ソニー「LinkBuds WF-L900」を実際に1週間使ってみたメリット・デメリット

「軽い、耳をふさがない、聴きながら聞こえる」と話題のソニー「LinkBuds WF-L900」。これまでのイヤホンは、耳を完全に密閉することで音の良さをアピールするものが多かったが、「LinkBuds WF-L900」はまったく逆を行く斬新なスタイルだ。あまりにも気になったので、自腹で購入して実際に1週間ほど使ってみたぞ! 果たしてどんなところが良くて、どんなところがダメなのだろうか?

ソニー「LinkBuds WF-L900」ってどんなイヤホンなの?

ソニーのワイヤレスイヤホンといえば、強力なノイズキャンセル機能を搭載した「WF-1000XM4」が有名だ。これは、密閉度を高めて外の騒音をシャットアウトして、高音質を追求するタイプである。

しかし、それを完全に否定するかのような、まったく新しいイヤホンがソニーから販売された。それが「LinkBuds WF-L900」である。

「LinkBuds WF-L900」で目につくが何と言ってもその外見だろう。イヤホンの真ん中に穴が開いているので、外部の音が思いっきり入ってくる。

イヤーピースのように見える「フィッティングサポーター」は5つの種類が用意されているが、密閉度を高めるためのものではなく、激しく動いても耳から外れないように“ストッパー”として使うのだ。

これで、本当に今までのように高音質をキープできるのだろうか?

ご覧のとおり「LinkBuds WF-L900」は真ん中に穴があいた独特な形状。音が出る部分はドーナツ型で、円周上から音が出るようになっている

フィッティングサポーターは5種類あるが、リングから出っ張っている部分を耳の中に引っ掛けることで、外れにくくする仕組み。決して密閉度を高めるためのものではない

「LinkBuds WF-L900」の初期設定と使い方は?

「LinkBuds WF-L900」は、専用ケースにあるBluetooth接続ボタンと、イヤホン本体にある2つのタッチセンサーで操作するシンプルな構造になっている。

初回は、イヤホンとスマホをBluetoothで接続しよう。ケース裏側のBluetooth接続ボタンを長押しすると接続モードになるので、スマホから「LinkBuds WF-L900」を登録すればOKだ。

次に専用アプリ「SONY/Headphones Connect」を起動してみよう。すると、Bluetoothで接続されている「LinkBuds WF-L900」を自動認識するので、あとは、「アクティビティー」や「360 Reality Audio」のセットアップを行えばいい。

「LinkBuds WF-L900」を耳に装着するときは少しコツがいる。音が出る部分を耳の穴に合わせて押し込み、タッチセンサー部分を上にはめて、フィッティングサポーターを耳の内側に固定するイメージだ。

こちらが「LinkBuds WF-L900」の専用ケース。この状態でBluetooth接続とUSBでの充電ができるようになっている

ケースの背面には、Bluetooth接続ボタンと充電用のUSB Type-C端子が装備されている。Bluetooth接続ボタンを長押しすると、前のランプが青く光るのでスマホと接続すればOKだ

専用アプリ「SONY/Headphones Connect」を起動して、「接続」を押す(左写真)。すると、すぐに「LinkBuds WF-L900」が認識されるので「セットアップ」ボタンを押そう(右写真)

「セットアップ」では、ヘッドホンの使い方を記録して振り返ることができる機能「アクティビティー」や、耳の形に合わせて最適な音場を再現できる設定「360 Reality Audio」の設定を行う

セットアップ後のチュートリアルでは、正しい装着方法やフィッティングサポーターの交換方法、「ワイドエリアタップ」による操作方法などが紹介される

実際に「LinkBuds WF-L900」を装着した状態がこちら。装着はコツを掴むまでは少し不安になるが、慣れると走っても落ちる心配はない

「LinkBuds WF-L900」は究極の“ながら聴き”専用イヤホンだった!

実際に1週間「LinkBuds WF-L900」をいろいろなシーンで使ってみたが、とにかく何か作業中に使う“ながら聴き”が最適だった。

筆者は2月からずっと自宅でテレワーク中だが、パソコンで原稿を書いているとき、電話や会議アプリの呼びかけなどにも即座に反応できた。

さらに、散歩中や自転車での移動中にも「LinkBuds WF-L900」が役に立った。「BGMを聴きながら走りたいが、耳を完全に塞ぐと危ない」といったシチュエーションでは、最高のイヤホンであろう。

また、正しく装着すればランニングでイヤホンが外れる心配もなく、防水(IPX4)なので多少の雨でも問題ないはずだ。

ほかにもある「LinkBuds WF-L900」の意外なメリットとは?

実際に「LinkBuds WF-L900」を使ってみて良かった点を紹介しよう。

まず、装着感がなく長時間付けていられること。本体が軽く、カナル式のように耳に押し込んで密着させるタイプではないので、長時間装着していても痛くなることがない。

次に、筆者は自宅でのテレワーク中もずっと「LinkBuds WF-L900」を使っていたが、マイクが搭載されているので、Google MeetやDiscordといったオンライン会議でも利用可能。しかも、意外とマイクは高性能であった。

また、「LinkBuds WF-L900」は左右で独立して使えるため、長時間連続使用も可能であること。充電が切れそうになったら、片方を外して充電しもう片方だけを単独で利用することもできる。

そして、喋ると再生が一時停止される“神”機能があること。実はこれ、スマホ用アプリ「Headphones Connect」でイヤホンのアップデートを行うと使える機能なのだが、再生中に喋ると再生が一時停止されるのだ。

これは「スピーク・トゥ・チャット」という機能で、利用者が喋ると自動的に一時停止され、会話を邪魔しないのだ。たとえば、コンビニでの買い物でいちいちイヤホンを取り外さなくてもいいのは、とても助かった。さらに、一度スマホ側で設定を行うとイヤホンにもその設定が保存され、ほかのプレイヤーにイヤホンを接続してもこの機能が使えるのだ。この、痒いところに手が届く仕様も非常に便利だと思う。

「LinkBuds WF-L900」の神機能は、ユーザーの声を認識して一時停止してくれる「スピーク・トゥ・チャット」だ。何しろ咳払いでも止まってしまうほどの敏感なのである

「LinkBuds WF-L900」のデメリットはやっぱり騒音だった!

ここまで「LinkBuds WF-L900」のいいところばかり紹介してきたが、1週間使ってみて良くない部分も紹介しておこう。

まず、「LinkBuds WF-L900」の音質は必ずしも最高クラスではないこと。Bluetoothの接続方式がSBCとAACだけなので、ハイレゾ音源は再生できないのだ。やはり「ながら利用」がメインなので、音質にこだわりのある人にはおすすめできない。

次に、ケースのオープンボタンが押しづらいこと。素手なら問題ないだろうが、ボタンがケースの曲面についているので、手袋をしているときは滑ってなかなか押せなくてイライラした。

また、「LinkBuds WF-L900」のバッテリーは「5.5時間の連続使用」を謳っているが、筆者利用では実際にはそこまで持たず、3時間ぐらいで切れてしまった。利用状況にもよるだろうがもう1時間くらいは持ってほしかった。

そして、もっともガッカリしたのが、地下鉄など大音量の場所だと音楽が聴こえなくなること。ある程度予想はしていたが、実際に騒音が大きい場所では音楽がかき消されてしまうのだ。

実は、音量を自動で調整する「アクティブボリュームコントロール」もあるが、音が勝手に変換するのであまり安心しては使えない。通勤電車での使用をメインで考えているなら「LinkBuds WF-L900」はやめておいたほうがいいだろう。

最後に、筆者はいつも音楽を聴きながら寝るのだが、「LinkBuds WF-L900」を装着して横向きになると、耳が痛くなってしまうのもやや残念な部分であった。

ケースのオープンボタンが曲面についているため、非常に押しづらい。さらにケースも滑りやすいので何度か落としそうになった

まとめ

いかがだろうか? 外の音を聞きつつ何かの作業を行う“ながら聴き”にソニー「LinkBuds WF-L900」は最適だ。

家事や育児中、あるいは自宅でテレワークを続ける人などには、かなり使い勝手がいいと思う。

ただし、高価な割に音質はさほど良くないため、純粋に高音質で音楽を楽しみたい人にはおすすめできないし、通勤電車内では騒音で音楽が聴こえなくなるため、使用するシーンを選ぶイヤホンだと言えるだろう。

筆者の個人的な意見としては、ケースのオープンボタンだけは、今すぐにでも改善してもらいたいところだ。

●ソニー「LinkBuds」(公式)→こちら
●ソニー ワイヤレスイヤホン LinkBuds WF-L900(Amazon)は→こちら

西澤浩一
アニメやゲーム、ニコニコ動画関連書籍の編集に携わり、今ではオーディオ、生活雑貨、マネーなどさまざまなジャンルに手を広げている。趣味は乗り鉄であり、休日はフリーきっぷ片手に日本全国を徘徊中。お気に入りは青春18きっぷで乗れるリゾートしらかみ。他にもゲーム、マンガはもちろん映画鑑賞も趣味のひとつ。

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