Apple社が開発した、仮想現実と拡張現実を組み合わせた映像体験ができる、ヘッドセット「Apple Vision Pro」。6月5日に開催された開発者向けイベント・Worldwide Developer Conference(WWDC)で発表されると、瞬く間に世界中を速報が駆け巡り、ユーザーたちの興味を引きつけた。SF映画さながらに、デジタルインターフェースを声や手指の動きで操作できる革新性だけでなく、人々の注目を集める要因となっているのはその価格。約3,500ドル(約50万円)というヘッドセットとしては破格の金額に設定されている。
物価高騰に苦しむ世の中にあって、プレミアム価格は議論を呼んでいるが、Apple社ではそうした声をあらかじめ予測していたようだ。早くも廉価版の開発を進めているという情報が流れている。
「50万円」の衝撃! Apple Vision Proの規格外の仕様に注目が集まる
スマートフォンが当たり前のものになり、アプリやSNSを使えば簡単に世界中の人とつながることができ、個性豊かなエンタメを楽しめる。そのようなコンテンツ飽和時代に、いままでにない好奇心を与えるのがApple Vision Proではないだろうか。
公式サイトには商品ページが開設されており、Appleらしい洗練されたデザインに詰め込まれた機能が垣間見える。「デジタルコンテンツと物理的な空間をシームレスに融合させる」というメッセージどおり、ヘッドセットを装着すれば、その場所がオフィス、映画館になり、さらにはインターネットの世界に飛び込んだかのような没入感を味わえる。さらには、指や手を動かすだけで画面を操作でき、SF映画で描かれた近未来の日常がすぐそこまで来ていることがわかる。アメリカを皮切りに2024年から発売されるようだ。
約50万円という価格設定は、Apple社としての自信の表れだろう。iPhoneをはじめとした高性能なモバイル製品、Apple Watchのウエラブルデバイスの開発にともなう数十年の経験の結晶がApple Vision Proであり、「素晴らしい体験」というかけがえのない価値を提供できるのであれば、その金額は決して高くないはずだ。ただ、世間一般の感覚からすると50万円のヘッドセットは簡単に手が届く代物ではない。そうした消費者心理をApple社が知らないはずもなく、より多くのユーザーが体感できるよう安価なモデルを開発しているようだ。2025年の発売が予想され、通常モデルの発売からそう遠くない未来だ。
廉価版は40万円前後? Apple社の“企業努力”に期待
気になるのは廉価版Apple Vision Proの価格だが、米国メディア・Bloombergに寄稿したマーク・ガーマン氏は搭載機能や生産プロセスを見直し、規模の経済が働くことで数百ドルのコストカットが見込めると予想している。Apple社といえば機能を絞ったiPhone SEシリーズで、仕様の取捨選択が巧いことを証明しているだけに、Apple Vision Proにおいても価格はお求めやすく、機能は高水準という消費者、ニーズに応えてくれることを期待せずにはいられない。
※サムネイル画像は(Image:「Apple」公式サイトより引用)