メジャーなSNSのひとつ「インスタグラム」は、他のSNSと比べて若年層を中心とした世間の流行に敏感なユーザーが多いことで知られている。そんななか株式会社Radixは、インスタのハッシュタグボリュームを利用し、日本のSDGsトレンドについての調査結果を発表。日本語でのボリュームと英語でのボリュームをランキングとしてまとめ比較することで、日本と海外でのSDGsトレンドの差について明らかにした。
日本人には環境問題が一番とっつきやすい!?
まず、日本語のランキング結果で目立ったのが、SDGsの17の開発目標のなかでも環境問題に関する単語が多くランクインしていることだ。7位「3R」、14位「プラスチックフリー」、15位「ゼロウエイスト」など、ゴミを出さないことやプラスチック製品を使用するのを控えようとする傾向が高い。2020年7月からスタートしたレジ袋有料化によって、環境問題やゴミ問題をより意識する人も増えたことだろう。また、5位「サスティナブル」、6位「エシカル」などは、日本人の物を大切に使う「もったいない精神」と親和性が高く、日本人がSDGsに取り組むきっかけになりそうなワードだ。
意外だったのは、1位に「ヴィーガン」、2位に「ベジタリアン」がランクインしたことだ。日本人にはまだ馴染みがないように思えるワードがトップ2を占めた。ちなみに、肉や魚を食べない人をベジタリアンと言うが、ヴィーガンはそれに加えて卵、乳製品、はちみつも口にしないのだそう。ヴィーガンの人々がヴィーガンたる目的は、動物愛護や環境のための人もいれば、自らの健康のためなど様々なようだ。
そして、英語のランキングでは、日本語では出なかった「diversity(ダイバーシティ)」(5位)、「genderless(ジェンダーレス)」(11位)など、SDGsの17の目標のなかでもジェンダーに関するジャンルのワードがランクインしている。
ダイバーシティは聞いたことがあるようで、いまいち理解できていないという人も多いかもしれない。直訳では「多様性」という意味だが、特に組織マネジメントの分野において、国籍、性別や年齢などにこだわらず様々な人材を登用し、多様な働き方を受容していこうという考え方のことを指す。昨今ニュースになった女性蔑視問題でも分かったように、一部の人には根強く残る“昭和的な考え“のようなものがあり、多くの日本人はダイバーシティやジェンダーの問題にどのように接していいものか戸惑っているようだ。
また、英語のランキングでは環境に関わることでも、9位の「renewableenergy」(再生可能エネルギー)や、12位の「foodwaste」(食品廃棄物)、15位の「microplastics」(マイクロプラスチック)など、問題が起きているなかでもさらに一歩踏み込んだワードがランクインしている印象。現状では、英語圏の人の方が、自分ごととして問題を深掘りできている人が多いのかもしれない。
インスタや「ツイッター」「TikTok」といったSNSは、どちらかといえばファッションやエンタメといった娯楽要素の強い趣味でメインに利用されているイメージを持つ人も少なくないはずだ。しかし日本国内だけでも、こうしたSDGsのような「いま知るべき、解決しなければならない問題」が広く話題となっていることがわかる。
ネット上では探しにいかないと新たな情報が得られないことは以前から指摘されている。私たちも、こうした「普段知らない情報」を知るために自分から動いていくことが求められるのだろう。一人ひとりが意識を変えていくことができれば、2021年のSNSのトレンドは昨年と一味違った傾向となるかもしれない。
引用元:Instagramのハッシュタグから紐解く海外と比較した日本のSDGsトレンド【Radix】
※サムネイル画像(Image:Ink Drop / Shutterstock.com)