ソニー「WF-1000XM5」は非常に人気の高い高性能ワイヤレスイヤホンですが、混雑した場所では音が途切れる現象が見られました。しかし、24年4月3日にソフトウェアアップデートが行われ、Bluetoothの接続性が大幅に改善されたそうです。そこで今回は、WF-1000XM5ユーザーの筆者が実際にアップデートして、本当に音飛びが改善されたのか検証してみます。
【目次】
1.実は「WF-1000XM5」はBluetoothの接続性に難アリ?!
2.専用アプリ「Headphones Connect」と本体のバージョンを確認しよう!
3.Bluetoothの接続性の鍵はコーデックにアリ!
4.実際に「接続優先」で音飛びは改善されたのか?
5.まとめ
実は「WF-1000XM5」はBluetoothの接続性に難アリ?!
2023年9月に発売されたワイヤレスイヤホン「WF-1000XM5」は、価格4万1,800円もするソニーのフラッグシップモデル。
隅々までしっかり聴こえる解像度の高さはもちろんのこと、高性能なANC(アクティブノイズキャンセル)に定評があります。
またイヤホンは、装着者の動きを感知して自動的に設定を変更する「アクティブサウンドコントロール」、2台の機器と同時にBluetooth接続可能な「マルチポインティング」など、ユーザーが快適に使える機能が満載されています。
ただし、Bluetoothの接続性はそこまで高くなく、電波状況が悪い交差点や混雑している駅などでは、音が途切れてしまう現象が見られました。
そのようなWF-1000XM5ですが、24年4月3日に最新版のアップデートが公開され、Bluetoothの接続性が大幅に改善されたようです。
そこで今回は、実際に筆者のWF-1000XM5を使ってアップデートし、実際にどのように改善されたのか確認してみましょう。
●ソニー「ワイヤレスノイズキャンセリングステレオヘッドセット「WF-1000XM5」本体ソフトウェアアップデートのお知らせ」は→こちら
専用アプリ「Headphones Connect」と本体のバージョンを確認しよう!
ソニー「WF-1000XM5」には、専用アプリ「Headphones Connect」が用意されています。
ANCのオン&オフ、イコライザー調整など、WF-1000XM5を使いこなすには必須のアプリであり、イヤホン本体のアップデートもこのアプリを使うことになります。
24年5月の時点でWF-1000XM5本体のバージョンは「3.2.1」、Headphones Connectアプリのほうは「10.4.1」が最新版となっているので、まずはそれぞれのバージョンを確認しておきましょう。
●Google Play「Sony | Headphones Connect」は→こちら
●App Store「Sony | Headphones Connect」は→こちら
WF-1000XM5本体のバージョンを確認する手順
Headphones Connectアプリのバージョンを確認する手順
もし、イヤホン本体やアプリのバージョンが古かった場合は、まず、Headphones Connectアプリを最新版にアップデートし、その後、WF-1000XM5本体のアップデートを行いましょう。
アップデート方法は、Headphones Connectの「システム」から歯車アイコン(設定)をタップし、「アップデート状況」を開きます。
アップデートがある場合は自動的にソフトウェアのダウンロードが開始されるので、「開始」ボタンを押せばOKです。
ちなみに、アップデートのデータ転送中でも音楽は聴けますが、本体を充電ケースに挿入したり電源をオフにしてはいけません。ご注意ください。
なお、WF-1000XM5のアップデート方法はソニー公式サイトに詳しく紹介されていますが、筆者の場合は自動的に最新版にアップデートされていました。
●SONY「WF-1000XM5 アップデート手順(Android)」は→こちら
●SONY「WF-1000XM5 アップデート手順(iOS)」は→こちら
Bluetoothの接続性の鍵はコーデックにアリ!
WF-1000XM5の音飛びを改善するには、まず使用するコーデックの違いを覚えておく必要があります。
現在、WF-1000XM5が対応するコーデックは「SBC」「AAC」「LDAC」「LC3」の4種類があります。
Headphones Connectアプリでは「AAC」か「SBC」で接続されますが、LDAC(エルダック)対応のデバイスの場合はCDより高音質なハイレゾ対応の「LDAC」で接続されます。
もちろん、使用するコーデックによって、送信されるデータ量も違ってきます。高音質なLDACのようなコーデックは転送データ量が大きくなるので、どうしても音飛びがしやすくなるのです。
逆に低音質のSBCやAACなら、転送データ量も少なくなるため音飛びしにくくなります。
■WF-1000XM5の対応コーデック
SBC/AAC/LC3/LDAC
【高音質】データ量多い→音が飛びやすい
【低音質】データ量少ない→音が飛びにくい
実は、Headphones Connectアプリには「Bluetoothの接続品質」という項目があり、「接続優先」と「音質優先」のどちらかを選ぶことが可能です。
音質優先にすると、接続されているデバイスから自動的に最高音質のコーデックが選択され、接続優先にするとSBCやAACが優先され、音飛びしにくくなるのです。
Bluetoothの接続品質を変更する手順
ちなみに、現在はベータ版となっていますが、WF-1000XM5では最新コーデックの「LC3」にも対応しています。
このLC3は「Low Complexity Communications Codec」の略で、高品質かつ低消費電力なコーデックとなります。
LC3を利用するには、Headphones Connectアプリから「システム」タブを選択して「ヘッドホンの接続設定」から変更できます。
ヘッドホンの接続設定では「LE Audio優先」「Classic Audio専用(従来の接続方式)」があるので、「LC3」に対応しているデバイスなら「LE Audio優先」に設定すればOKです。
LC3コーデックを利用する手順
実際に「接続優先」で音飛びは改善されたのか?
筆者は普段、Androidスマホの「Xperia 5」と音楽プレイヤーIBASSO「DX160」の2つのデバイスを使用しています。
以前は、設定を「音質優先」にしても「接続優先」にしても、音飛びの頻度は同じぐらいあって、とくに交通量の多い交差点で頻繁に途切れていました。
そこで、今回のアップデートでBluetooth接続性がどのように変わったのか、実際に試してみます。
最初にXperia 5で試してみると、確かにBluetoothの接続性は改善されているようです。
以前はズボンのポケットにXperia 5を入れてWF-1000XM5と接続していると、交通量の多い交差点ではしばしば音飛びが発生していましたが、アップデート後は音飛びがなくなり、とても快適に音楽を聴くことができました。
次に、音楽プレイヤーDX160で試してみると、こちらはBluetooth 5.0で接続されているせいなのか、以前と同じような状況で、やはり交通量の多い交差点では音飛びが発生しました。
以上の結果から、今回のアップデートではBluetooth 5.1以降の接続性が向上されたデバイスでないと、効果がハッキリ出ないのではないかと思われます。
まとめ
いかがでしょうか? 「WF-1000XM5」はソニーの技術が結集された最上位の高性能ワイヤレスイヤホンなのに、頻繁に音飛びが発生するのは残念なことでした。
しかし、今回のアップデートでBluetoothの接続性が改善され、音飛びしなくなったのは嬉しい限りです。
もし、筆者のようにWF-1000XM5を利用しているなら、今すぐ最新版にアップデートしてBluetoothの接続性を改善しておきましょう。