ダイソーやセリアなどでスマホの充電用USBケーブルを購入するときはどこを見ればいい?

iPhone 15がAndroidスマホでも利用されている汎用性の高いUSB-C(Type-C)を採用してから、新たに充電用にUSBケーブルを購入する人が増えています。でも、ダイソーやセリアに行くとあまりにもたくさんの種類があって、どれを買えばいいのかまったく分かりませんよね。そこで今回は、スマホの充電用USBケーブルは何を基準に購入すればいいのか解説します。

USBケーブルを選ぶ基準は「端子形状」「給電性能」「データ転送速度」の3つあるが……

最近は、100均やコンビニでもさまざまなUSBケーブルが販売されていますよね。

そのため、スマホの充電用にはいったいどれを買えばいいのか、さっぱり分からないという人も多いことでしょう。

100均のダイソーやセリアなどに行くと、大量にUSBケーブルが売られているので、どれを買えばいいか迷ってしまいます……(筆者撮影)

そもそも、USBケーブルにはさまざまな規格があって複雑怪奇なのですが、まず覚えて欲しいのがUSBケーブルを選ぶ基準は「端子形状」「給電性能」「データ転送速度」の3つがあることです。

このなかで、充電ケーブル選びに関わるのは「端子形状」と「給電性能」だけであり、「データ転送速度」は関係ありません。

たとえば、普通のUSBケーブルはUSB 2.0という規格が多く転送速度は最大480Mbpsですが、USB 3.2 Gen 2(USB 3.1 Gen 2)であれば最大10Gbps(10,000Mbps)になります。

ただし、このUSB規格上のデータ転送速度と給電性能は必ずしも一致しませんので、USB 3.2 Gen 2対応であっても給電性能が高いわけではありません。

データ転送速度が速いUSBケーブルは値段も高くなりますので、スマホの給電用ならUSB 2.0で問題ないでしょう。

また、最近ではクラウドで写真や動画などのデータをバックアップすることが当たり前になってきました。

パソコンにUSBケーブルをつないでスマホのデータを転送する機会がほとんどないなら、極端な話“充電専用ケーブル”でも構いません。

いずれにせよ、USBの規格に関しては複雑なので、詳しく知りたい人はこちらの記事を参考にしてください。

スマホの充電用USBケーブルの端子形状はどうなっている?

それでは、スマホの充電用USBケーブルの端子形状について確認しておきましょう。

まず、iPhone 15シリーズは「USB-C(Type-C)」が採用されていますが、それ以前はApple独自の「Lightning(ライトニング)」です。

LightningもUSBケーブルの一種で、反対側の端子はUSB Type-AやType-Cになっています。

次に、Androidスマホに関しては、古い機種でUSB Micro-Bが使われていましたが、現在はほぼUSB Type-Cになっています。

もちろん、反対側の端子はUSB Type-AかType-Cの2種類があり、これによって充電速度が変わる場合もあります。

USBの端子形状

写真上左が古いAndroidスマホで使われている「USB Micro-B」、その右がiPhone 14以前の「Lightning」。写真下左が最近のスマホで使われている「USB Type-C」、そしてパソコンなどでも広く使われている「USB Type-A」となっています

こちらは両方の端子がUSB Type-Cになっているタイプ。最近のノートパソコンならUSB Type-Cがありますが、ACアダプタ(充電器)によっては、対応していないものもあります(筆者撮影)

こちらは片方の端子がUSB Type-C、もう片方がUSB Type-Aになっています。古いACアダプタ(充電器)やデスクトップパソコンにつなぐときは、このタイプが使いやすいでしょう(筆者撮影)

iPhone 14以前で使用されているLightningケーブル。片方の端子がUSB Type-Cになっていますが、USB Type-Aになっているものもあります(筆者撮影)

スマホの充電用なら「USB-PD対応60W」表示のものを選ぼう

次に、USBケーブルの給電性能の仕様について確認しておきましょう。

ポイントになるのは「USB-PD(Power Delivery)」に対応しているかどうかです。

USB-PDは“USB Power Delivery”の略で、USB規格標準の給電能力よりも大きな電力100W(20V/5A)や240W(48V/5A)を供給できる規格のこと。

つまり、スマホの給電時は基本的に大きな電力を供給できるUSB-PD対応製品を使ったほうが、急速充電できるのです。

そもそも、充電の出力(W・ワット)は電圧(V・ボルト)×電流(A・アンペア)で算出できます。

USB 2.0規格での給電は0.5A(5V/0.5A=2.5W)、USB 3.0規格では0.9A(5V/0.9A=4.5W)、USB BC(Battery Charging)では1.5A(5V/1.5A=7.5W)となっていました。

しかし、デジタル機器の充電にUSBが広く使われるようになったため、USB-PDのような大きな電源を供給できる規格が策定されたというわけです。

こちらはダイソーで110円のUSBケーブルですが、「PD対応」「60W(20V/3A)」と書かれています。このようにUSB-C/USB-Cのタイプであれば、「3A」対応で最大60Wの充電が可能です(筆者撮影)

それでは、スマホに100Wや240W対応のUSBケーブルを使うと超急速充電できるのかと言われると、そんなことはありません。

通常のAndroidスマホはせいぜい最大20W程度でしか充電できませんし、iPhone 15シリーズでも最大27W程度です。

あくまでも、最大100WのUSBケーブルは“100Wまで対応可能”という意味であり、スマホ本体の上限が20Wであれば、当然、それ以上の速度で充電されることはありません。

つまり、多くのスマホの給電はUSB-PD対応の最大60W(20V/3A)のUSBケーブルで十分ということになります。

もし、USB-PD規格に関してもっと詳しく知りたい人は、こちらの記事を参照してください。

こちらは、USB-PD対応で60WのUSB-C/USB-Cケーブル+20W対応ACアダプタで、Androidスマホを充電した様子です。9.09V/1.48A=13.4で充電されました。これが一般的なスマホの実測値でしょう(筆者撮影)

ただし、USBケーブルの片側がUSB Type-Aになっているものは速度が遅くなる傾向にありますし、極端にUSBケーブルが細いものは「1A」や「2A」までしか対応しておらず、給電性能が低いことが多いのでご注意ください。

写真上のUSBケーブルと下のUSBケーブルでは、ケーブルの太さがまったく違います。このようにケーブルが極端に細いものは、「3A」非対応で充電速度が遅いので避けましょう(筆者撮影)

ノートパソコンなど60Wを超える充電なら「eMarker内蔵」表示のものを選ぼう

最近のノートパソコンは、USBケーブルで60Wを超える給電が可能なものも増えています。そのような場合は、「5A」に対応するUSBケーブルを用意しましょう。

そのポイントは「eMarker」と呼ばれるチップが搭載されているかどうかです。このeMarkerは適切な電力調整を行うもので、5A対応情報を感知すれば60Wを超える電力を供給することが可能になります。

こちらはダイソーで330円の100W対応USBケーブルです。「eMarker内蔵」とあり、最大100W(20V/5A)に対応できることが分かります。ただし、データ転送速度はUSB 2.0になります(筆者撮影)

もっとも、最近のスマホは“神ジューデン”対応「Xiaomi 13T Pro」のように120Wで超高速充電ができる機種や、80Wの超高速充電が可能な「OPPO Reno10 Pro 5G」などもあります。

このようなスマホでも、今回紹介した60W対応USBケーブルを使用することは可能ですが、そこがボトルネックになって速度が遅くなり本来の最大速度では充電できません。

こちらは、OPPO Reno10 Pro 5Gの付属USBケーブルとACアダプタで超急速充電しているところ。8.83V/6/14A=54.2Wとという、通常のスマホでは考えられない速度で充電できています(筆者撮影)

USBケーブルでの充電時はACアダプタにも要注意!

ここまでUSBケーブルについて解説してきましたが、実際にスマホを充電するときは、ACアダプタ(充電器)にも注意が必要になります。

もし、スマホとUSBケーブルが20W以上の給電に対応するのに、ACアダプタ(充電器)が「1A」や「2A」対応の製品だと、そこがボトルネックになって急速充電できないのです。

たとえば、ダイソーではUSB-PD20W(5V/3A・9V/2.22A・12V/1.66A)対応ACアダプタが770円で売られていますが、スマホを充電するなら、最低限このレベルの製品を使う必要があります。

こちらはダイソーで770円のACアダプタ(充電器)ですが、USB-PD20W(5V/3A・9V/2.22A・12V/1.66A)対応に対応しています(筆者撮影)

20W上の給電性能が必要な場合は、少々値段が高くなってしまいますが、45〜100W程度のACアダプタ(充電器)を用意したほうがいいでしょう。

たとえば、3COINSの「GaN CHARGER 65W」は3,300円ですが、USB-PD対応で65Wまでの給電が可能となっています。

ただし、W数が大きくなると値段が高くなり、本体も大きくて重くなってしまうので、スマホの給電のためだけにムダに高性能なものを買う必要はありません。

3COINSの「GaN CHARGER 65W」はUSB-PD対応で65Wまでの給電に対応します。価格は3,300円で、本体も大きくで重くなってしまいます(筆者撮影)

まとめ

いかがでしょうか? 今回はスマホの充電用USBケーブルの選び方について解説しました。

USBの規格は複雑なので、どうしても転送速度の話が出るとややこしくなりますが、給電性能だけなら、「USB 3.2 Gen 2×2」「USB4」「Thunderbolt 4」といったUSBの規格を気にする必要はありません。USB 2.0や充電専用でも大丈夫です。

というわけで、パソコンやタブレット、一部のスマホは別ですが、給電が最大20W前後のスマホであれば「USB-PD対応60W」のUSBケーブルであれば、100均のものでも性能的には十分なのです。

こちらはセリアで110円の「超急速60W(20V/3A) PD充電対応」USB-C/USB-Cケーブル。“充電専用”ですが、スマホとパソコンを接続してデータ転送しないなら、このような充電専用でもまったく問題ありません(筆者撮影)

※記事中の価格はすべて税込です。
※記事中の商品は筆者(編集部)が購入時点のものです(2024年5月)。店舗によっては在庫切れ、取り扱いがない場合もありますのでご了承ください。

すずきあきら
編集・ライター。パソコン通信時代からネットワークに接しWi-Fiやインターネット、SNSなどに精通。30年に渡って、パソコンやスマホ関連のムック本や雑誌記事を手がけてきた大ベテラン。最近は格安SIMなどのケータイ料金やアプリ、通信費全般の記事を執筆することが多い。

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