外出時、多くの人が持ち歩いているモバイルバッテリー。あったら便利なアイテムですが、一方で「スマホほど毎日使うものでもない」ため、買い替え頻度も低いのでは。4年～5年ほど同じバッテリーを使い続けている方もいるのではないでしょうか。
しかしよくよく考えてみるとモバイルバッテリーには「リチウムイオン電池」が搭載されています。リチウムイオン電池が搭載されているということは、バッテリーの劣化が進めば進むほど発火などの危険性が極めて高くなります。ではモバイルバッテリーの寿命はスマホ並みに早いのでしょうか？ 買い替えずに長年使い続けているバッテリーは危険なのでしょうか。
モバイルバッテリーの寿命は「1年半」？
結論から言えば、モバイルバッテリーに使用されているリチウムイオン電池は、約300〜500回の充電サイクルで寿命を迎えます。毎日フル充電を行った場合、1年〜1年半がモバイルバッテリーの寿命という計算になります。
（筆者撮影）
もう少し詳しく見ていきましょう。まず、モバイルバッテリーの寿命は、充電サイクルによって表されます。この充電サイクルとは、充電が0％の状態から100％までフル充電した場合を「1サイクル」としてカウントします。
（画像は筆者作成）
たとえば1日目に充電を40％を消費し100％まで充電、2日目に充電を30％を消費し100％まで充電、3日目に充電を30％を消費し100％まで充電した場合に、合計で100％の充電（100％の放電）を行ったことになり、これを1サイクルとしてカウントします。
そしてこの1サイクルを繰り返せる上限回数が「約300〜500回」であり、毎日フル充電している前提ならば「1年半くらい」が寿命です。
モバイルバッテリーの寿命が近づくと現れる症状の例
モバイルバッテリーの寿命が近づいている場合、以下のような症状が現れることがあります。
・モバイルバッテリー本体の膨張
・充電の際、大幅に時間がかかる(モバイルバッテリー本体、スマホ等の充電共に)
・充電の減りが早い、給電できる時間が明らかに短い
モバイルバッテリーの膨張が見られる場合は特に注意が必要です。バッテリーが膨張している場合、劣化はすでにかなり進行しており、バッテリーの爆発や発火・火傷などの危険性が高い状態です。すぐに使用を中止し、自治体が定める方法で廃棄処分しましょう。また明らかにこれまでよりも電池の減りが早い場合も、バッテリーの寿命が近いかもしれません。
「5年前」のモバイルバッテリーは使い続けても大丈夫？
先ほどモバイルバッテリーの寿命を「1年半くらい」としましたが、これはフル充電を毎日行っている前提での目安です。実際にはモバイルバッテリーを毎日欠かさず、フル充電し続ける人は少ないのでは？
スマホの買い替え頻度は「2年」が目安とされがちですが、モバイルバッテリーはそれよりも遥かに長い時間、同じものを使い続けることもあるのではないでしょうか。では、たとえば「5年前に買ったモバイルバッテリー」は使い続けても大丈夫なのでしょうか？
結論から言えば、フル充電サイクルの観点から見ると、「5年前」のモバイルバッテリーは性能が低下している可能性が高いです。加えて2024年の5年前が「2019年」であることにも注意が必要です。モバイルバッテリー製品の発火事故が多発したことを受け、PSEマークが必須になったのは2019年のことです。つまり、PSE法の規制対象になる2019年以前に購入した製品は安全基準を満たしていない可能性があります。
つまり、『膨張などが起きていないとしても、バッテリー劣化が進み寿命が近づいていると予測される』『PSEマークに準拠した安全基準を満たしていないバッテリーである可能性が高い』ことから危険性があると言えます。不安に感じる場合には処分しましょう。
なお同様に、PSEマークの基準に準拠していない「輸入品のモバイルバッテリー」にも危険性があるでしょう。
モバイルバッテリーの寿命を「膨らみ具合」で判断するのは危険？
なおモバイルバッテリーの寿命を「膨らみ具合」で見極め、「膨らんでいないからまだ使える」と判断して使い続けている方もいるでしょう。
実はリチウムイオン電池にとって「膨張」は少しでも確認できる場合、極めて劣化が進んでいる状態です。少しでもモバイルバッテリーが膨張しているならばすぐに使用を停止し、各自治体の定めるルールにしたがって処分しましょう。
