アップルが、新しいUSB-A ― Lightningコネクタ「C189」の提供をスタートしたとMINNEWSが伝えている。アップルのLightningケーブルといえば、EUや中国から「USB Type-C」への統一を、(直接的にではないにせよ)求められているという報道もあり、読者の中には「そろそろiPhoneもUSB Type-Cになるだろう」と考えていた人も多いのではないだろうか。
しかしここにきての新バージョン提供開始。アップルはLightningケーブルを廃止するつもりはないのか?
ロジウム・ルテニウムメッキとすることで、通電不良を解消
アップルはこれまで、USB-A対応の「C89」、USB-C対応の「C94」をLightningコネクタとして提供してきた。今回はC89に代わりC189が提供されるわけだが、これはC89のロープロファイル版で、12W出力に対応とのこと。識別子(PPID)は共通のため、再認証する必要はないとされている。
C189では、これまで採用されていた金メッキではなくC94と同様にロジウム・ルテニウムメッキが採用され、金メッキで生じた黒色酸化による通電不良が解消されるよう。Lightningケーブルは使い続けると端子の一部が黒くなってしまう現象が起こる場合があったが、これを解消するためのリニューアルということなのだろう。
また、C189とC94両コネクタの素材を統一することは、サプライヤーの部材調達をより簡単にし、半導体不足にも有効だとのことで、今回の変更は必然といってもいいかもしれない。
つまりLightningケーブルを廃止するつもりはない?
とはいうものの、Lightningケーブル廃止を願う大多数の人からすれば、「そうじゃなくて、Lightningケーブル自体を変更してくれよ」と感じるのではないだろうか。しかし、今回のアップルのコネクタリニューアルには、EUや中国からの、USB Type-Cへの統一方針に対して断固として戦う姿勢が感じられる。あるいは、USB Type-Cへの変更は時間の問題だから、それまでに新しいコネクタを出して稼げるだけ稼いでおこうということなのか……。
アップルがLightningケーブルをかたくなに変更しない理由の一つとして、アップル関連のアナリストであるミンチー・クオ氏は、アップルに莫大な収益をもたらすMFi(Made for iPhone)プログラムの存在を挙げている。もしiPhoneの充電がUSB Type-Cケーブルで可能となってしまうと、Lightningケーブル関連で挙げている収益がそっくりなくなってしまうということ。その金額ははっきりしないものの、アップルにとっての重要な収益源であり、それがなくなることはアップルの存在自体を脅かす可能性もある。
USB Type-Cの普及を推進する世界の動きに対し、アップルは「1種類のコネクタのみを義務付ける法案は、イノベーションを促進するどころか抑制し、ヨーロッパと世界中の消費者に害を与える」と語っており、Lightningケーブルをより良くしていくことでユーザーからの賛同を得ようとしているのかもしれない。
引用元:MINNEWSは→こちら
※サムネイル画像(Image:charnsitr / Shutterstock.com)