デンマークの人気オーディオメーカー「Jabra(ジャブラ)」の最新の完全ワイヤレスイヤホン「Elite 8 Active」と「Elite 10」。両機種とも3万円以上する高級イヤホンですが、果たしてそれだけの値段を出して買う価値がある機種なのでしょうか? そこで今回は、Jabraさんから実機をお借りして、実際に2機種を聴き比べてみました。果たしてその結果は……?
「Jabra」はデンマークの人気オーディオメーカー!
今回紹介する「Jabra(ジャブラ)」は、オーディオ機器に詳しい人なら一度は聞いたことのある人気ブランドです。
もともとはアメリカのハンズフリー機器メーカーでしたが、現在はデンマークのGNグループに属しています。
GNグループは1869年に設立され、補聴器などを製造している歴史あるメーカーで、オーディオ機器には1985年から参入し、2000年にはJabraを買収して傘下に収めました。
現在、GNグループの音響機器は「Jabra」ブランドに統一されていて、完全ワイヤレスイヤホンの品質には定評があります。
そこで今回は、Jabraから2023年10月12日に発売された完全ワイヤレスイヤホン「Elite 8 Active」と「Elite 10」に2機種を実際にテストして、機能や音質の違い、どちらが買いなのか判定したいと思います。
●Jabra「Elite 8 Active」→こちら
●Jabra「Elite 10」→こちら
まずは「Elite 8 Active」と「Elite 10」のスペックを比較してみよう
それではJabra「Elite 8 Active」と「Elite 10」の音質比較をする前に、それぞれの機種のスペックを確認しておきましょう。
まず、Elite 8 Activeは商品名に“Active”とあることからも分かるように、運動中の利用に適した機種となっています。
実際、米軍が採用している厳しい「MIL」規格に準じた温度、衝撃、粉塵、水に対する厳格な耐久性試験を繰り返ししているとのこと。
そのため過酷なワークアウトにも対応し、完全防塵・完全防水・耐汗性能を備えているのが大きな特徴となっています。
防水対策のためにイヤホン全体が薄いラバーに覆われているため、手触りはスベスベ。つい滑ってしまわないか、少し心配にはなるほどです。
もちろん、Elite 8 Activeは運動中の利用が前提なので、装着後にズレることがないようにしっかりとしたグリップ力があり、頭を振ったくらいでハズれるような心配はいりません。
イヤーピースが3種類あるので、ピッタリ合うものを装着すれば、さらに装着感は増すでしょう。
再生時間は、本体バッテリーだけで8時間も使用できますので、フルマラソンを走っても問題ありません。しかも、ケースバッテリーを利用すると最長32時間まで使えますので、旅行で長時間利用するときにもピッタリです。
当然、ワークアウトに集中できるようにANC(アクティブノイズキャンセリング)も搭載。路上の車の騒音程度ならしっかりノイズを除去してくれるでしょう。
なお、Elite 8 Activeのカラバリはダークグレー、ブラック、キャラメル、ネイビーの4色があり、価格はJabra直販サイトで3万2,780円、Amazonでは2万9,800円で販売されています(23年11月29日現在)。
次はElite 10のスペックを確認しましょう。Elite 10は最新技術が詰め込まれたJabraのフラッグシップモデル。注目すべきはJabra独自のANC機能「Jabra ドバンストANC」です。
これは集音マイクを6個搭載し、あらゆる騒音に対応するANC機能。路上や電車内の騒音などを大幅に軽減し、快適なリスニング環境を提供してくれるそうなので、のちほどその実力を検証しましょう。
さらに、ドライバサイズが10mmと大きく、音質にもかなり期待できそうです。その代わり、イヤホン本体がElite 8 Activeよりも少しだけ重くなっています。
Elite 10のカラバリはマットブラック、クリーム、ココア、チタニウムブラックの4種類があるので、好きな色を選べるのも嬉しいところ。価格はJabra直販サイトで3万9,600円、Amazonで3万6,000円となっています(23年11月29日現在)
Elite 8 ActiveとElite 10は、両機種ともBluetoothはVer.5.3で、マルチポイントにも対応しています。これにより、スマホとプレイヤーの両方に同時接続が可能ですので、とっさの電話も受けられるのが便利ですね。
気になる点としては、両機種ともイヤホン本体の操作がタッチセンサー式ではなくボタン式である点。
筆者個人としては、ボタン式はボタンを押すたびに耳にグイグイ押し込む感じがして使いづらい印象がありますが、こちらものちほど実際に使用して検証してみます。
というわけで、スペックを見る限りElite 8 Activeはワークアウトに特化したスポーツモデル。Elite 10は強力なANCによって音楽に没入できる最高級モデルということになります。
スペック | Jabra 「Elite 8 Active」 |
Jabra 「Elite 10」 |
ノイズキャンセル | アダプティブハイブリッド ANC | Jabra アドバンスト ANC |
音声アシスト | 対応 | 対応 |
Bluetooth | Ver5.3 | Ver5.3 |
Bluetoothプロファイル | A2DP v1.3、AVRCP v1.6、HFP v1.8、PBP V1.0、TMAP V 1.0 | A2DP v1.3、AVRCP v1.6、HFP v1.8、PBP V1.0、TMAP V 1.0 |
対応コーデック | AAC、SBC/LC3、LC3プラス(LEオーディオ対応*) *今後のファームウェアアップデートで対応予定 |
AAC、SBC/LC3、LC3プラス(LEオーディオ対応*) *今後のファームウェアアップデートで対応予定 |
Bluetooth距離 | 約10m | 約10m |
センサー | ボタン式 | ボタン式 |
ドライバーユニット | 6mm | 10mm |
バッテリー充電時間 | 最長3時間 | 最長3時間 |
再生時間 (本体+ケース充電) |
8時間+24時間(最大32時間) 3回充電可能 |
6時間 +21時間(最大27時間) 3.5回充電可能 |
充電 | USB(USB Type-C) | USB(USB Type-C) |
本体サイズ | 約20×20×29mm | 約20×19×29mm |
充電ケースサイズ | 約25×47×66mm | 約25×47×66mm |
イヤホン重量 | 約5g | 約5.7g |
全体重量 | 約46.4 | 約45.9g |
登録可能台数 | 10台 | 10台 |
IP 等級 (イヤホン) | IP68 | IP57 |
IP 等級 (充電ケース) | IP54 | IP54 |
付属品 | イヤホン/ケース/取説/イヤーピース(S/M/L) | イヤホン/ケース/取説/イヤーピース(S/M/L/LL) |
価格 | 3万2,780円 | 3万9,600円 |
Elite 8 ActiveとElite 10の基本性能はよく似ていますが、ANC、ドライバーユニット、防水・防塵性能、そして再生時間などに違いがあります(表はJabra公式サイトのデータを基に筆者が作成)
実際にElite 8 ActiveとElite 10で音楽を聴き比べる前に、スマホや音楽プレイヤーとBluetoothでペアリング(接続)する方法を確認しておきましょう。
接続方法は両機種とも同じなので、ここではElite 8 Activeを使用した方法を紹介します。
まず、Elite 8 Activeの充電ケースからイヤホン本体を取り出すと、自動的にBluetoothの接続モードとなります。
次に、スマホや音楽プレイヤーのBluetoothをオンにして、新しいデバイスでElite 8 Activeを検索。ペアリング作業を完了すればすぐに音楽を聴けるようになります。
Elite 8 ActiveをスマホとBluetoothでペアリングする手順
ちなみに、Jabraではワイヤレスイヤホン用公式アプリ「Jabra Sound+」も用意されています。
このアプリをスマホにインストールしておけば、ファームウェアのアップデート以外にも、自分の耳の特性にあった音質に自動調整してくれる機能、ANCのオン&オフなど、さまざまな機能をカスタマイズすることが可能になります。
●Android「Jabra Sound+」は→こちら
●iOS「Jabra Sound+」は→こちら
「Elite 8 Active」と「Elite 10」の音質はどう違う?
それでは、実際にElite 8 ActiveとElite 10の音質や使い勝手を比較してみましょう。まずはElite 8 Activeから。
Elite 8 Activeで音楽を再生すると、まず低音が強めで中音から高音にかけて徐々に解像度が下がっていく印象を受けます。
といっても全体のバランスが悪いわけではなく、低音がよく響きながらも、ボーカルの中音は浮かんで聴こえてくるので、激しい運動中でも音楽を楽しむことができるでしょう。
気になるANCの性能は、路上の騒音程度なら確実に低減してくれます。車やトラックの騒音にはとても効果が高いと感じました。
ただし、それ以上に大きな騒音、たとえば列車の通過音や高架下などでは、あまり効果がない印象です。
Elite 8 Active本体の操作はボタン式ですが、ストロークがとても浅いので、軽く触れるだけでしっかり反応します。押すたびに耳に押し込むような感じはなく、かなり快適に操作できました。
また、Elite 8 Activeは防水・防塵仕様なので、ボタン部分も含めイヤホン全体が薄いラバーで覆われています。感触はスベスベしているので、爪が引っかかったりして破けてしまわないか、少しだけ不安になりました。
次はElite 10を試聴してみましょう。音楽を再生すると低音がしっかりしたドンシャリ系でありながら、高音にもインパクトがあります。
全体的に音はやや硬いイメージですが、音のエッジが際立っているので、ロックやJ-POP、打ち込みなど激しめの音楽との相性は抜群! これらのジャンルの音楽をよく聴く人にはかなりオススメできます。
ちなみに、生楽器の響きは少し奥まったイメージがしますが、オーケストラなどの合奏では音が立体的に聴こえてくるため、臨場感もバッチリ。また、ボーカルはハイトーンな女性ボーカルが得意で、しっかりと聴かせてくれます。
全体的に苦手な音楽は少なく、「さすがフラッグシップモデル!」といえる完成度でした。音質だけで比較するならElite 8 ActiveよりもElite 10のほうがバランスがいいと思います。
続いて、Elite 10に採用されている「Jabra ドバンストANC」の効果を確かめてみましょう。まず、歩道での騒音はかなり軽減されます。トラックの走行音もほとんど聞えてきませんでした。
次に、騒音の大きい地下鉄で聴いてみると、列車内での騒音はほぼ聴こえなくなり、車内放送も遠くで鳴っているイメージです。
もちろん、列車がホームに進入するときはさほど効果は感じませんでしたが、筆者が普段愛用しているSONY「WF-1000XM5」と比べても、ANCの効果に遜色はありませんでした。
最後に、イヤホン本体のボタン式の操作ですが、こちらはElite 8 Activeと変わらず、ストロークが浅いので、軽く押すだけでカチッと反応します。そのため耳に負担もなく非常に快適でした。
まとめ
いかがでしょうか? 今回はJabraの最新機種「Elite 8 Active」と「Elite 10」を比較してみました。
Elite 8 ActiveとElite 10は、どちらも3万円を超えるミドル~ハイクラスの完全ワイヤレスイヤホンなので、非常にレベルの高い仕上がりです。
音質はどちらも高音質でしたが、Elite 10を「100」とすれば、Elite 8 Activeは「85」ぐらいの感じでしょうか……。
もちろん、Elite 8 Activeはワークアウトでの利用を前提とした防水・防塵仕様であり、8時間の連続再生はかなり魅力的です。ジョギングや長旅での利用にオススメします。
一方、Elite 10はとにかく音のバランスが良く、ANCの性能の高さも相まって音楽への没入感が強い機種です。通勤通学、自宅でじっくり音楽を聴きたいなら、やはりこちらがオススメになります。
また、イヤホン本体のボタン操作は非常に使いやすく、タッチセンサー派の筆者でも納得できるレベルに仕上がっていました。これなら“誤操作が少ないボタン式”という選択肢もアリでしょう。