ソニーの完全ワイヤレスイヤホンの最新型「WF-1000XM5」と、前機種「WF-1000XM4」は何が変化したのか? 前機種の「WF-1000XM4」はかなり完成されている機種なので、本当に「WF-1000XM5」に買い替えるべきか悩んでいるユーザーも多いでしょう。そこで今回は「WF-1000XM4」ユーザーの筆者が、実際にこの2機種を比較して、買い替えるべきなのか検証したいと思います。
「WF-1000XM5」は小型化されコーデックも強化されている!
ここ数年で、イヤホンジャックが搭載されていないスマホが増えてきたため、今や完全ワイヤレスイヤホンは必需品になってきました。
最近は100均のダイソーでもわずか1,100円で売られていますが、やはり音質は値段なりのもので、とても音楽フリークを満足させられるものではありません。
そのようななか、23年9月1日にはソニーの完全ワイヤレスイヤホンに待望の新機種「WF-1000XM5」が発売されました。
前機種「WF-1000XM4」が21年6月発売なので、実に2年ぶりのモデルチェンジとなるため、ソニーファンは大いに注目していることでしょう。
そこで、WF-1000XM4ユーザーの筆者も、さっそくWF-1000XM5を購入してしました。価格はクーポンを利用して4万1,800円。前機種のWF-1000XM4は3万6,300円なので、実質的な価格差は5,000円ほどしかありません。
●ソニー「WF-1000XM5」は→こちら
届いたWF-1000XM5を開封してみると、封入物はイヤホンと充電用ケース、充電用のUSB Type-Cケーブル、説明書、イヤーピース4種類(Mサイズ装着済み)となっています。
2機種を比べて、まず気付くのがWF-1000XM5はWF-1000XM4よりも小型化されており、イヤホン本体も片方だけで7.3gから5.9g、体積は25%も軽減されていることです。
イヤホンが小型化されたため装着感は非常に軽く感じますし、耳への圧迫感がかなり少なくなりました。
WF-1000XM5の本体が小型化されると、心配になるのがバッテリーの持ちと連続再生時間ではないでしょうか?
でも心配いりません。WF-1000XM5の再生時間はWF-1000XM4と変わらず“イヤホン本体のみ・NCなし”で12時間、“イヤホン本体のみ・NCあり”で8時間となっています。
つまり、ケース充電を入れればNCなしで最長36時間、NCありでも最長24時間使えるので、長期間の旅行でも快適でしょう。
ちなみに、バッテリーの容量は充電ケースの底面で確認するとWF-1000XM5は330mAhで、WF-1000XM4は320mAhと表記されていました。
やはり、充電ケースのバッテリー容量もわずかに増えているんですね。
また、WF-1000XM5のアップグレード部分としては、対応コーデックが増えていることに注目です。WF-1000XM4でもSBC、AAC、LDACまで対応していましたが、最新のコーデックの“LC3”にも対応しているのです。
LC3はSBCと同等の音質を半分のビットレートで実現できると言われており、なおかつ消費電力が低く押さえられるコーデックです。
ただし、今のところLC3に対応しているプレイヤーは少なく、今回の検証では利用していません。
なお、BluetoothもWF-1000XM4は「5.2」でしたが、WF-1000XM5ではより省エネ性能に優れる「5.3」にアップグレードされています。
機種名 | WF-1000XM5 | WF-1000XM4 |
イヤホンの形状 | カナル型密閉ダイナミック | カナル型密閉ダイナミック |
重量(イヤホン本体) | 約5.9g | 約7.3g |
重量(ケース込) | 約39g | 約41g |
ドライバサイズ | 8.4mm | 6mm |
ノイズキャンセル(ANC) | ◯ | ◯ |
防水防塵 | IPX4 | IPX4 |
オーディオコーデック | SBC/ AAC/ LDAC/ LC3 | SBC/ AAC/ LDAC |
Bluetoothプロファイル | A2DP/ AVRCP/ HFP/ HSP/ TMAP/ CSIP/ MCP/ VCP/ CCP | A2DP/ AVRCP/ HFP/ HSP |
Bluetooth | Version 5.3 | Version 5.2 |
再生時間NCオン(イヤホン) | 最大8時間 | 最大8時間 |
再生時間NCオフ(イヤホン) | 最大12時間 | 最大12時間 |
再生時間NCオン(ケース併用) | 最大24時間 | 最大24時間 |
再生時間NCオフ(ケース併用) | 最大36時間 | 最大36時間 |
ケースバッテリー容量 | 330mAh | 320mAh |
操作 | タッチセンサー | タッチセンサー |
Google Fast Pair対応 | 〇 | 〇 |
マルチポイント機能 | 〇 | 〇(アップデートで対応) |
充電端子 | USB Type-C | USB Type-C |
無線充電 | 〇 | 〇 |
付属品 | USB Type-Cケーブル/イヤーピース(4種)/取扱説明書 | USB Type-Cケーブル/取扱説明書 |
価格 | 4万1,800円(税込) | 3万6,300円(税込) |
アマゾン価格 | 3万8,000円(税込) | 2万5,800円(税込) |
WF-1000XM5とWF-1000XM4の仕様を比較表にまとめました。大きな違いはイヤホンとケースのサイズ、ドライバサイズ、対応コーデックやBluetoothプロファイルなどです(表は筆者が公式サイト等を基に独自に作成)
それでは、実際にWF-1000XM5とWF-1000XM4を装着して感触を試してみましょう。
まず、WF-1000XM5はイヤホン本体が小型化されて軽くなったことで、耳への圧迫感がやや減っています。
イヤーピースを押し込むカナル型なので、イヤホンを耳の穴が支えているのですが、軽くなったことで装着感が少なく、着けている感覚を忘れるほど。密閉されているけど圧迫感はなく自然な着け心地です。
次に、前機種WF-1000XM4を装着すると、やや圧迫感を感じてしまいます。ただ、これはWF-1000XM5を装着した後だから感じることであって、そこまでイヤな感じではありません。
とはいえ、やはりWF-1000XM5は小さくなったことで、多少落としやすくなっていますし、側面もツヤツヤな鏡面加工で、乾燥した冬には滑り落ちないか心配になります。
一方、WF-1000XM4はイヤホン本体が大きく、表面につや消し加工が施されているので、掴みやすさは抜群です。
イヤホンのタッチ操作については、やはりWF-1000XM4のほうがセンサー部分が大きいのでタッチしやすいと思います。
もちろん、WF-1000XM5のタッチセンサーが小さくなったからといって、不便さはまったく感じません。
というわけで、タッチセンサーの操作感については、どちらが使いやすいと感じるかは人それぞれでしょう。
WF-1000XM5をスマホと接続する方法を確認しておこう!
実際に、2機種で音楽を聴き比べる前に、WF-1000XM5をBluetoothでスマホに接続する方法を確認しておきましょう。
最初にiPhone 13を使用して、通常のBluetoothの設定画面から接続する方法を紹介します。
まず、WF-1000XM5の充電ケースの裏にはボタンが配置されており、そのボタンをフタを開けた状態で5秒長押しすると「ペアリングモード」がスタートします。
あとはiPhoneの設定で「Bluetooth」をオンにして、WF-1000XM5を選択すれば、すぐにペアリングが完了します。
WF-1000XM5をiPhoneの設定からペアリングする手順
WF-1000XM5ではGoogleが開発した「Google Fast Pair」というBluetoothの簡単接続機能が利用できます。
そこで、ソニーのAndroidスマホ「Xperia 5」を使って、Google Fast Pairの接続方法を紹介しましょう。
まず、Xperia 5の設定でBluetoothをオンにし、WF-1000XM5の充電ケースのフタを開けて背面のボタンを長押しします。
すると、Google Fast Pair画面が起動するので、「接続する」をタップするだけで、すぐにBluetoothのペアリングが完了しました。
やはり、Bluetoothの設定画面からペアリングするよりは、スマートに接続できると思います。
WF-1000XM5をGoogle Fast Pairで接続する手順
ちなみに、WF-1000XM5とWF-1000XM4には専用アプリ「SONY|Headphones Connect」が用意されており、Bluetooth接続をするとそれぞれの機種を認識してイコライザーや2台同時接続などの機能が使えるようになります。
アプリを使えば便利な機能が利用できますので、WF-1000XM5ユーザーならマストでスマホに入れておきましょう。
●Sony「SONY|Headphones Connect」(Android)は→こちら
●Sony「SONY|Headphones Connect」(iPhone)は→こちら
実際にWF-1000XM5とWF-1000XM4を聴き比べた結果やいかに!?
それでは実際にWF-1000XM5とWF-1000XM4で音楽を聴き比べてみましょう。両機種ともLDAC接続でノイズキャンセルはオンの状態、そしてハイレゾ音源を試聴しています。
まずWF-1000XM5は非常にフラットな音でありながら、低音から中音、高音までバランスよくすべて聴こえます。それでいて、音が出てくる場所がハッキリ分かるほど、音の解像度が高いのが分かります。
音量が低くても破綻せず細かい音がしっかりと聴こえ、大音量だとインパクトのある音へと変化しています。音の情報量を減らすことなく、正確に音へと変化させているのは、さすがソニーといったところ。
もちろん、イコライザで調整することで自分好みの音に調整できるので、WF-1000XM5は幅広いニーズに答えられる万能機だと言えるでしょう。
続いて前機種のWF-1000XM4を試聴してみます。こちらは低音から中音にバランスをおいた音質で、音楽のインパクトはこちらの方が強めに感じます。
ただ、バランスが低中域にあるので、ボーカル曲はいいものの、打ち込みのヌケはWF-1000XM5より少なめになっています。
続いて、NC(ノイズキャンセリング)の性能を比べてみましょう。まずWF-1000XM5はNCにありがちなツンとした嫌な音もなく、人の声を見事に打ち消してくれます。
さすがに救急車などの大音量には無力ですが、都会の騒がしさならかなり軽減されているのが確認できました。
一方、WF-1000XM4のほうは、WF-1000XM5を聴いたあとではやや弱い印象を受けます。NCの効き目はやはりWF-1000XM5のほうが上でした。
ただし、これは2機種を聴き比べてようやく判別できるレベルなので、WF-1000XM4のNCでも十分に効果があります。
というわけで、WF-1000XM5とWF-1000XM4を聴き比べてみましたが、どちらの音がいいかと問われると、ジャッジするのが非常に難しいというのが本音です。
単純に筆者の好みで言うなら、やはり新型のWF-1000XM5のほうがフラットで聴きやすいと感じました。
とはいえ、この2機種の音質の差が定価の価格差1万円分に比例しているかと言われると、正直言ってそこまでの差はないと思います。
まとめ
いかがでしょうか? 今回はソニーの新型「WF-1000XM5」と前機種「WF-1000XM4」を比較してみました。
その結果、WF-1000XM5とWF-1000XM4の音質の差はそこまで大きくはありませんでした。もし、現在WF-1000XM4を使っている人なら、あえて買い替える必要はないと思います。
ただし、WF-1000XM5はイヤホン本体が小型化&軽量化されていて装着感が良くなったり、新しいコーデックに対応するなど、新型のアップグレードを実感できます。
もし、今使っているワイヤレスイヤホンに何らかの不満を感じている人なら、やはり新型「WF-1000XM5」を購入したほうが満足度は高いでしょう。
筆者も今回新型のWF-1000XM5に買い替えて十分満足しています。
※文中の価格はすべて税込です。