通販サイトやアプリにログインする際、メールアドレスとパスワードでアカウントを作ってログインするのは面倒ですよね。そこで大きく普及したのがSNSアカウントやGoogleアカウントでログインする「ソーシャルログイン」。
そしてソーシャルログインに広く用いられるSNSの代表格だったのが「Facebook」。たとえば食べログなどはFacebookログインできるサイトの代表的な例でした。しかし、実はFacebookでログインできないサイトが増加中です。では「Facebookログインできるサイトが減少している」のはなぜなのでしょうか? その背景と影響について詳しく解説していきます。
「食べログ」がFacebookログインの機能を終了
Facebookログインの機能を終了した代表的なサービスには、飲食関連の口コミサービス「食べログ」が挙げられます。
「食べログ」は2024年8月5日にFacebookログインを終了。それまでFacebookでログインしていた人に対しては事前に移行手続きが促され、2024年8月5日以後は「Facebook」がログイン方法の一覧にも表示されなくなりました。
近年は食べログのほかにも、様々なアプリや口コミサイト、通販サイトでFacebookログインが続々終了しています。
たとえば2022年には動画配信サービス「Hulu」がFacebookログインを終了。2023年にはアプリ「パズル&ドラゴンズ」が機能を終了。そして2024年には先に述べた食べログのほか、バンダイナムコグループの通販サイト「プレミアムバンダイ」もFacebookログインを終了しています。総じて有名サービスで「続々、Facebookログイン機能が終了中」と言えるでしょう。
「ソーシャルログイン」で利用されるSNSはそもそもどの媒体?
Facebookログインの機能終了が相次ぐ背景としては、まず「ソーシャルログインに広く使われるSNSの移り変わり」が挙げられます。かつてFacebookはソーシャルログインに使用されるSNSの代表格でしたが、近年はその座に「LINE」が君臨しています。
株式会社ソーシャルPLUSが2023年2月に発表した「ソーシャルログイン利用状況調査2022」によると、スマホのソーシャルログイン利用回数の割合はLINEが86%で圧倒的1位。PCのソーシャルログインになると、1位が32%のYahoo! JAPAN、次いで2位が30%のGoogleになりますが、Facebookはスマホでも3%、PCでも7%とかなり低い数字になっています。
つまり、Facebookでログインする利用者はかなり少ないといっても過言ではないでしょう。そうなると、アプリや通販サイトの開発担当者にとって「利用者数が減少しているFacebookログインに対応し続ける意味はあるのか」と疑問に感じるかもしれません。また、多様なログイン方法に対応するサービスは、裏を返せば「どのログイン方法でも安全であること」を保証する必要があるといえます。
利用者数が少ないログイン方法を提供し続けることと、その運用コストが折り合いがつかなくなりつつあるのが、2024年現在の「Facebookログイン」なのかもしれません。
「ひっそり終了するFacebookログイン」の問題点は?
もっともFacebookログインがひっそり終了することには、問題がないとは言えません。その問題点とは、会員が「ソーシャルログインの廃止」の通知などを見逃した状態で、機能廃止を迎えた場合「再ログインする」ことが困難になってしまう可能性がある点です。
たとえば2022年末には、クラウド会計ソフト「freee」がFacebookログインを廃止。Facebookログインの廃止が年末であったことから、2023年の年始に確定申告の作業を行おうとしていたフリーランスが「Facebookログインができない」ことに廃止後に初めて気付き、問題となるケースが多発しました。なお、freeeの場合はソーシャルログイン時に利用しているメールアドレス+設定したパスワードの組み合わせにより、Facebookログイン廃止後もメールアドレスでのログインが可能です。
とはいえ年末年始の休暇で、サポートが手薄になりがちな時期に「確定申告の時期であるにもかかわらず、会計ソフトにログインできない」ことの戸惑いは、決してユーザーにとって小さなものではないでしょう。
同様に各種通販サイトやサブスクリプションサービス、アプリにおいても「クレジットカード情報を紐づけたままのアカウントに、ソーシャルログインができなくなり、代替のログイン手段も分からない」場合、大きく混乱してしまうユーザーは少なくないでしょう。
プラットフォーム側はソーシャルログインを廃止する場合、廃止までの猶予期間を長めに設け、なおかつ廃止から数カ月の間は電話、チャットなどの手段によって即時にユーザーからの問い合わせに答えられる体制作りが求められるかもしれません。
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