意外と知らない、サブスク全盛の時代でも「iPod Classic」がいまでも人気の理由

Spotifyに代表される音楽サブスクが主流となった2024年現在でも、実は根強い人気を誇っている「iPod Classic」。CDをリッピングしたり、iTunes Storeで楽曲を購入したうえで端末に音源を転送するといった手間が生じる「一昔前のデジタルオーディオプレーヤー」であることは否めません。

またiPod Classicに搭載されているのはHDDであり、SSD全盛の現代だとこの点も古さが否めません。しかし、それでもiPod Classicは2024年現在でもネットオークションやフリマアプリでの取引数が多く、中古販売店でも人気です。いまでもiPod Classicが一定の支持を集め続けている理由は何なのでしょうか。

そもそも「iPod Classic」はなぜ消滅した?

「iPod Classic」は2001年に第一世代のモデルが登場。2007年に「iPod Classic」に改名されたうえで、2014年にApple Storeから取り扱いがなくなりました。

そもそも「iPod Classic」は何故消滅した?1

(画像は「Apple」公式サイトより引用)

AppleのCEOであるティム・クック氏は2014年10月に行われた米Wall Street Journalのイベント「WSJ.D」の中で、iPod Classic終了の説明について、部品の入手が難しくなったためだと説明。

また「スマートフォンの普及により、音楽再生機能がスマホに統合され、専用の音楽プレーヤーの需要が減少したこと」の影響も否めないでしょう。Appleは2022年にはiPod Touchの「在庫限りでの販売終了」を発表しており、同社のカタログから「iPod」が消滅しました。

つまりiPod Classicの販売終了(2014年)は、2024年現在から振り返ると「デジタルオーディオプレーヤーからの完全撤退の第一歩だった」とも映る側面があります。

「iPod Classic」がいまでも人気の理由

そんな「iPod Classic」は通信状況に依存せずに音源を再生できるデジタルオーディオプレーヤーとして、いまでも根強い人気を保持しています。その理由としては、320KbpsのAAC・MP3やロスレス音源を再生可能なことなどが挙げられるほか、HDDをSSDに換装する修理が容易なことも挙げられます。

HDDをSSDに換装してさらなる大容量化を実現可能

そもそもiPod Classicには、記憶媒体としてHDDが搭載されています。一方、2024年現在の記憶媒体はSSDが主流。SSDのメリットとしては「速い」「軽い」「静か」「寿命が長い」。裏を返せばHDDは音が大きいうえ、寿命が短いといえます。つまり現在、中古のiPod Classicは10年以上経過したバッテリーとHDDがともに寿命を迎えている可能性が大きいです。

しかし、HDDをSSDに換装することはさほど難しいことではありません。大手ショッピングモールなどにあるスマホ修理店にiPodを持ち込むことで、HDD修理の一環としてのSSD化とバッテリー交換をセットで対応してくれるケースも多いです。メルカリなどでもSSD換装済みのiPod Classicが一般的に出品されています。

HDDをSSDに換装して更なる大容量化を実現可能1

(画像は「メルカリ」公式サイトより引用)

なおiPod ClassicをSSD化する場合、microSDカードを最大4枚まで挿入可能(※iFlash製の変換ボードを利用する場合)。

512GBのmicroSDカードを4枚挿入した場合、2TBの大容量iPod Classicへと改造することができます(※上限曲数は5万曲)。全曲をWAVなど非圧縮音源にしたとしてもかなりの曲数が再生できるため、デジタルオーディオプレーヤーとして2TBの容量は2024年現在でもかなり魅力的な水準ではないでしょうか。

通信状況に依存することなく音源を再生可能

iPod Classicは「本体に楽曲が入っている」状態のオーディオプレーヤーです。つまりネットワークを介してサブスクで音楽を聴くのとは違い、通信状況がどうであれ、安定した楽曲再生が可能です。

通信状況に依存することなく音源を再生可能1

(画像は「Spotify」公式サイトより引用)

たとえばSpotifyプレミアムの最高音質である320Kbpsは十分に高音質。しかしSpotifyにはネットワークの接続状況に応じて音質を調整する機能もあり、320Kbpsに遠く及ばない音質で再生されることも少なくありません(※Spotifyプレミアムではオフライン再生も可能)

そのため、ネットワーク状況に左右されずに安定して高音質で再生したい(※別途320KbpsのAACもしくはMP3音源は必要)ならば、iPod Classicは魅力的な選択になり得ます。

320KbpsのAAC・MP3やロスレス音源を再生可能

iPod Classic(第6世代)は以下の音源が再生可能です。

・AAC (16〜320 Kbps)
・保護されたAAC (iTunes Storeから購入)
・MP3 (16〜320 Kbps)、
・MP3 VBR
・Audible (フォーマット 2、3、4)
・Apple Lossless
・WAV
・AIFF

AACやMP3など圧縮音源にひと通り対応しているほか、WAVやAIFFなど非圧縮音源にも対応しています。SSD化及び大容量化したiPod Classicに320KbpsのMP3やAAC、もしくはWAV形式の非圧縮音源を入れ、優れたイヤホンやヘッドフォンで再生するのは音楽好きにとってはかなり魅力的です。

クリックホイールによる直感的な操作

iPod Classicのもう一つの特徴は、クリックホイールによる直感的な操作です。この操作方法はシンプルながら使い勝手がよく、ユーザーは簡単に曲を選択したり、音量を調整したりすることができます。

クリックホイールの操作感は今日のAppleの端末からはすでに消えてしまった「iPod Classicならではの魅力」です。iPodシリーズのファンだった方にとっては「いまでもiPodを使いたいけれど、いまから買うならば大容量でないと困る」といった観点から、iPod Classicが選ばれている側面があるでしょう。

iPod Classicの取引相場はどれくらい?

フリマアプリやネットオークションの場合、6,000円~10,000円程度が取引相場の目安。ハードオフの場合、相場は5,000円~6,000円程度。状態がよい端末であれば10,000円程度が取引相場の目安です。総じて1万円以内でiPod Classicは入手可能です。そのうえでiPod Classicを大容量化する場合、修理価格は店舗によっても違いますが、19,800円~が料金目安となります。

なおmicroSDカードを4枚挿入する場合、筆者が確認した限りではiFlash製の変換ボードが必要となります。つまり同社の変換ボードを利用していない修理店の場合、512GBのSDカードを4枚挿すことは難しいかもしれません。実際に修理を依頼する場合は、店舗に事前相談したうえで見積もりを取りましょう。

※サムネイル画像(Image:Nicola_K_photos / Shutterstock.com)

オトナライフ編集部
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