「台風コロッケ」「吉野家コピペ」「電車男」。これらは、主に2ちゃんねる（現：5ちゃんねる）のスレッドで話題となったモノが現実になった結果であることをご存じだろうか？ 今回は、そんなネットの書き込みが現実になった珍しい事象を3つ紹介しよう。
台風でなぜかコロッケがバカ売れ!? その秘密とは？
世の中にはネットで話題になったモノが現実の世界に定着することがある。その代表格が「台風コロッケ」であろう。2001年、日本列島に上陸した台風11号。まさに台風11号が猛威を奮っていたそのときに、2ちゃんねる（現：5ちゃんねる）のニュース速報板にひとつの書き込みが行われた。「念のため、コロッケを16個買ってきました。もう3個食べてしまいました」。この書き込みが当時の“2ちゃんねらー”たちにバカ受けし、これ以降2ちゃんねらーの間では台風が来る度に、非常食としてコロッケを仕入れることが流行したと言われている。
その後、この奇習が徐々に2ちゃんねらー以外にも広がっていき、台風になると一部のスーパーでコロッケの値引きセールなどが行われるようになっていった。しかし、2017年の台風18号上陸の際、イオン傘下の店舗でコロッケが完売するという異常事態が発生すると、それ以降、イオン以外の大型スーパーでも台風に合わせてコロッケのセールが行われるようになっていったのである。ちなみに、2019年の台風19号の際にも大量の台風コロッケが飛ぶように売れたとか……。
台風になるとなぜかバカ売れするコロッケ。まさか、その原因が2ちゃんねるの書き込みだとは、スーパーの仕入れ担当も気づかなかっただろう
2ちゃんねるのコピペが現実に！ 伝説の「吉野家コピペ」とは？
2020年1月、吉野家が発表した新メニューを見た元2ちゃんねらーたちに激震が走った。吉野家が全国で「ねぎだく牛丼」の販売に踏み切ったのだ。もともと「ねぎだく牛丼」は吉野家の築地店でしか頼めない伝説の裏メニュー。しかも「ねぎだく牛丼」は2ちゃんねる伝説のコピペ「吉野家コピペ」に出てくるメニューだったからだ。
「吉野家コピペ」とは、新爆氏が吉野家について面白おかしく書いたブログが元となっている。その歯切れのいい言い回しと毒を含んだ内容が2ちゃんねるで大ウケし、吉野家の部分を他のお店に改変したコピペなども大流行した。しまいには、新爆氏のブログに出てくる“大盛りねぎだくギョク“を、吉野家に行ってみんなで注文するというオフ会を開く
「吉野家オフ」が盛んに行われる事態に……。その後も、新爆氏のブログに出てくる「～小一時間問い詰めたい」といった表現は、いまだネット用語として広く使われているのだ。このように「吉野家コピペ」は、ネット文化に息づくスラングとして、現在でも揺るぎない地位を確立している。
2ちゃんねる伝説のコピペ「吉野家コピペ」に出てくるメニュー「ねぎだく牛丼」。現在、吉野家では全国の店舗で普通に注文できるメニューとなっている
映画化までされたヒット作『電車男』も2ちゃんねるが元ネタ
2020年11月に、2ちゃんねるで有名なスレッド「鮫島事件」が映画化されることになった。その影響もあって、今、Twitterなどで『電車男』が話題となっている。『電車男』とは、2ちゃんねるの書き込みをもとにした恋愛小説で、非モテのオタク男子が電車内でのトラブルをきっかけに、一般の美人OLと知り合い恋人になるまでの奮闘記である。2005年にフジテレビでドラマ化、東宝で映画化されたほか、書籍や漫画、ドラマCDなどにもなって一大ブームを巻き起こしたのはご存じの方も多いだろう。物語としてはありがちな展開だが、特徴的なのは当時のスレ住民たちの意見やアドバイスを参考に、電車男が行動していくところ。リアルタイムで報告される内容にスレ民は一喜一憂し、そのたびにお祭騒ぎになっていたという。その様子はドラマや映画でも上手く表現されているので、気になった人は一度見てみることをオススメする。
『電車男』は非モデのオタク男子が“エルメス”と呼ばれる一般の美人OLと電車の中で出会う話。オタクでなくても憧れる恋愛ストーリーが、当時大いにウケた
いかがだろうか？ 最近ではTwitterやinstagramの方が話題になってしまい、「スレッド」や「板」といった言葉をあまり聞かなくなってきてしまった。だが、まだまだ掲示板文化に多くのユーザーが集い、日々スレッドを更新している。今後、新たな風習や現象などがインターネット掲示板から出てくる可能性もあるので、SNS以外に「5ちゃんねる」や「ふたば★ちゃんねる」などの掲示板にも目を通してみるのも面白いだろう。
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※サムネイル画像（Image:Sean Pavone / Shutterstock.com）