「セガハード」に対し、思い入れが強い方は多いでしょう。代表的なセガハードには、たとえば1988年発売のメガドライブや1994年発売のセガサターン、1998年発売のドリームキャストなどが挙げられます。
セガハードでリリースされたタイトルは様々な形で復刻も進んでいますが、実は「ドリームキャスト」関連の復刻は歩みが遅い傾向が強く、2024年現在でも動作する中古本体の入手も難しくなりつつあります。
ドリームキャストで遊ぶのはすでに困難なのでしょうか。具体的に見ていきましょう。
「セガハード」の名作ゲームの例
メガドライブやセガサターン、ドリームキャストは、多くの名作ゲームが誕生したハードです。たとえばメガドライブでは『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』シリーズや『シャイニング・フォース』、『ファンタシースター』などのゲームが人気を博しました。
そういった名作タイトルは、2019年に発売されたメガドライブの復刻版「メガドライブ ミニ」、2022年発売の「メガドライブ ミニ2」でプレイすることが可能です。つまり、2024年現在でもメガドライブのタイトルは「メガドライブ ミニ」によって遊びやすい傾向にあるといえます。つまりメガドライブはセガハードの中で、相対的にいまでも遊びやすいハードです。
「遊びづらい」セガハードの現状
2024年現在、遊びづらいセガハードには「セガサターン」「ドリームキャスト」が挙げられます。メガドライブのように復刻版のハードがこれらには存在しないためです。このうちセガサターンはCD-ROM対応のレトロゲーム互換機「Polymega」で遊ぶことができるため、復刻版こそ存在しないものの互換機が存在しているとはいえます。つまり本体の製造が終了して長い年月が経ち、復刻版ハードがなく、互換機もないという状態になっているのが「ドリームキャスト」の現状です。
そのため、たとえばドリームキャストの屈指の名作として知られる「シェンムーI&II」は長年にわたって遊びづらい状態が続きました。
同作は2018年にリマスターされました。逆にいえばドリームキャストが2001年に販売終了してから17年間、名作ながら遊ぶ機会がないタイトルであったことも事実です。
ちなみに2018年のリマスターの際には開発陣ですら、復刻やリマスターをあきらめかけていたと述べています
それでもシェンムーは根強いファンの後押しもありリマスターが実現し、その後には新作も登場しましたが、ほかにも埋もれたままのタイトルは少なくないのが現状です。
たとえばドリームキャスト有数の名作RPG「エターナルアルカディア」は、現行機で遊ぶことが難しいタイトルの1つ。過去に遡っても、ドリームキャスト版との相違点が多く評価が低迷しているゲームキューブ移植版を除き、移植版は存在しません。
「サクラ大戦」も一部ナンバリング作品のプレイがすでに困難
「エターナルアルカディア」をはじめ、名作として知られる「サクラ大戦」シリーズの一部作品も、現在ではプレイが困難になっています。たとえば「サクラ大戦4 〜恋せよ乙女〜」は、ドリームキャストおよびPC(Windows 98/Me/2000/XP)向けに発売されました。しかし、ドリームキャストはすでに販売終了しており、PC版もWindows XP以降の動作確認がされていません。そのため、快適に遊ぶにはWindows XPの仮想環境を別途用意する必要があります。
このように、名作タイトルの一部は現在「遊びづらい」状況にあるのが現実です。
実はドリームキャストはCD-ROMではなく「GD-ROM」
ドリームキャストの互換機の登場を阻む、極めて大きな要素が「GD-ROM」という独自規格のメディアを採用していることです。GD-ROMはCD-ROMドライブでは、読み込むことができません。
そのため先に述べたCD-ROM対応互換機「Polymega」の開発元企業もドリームキャストの互換については、GD-ROMを読み取るためのメカニズムの検証こそしているものの「挑戦的だ」との評価にとどまっています。
エミュレータは存在するものの、実機も必要
ドリームキャストのタイトルで遊びたいならば、PCで動作するエミュレータを使用すればよいのでは? と考える方もいるでしょう。本稿では個別のエミュレータの紹介や使い方への言及は割愛しますが、たしかにドリームキャストのタイトルに対応するエミュレータは存在します。しかし、この場合においても「GD-ROM」は大きな壁となります。
GD-ROMを読み取る実機が必要となるためです。よってエミュレータを使用する場合でも、ドリームキャスト本体が必須であるのが現状。またドリームキャストは型番によって、データの吸い出しができるものとできないものがあります。具体的にはMIL-CDと呼ばれる規格に対応したドリームキャスト本体でなくては、データの吸い出しは難しいです。
総じて「自宅で所有しているドリームキャストのゲームを吸い出して、PCで遊ぶ」こともハードルが高いです。
ドリームキャストのゲームをいまでも遊びたい際はやはり「本体」が必要
ドリームキャストは「中古ハード」を買うしかいまでも遊ぶ手がない状態といえるでしょう。復刻版ハードが存在せず、エミュレータを使用するにもデータの吸い出しそのものに実機が必要となるためです。
ドリームキャストの中古本体はリサイクルショップや、中古品を取り扱う各種ECサイト、フリマアプリなどで販売されているケースが多いです。一方で販売終了から長い年月が経ったハードであることも事実であり、ジャンク品相当ではなく動作確認が取れた美品の場合、中古本体の価格はそれなりに高価です。
Yahoo!オークションなどにもドリームキャストは出品されていますが、筆者が確認したところ、動作確認済みの落札相場は約5,000円、美品では約10,000円が目安です。
ドリームキャストミニに断念の噂も
GD-ROMの独自規格が壁となり、ドリームキャストの「互換機」は登場自体が難しいのが2024年時点での現状だといえるでしょう。互換機で遊ぶことはおろか、個人で所有しているドリームキャストのゲームのディスクからデータを吸い出すことのハードルも高いのが現状です。
すると「ドリームキャストでいまでも遊ぶ」場合、期待されるのはメガドライブミニのような復刻版ハードの登場です。しかし海外メディアの報道では、ドリームキャストミニは開発が検討されたもののコスト高のため頓挫しているのが現状とのこと。
そのためハード開発の対案としてドリームキャスト用タイトルのPC向け復刻も検討されているものの、こちらは海外コミュ二ティからの反応がいまひとつだそう。「移植されたもの」をPCで遊ぶのでは気持ちが盛り上がらず、どのハードで遊ぶのかも重要だと考えるファンは国内外を問わずに多いのかもしれません。
ドリームキャストで遊ぶのは「困難」になりつつあるのは間違いなく、中古で動作確認が取れている本体を購入するか、互換機もしくは復刻版ハードの登場を首を長くして待つしかないといえるかもしれません。
※サムネイル画像は(Image:「Amazon」公式サイトより引用)