iPhone 15にはUSB-Cケーブルが付属しますが、ACアダプタ(充電器)は付きません。そこで100均やコンビニなどで探すと、あまりにもたくさんの種類があって、何を基準にACアダプタを選べばいいか分かりませんよね。そこで今回は、スマホの充電用にどんなACアダプタを選べばいいのか解説しましょう。
【目次】
1.スマホの充電に適したACアダプタ(充電器)ってどんなもの?
2.ACアダプタ(充電器)は「USB-PD対応」のものを選ぼう
3.2ポートあるACアダプタ(充電器)は2台同時充電時に注意!
4.USBケーブルも「USB-PD対応」60Wのものを選ぼう
5.まとめ
スマホの充電に適したACアダプタ(充電器)ってどんなもの?
スマホの充電にはワイヤレスやモバイルバッテリーを使う方法もありますが、自宅や会社などで充電するときはUSBケーブルとACアダプタ(充電器)を使用するのが一般的でしょう。
でも、スマホの充電用にどんなACアダプタを買えばいいのか、その基準がさっぱり分からない人も多いと思います。
とくに最近は、100均やコンビニでもさまざまなACアダプタが販売されているので、店頭で悩んでしまうのも当然でしょう。
もちろん、Amazonなどで高性能な製品を買っておけば間違いないのですが、その分本体が大きく重くなって携帯性が犠牲になりますし、価格もかなり高くなってしまいます。
こちらはAnkerの120W対応ACアダプタです。ノートパソコンの充電もこなせるほど高性能ですが、価格は1万2,990円と非常に高価で、重さも200gほどあります(画像はAmazon公式サイトより引用)
そこでまず覚えておきたいのは、Androidスマホはせいぜい最大20W程度、iPhone 15シリーズでも最大27W程度でしか充電されないことです。
たとえば、最大20Wで充電できるスマホに120W対応のACアダプタを使っても120Wで充電されることはなく、最大20Wになります。
逆に、ACアダプタに5Wや12W対応のものを使うと、そこがボトルネックになって20Wでは充電されません。
こちらはOwltechの12W対応ACアダプタです。価格は899円と安く、重量も100gしかありませんが、20W程度で充電できる最近のスマホ向けにはやや力不足です(画像はAmazon公式サイトより引用)
つまり、最大20Wのスマホを充電するときは、20W〜45W程度の給電に対応したACアダプタが必要になりますが、逆にそれ以上の製品を買うのはオーバークオリティということになります。
最近は“神ジューデン”対応「Xiaomi 13T Pro」のように120Wで超高速充電ができる機種や、80Wの超高速充電が可能な「OPPO Reno10 Pro 5G」などもあります。
しかし、現状ではこれらのスマホは例外的なものになりますので、今回の条件にこのようなスマホは含まないこととします。

こちらは、OPPO Reno10 Pro 5Gの付属USBケーブルとACアダプタで超急速充電しているところ。8.83V/6/14A=54.2Wとという、通常のスマホでは考えられない速度で充電できています(筆者撮影)
ACアダプタ(充電器)は「USB-PD対応」のものを選ぼう
スマホの充電には、ACアダプタ(充電器)の性能が重要になってくることがお分かりいただけたと思いますが、ここでACアダプタの給電性能の仕様について確認しておきましょう。
ポイントになるのは「USB-PD(Power Delivery)」に対応しているかどうかです。
USB-PDは“USB Power Delivery”の略で、USB規格標準の給電能力よりも大きな電力100W(20V/5A)や240W(48V/5A)を供給できる規格のこと。
つまり、スマホの給電時は基本的に大きな電力を供給できるUSB-PD対応製品を使ったほうが、急速充電できるのです。
そもそも、充電の出力(W・ワット)は電圧(V・ボルト)×電流(A・アンペア)で算出できます。
USB 2.0規格での給電は0.5A(5V/0.5A=2.5W)、USB 3.0規格では0.9A(5V/0.9A=4.5W)、USB BC(Battery Charging)では1.5A(5V/1.5A=7.5W)となっていました。
しかし、デジタル機器の充電にUSBが広く使われるようになったため、USB-PDのような大きな電源を供給できる規格が策定されたというわけです。

ダイソーで770円のACアダプタの「USB Type-Aポート」を使って、Androidスマホを充電してみました。すると、8.96V/1.18A=10.0Wで充電できました。Type-Aとしてはまずますの数値です(筆者撮影)

続いて「USB Type-Cポート」で充電してみましょう。こちらはUSB-PD対応なので、8.95V/1.47A=13.1Wで充電できました。このように、基本的にはType-Cポートのほうが充電速度が速くなります(筆者撮影)
というわけで、スマホの充電用に買うなら「USB-PD対応」「20W以上」が最低限のスペックになるでしょう。
もちろん、20W以上の大出力が可能な高性能ACアダプタもたくさん売られていますが、その分価格が高くなって本体も大きく重くなってしまいます。
もし、ACアダプタをパソコンやタブレットなどと併用しないのであれば、ムダに高性能な製品を買う必要はありません。
2ポートあるACアダプタ(充電器)は2台同時充電時に注意!
ACアダプタ(充電器)を選ぶときはポート数にも注意が必要です。1ポートしかないものもありますし、2ポートあってもUSB Type-A×2だったりUSB Type-A×1+Type-C×1といったさまざまな種類があるのです。
所有するケーブルの端子形状によっても異なってきますが、ほかにもUSBで充電するデバイスもあるでしょうから、基本的にはUSB Type-AとType-Cを組み合わせた2ポート製品がオススメです。
また、ACアダプタを選ぶとき100均ではちょっと心配、あるいは最大出力が20Wでは心もとないということなら、「Anker(アンカー) 323 Charger(33W)」がオススメです。
Ankerはモバイル関連製品の品質には定評のある中国メーカー。しかも、近所のセブン-イレブンで手軽に購入できるのです。
価格は2,980円とやや高めですが、USB Type-C×1・Type-A×1の2つのポートを備えており、USB-PD対応で最大33Wの給電が可能。
また、2台同時給電でもUSB Type-Aポートで最大12W、USB Type-Cポートで最大20Wの出力が可能となっているのも見逃せません。
100均やAmazonの怪しい中華製ACアダプタは、2ポート同時充電時に極端に数値が落ちる場合もありますが、その点で、Ankerのようなしっかりしたメーカーの製品のほうが、使い勝手もよく安心して使えるでしょう。
USBケーブルも「USB-PD対応」60Wのものを選ぼう
最後に、スマホを充電するときはACアダプタ(充電器)の性能だけでなく、USBケーブルにも注意が必要になります。
たとえば、USBケーブルが古いものでUSB-PD60Wに対応していない場合は、そこがボトルネックになって、十分な充電速度が出ないことがあるからです。
とはいえ、現在ではダイソーで110円のUSBケーブルでも、「PD対応」「60W(20V/3A)」と表記のある製品がたくさん揃っているので、これらを使用すればいいでしょう。

こちらはダイソーで110円のUSBケーブルですが、「PD対応」「60W(20V/3A)」と書かれています。このようにUSB-C/USB-Cのタイプであれば、「3A」対応で最大60Wの充電が可能です(筆者撮影)
もちろん、60Wを超えるようなパソコンなどを充電するときは、このレベルのUSBケーブルでは対応しきれないので、100W対応のケーブルを購入しましよう。
ちなみに、ダイソーでは100W対応のUSBケーブルもたった330円で購入できます。

こちらはダイソーで330円の100W対応USBケーブルです。「eMarker内蔵」とあり、最大100W(20V/5A)に対応できることが分かります。ただし、データ転送速度はUSB 2.0になります(筆者撮影)
まとめ
いかがでしょうか? 今回はスマホの充電用に使うACアダプタ(充電器)について解説しました。
通常、スマホの充電は最大20W程度ですから、ACアダプタも5Wや12Wの古いものではなく、最低でも「USB-PD対応」「20W以上」の製品を選んでおけば急速充電可能です。
もし、スマホ以外にタブレットなども同時に充電することが多いなら、2ポート以上あるタイプがオススメになりますが、その場合は、2台同時充電時に各ポートがそれぞれ最大何Wで給電できるのか調べたほうがいいでしょう。
※記事中の価格はすべて税込です。
※記事中の商品は筆者(編集部)が購入時点のものです(2024年5月)。店舗によっては在庫切れ、取り扱いがない場合もありますのでご了承ください。