がうかがえる機能であり、法人にとっては採用手段、個人にとっては一種のポートフォリオがわりにXのアカウントを使うことも可能になるでしょう。

また厳密にはマスク氏の就任前から運用されていた機能のため、紹介を省きましたが「コミュニティノート」もマスク氏の肝いり機能であり、Xへのブランド変更後も極めて活発に使われているものの1つです。

マスク氏が主導するXの様々な変更は議論の対象になりやすいですが、「改悪ばかりである」とも必ずしも言い切れないでしょう。

X(Twitter)の価値はマスク氏買収後「8割下降」か

一方で「X」からはTwitterが持っていた自由な空気や、親しみやすさは少なからず失われたと言えるでしょう。また「見るだけ」のユーザーにとって使いづらいサービスとなったことは、ユーザー数減少を招いている可能性もあります。

事実として2024年10月、米資産運用大手のフィデリティがイーロン・マスク氏の買収後のX(旧Twitter)の価値が8割近く低下したことを公表し、大きな話題になりました。フィデリティによるXの推定価値は94億ドルで、マスク氏がXを買収した際に支払った440億ドルも大きく下回る評価額となりました。

マスク氏の挑戦は「野心的」ではありますが、企業価値の観点から見た際に「更なる企業価値の低下が起きた際に、X及びマスク氏は企業体力の面で持ちこたえられるか」は注目の点です。

※サムネイル画像(Image:Alejandro_Munoz / Shutterstock.com)

オトナライフ編集部
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