Amazon Echo Show(エコーショー)シリーズのメリット・デメリットは?

スマートスピーカーといえば音声でやりとりできるのが特徴だが、最近はディスプレイを搭載した機種も増えている。特に人気なのが、Amazonの「Echo Show(エコーショー)」シリーズだ。「画面があると便利そうだけど、実際どうなの?」と気になる人のために、メリットやデメリットなどを紹介しよう。

Echo Showとはどんな製品なのか

 音声アシスタントのAlexa(アレクサ)を搭載し、話しかけるだけで多彩な機能を利用できるAmazon Echo。その中でもディスプレイ搭載のEcho Showシリーズは、音声だけでなく画面でも情報を確認でき、写真や動画も見られるのが特徴だ。
 具体的にどんなことができるのかをチェックする前に、まずはEcho Showシリーズの製品ラインナップを見てみよう。

(Image:Amazon.co.jp)

5インチディスプレイ搭載の「Echo Show 5」。Echo Showシリーズの中では一番コンパクトで、価格も手ごろだ(価格:9980円)

●Amazon Echo Show 5は→こちら(Amazon)

(Image:Amazon.co.jp)

8インチHDディスプレイ搭載の「Echo Show 8」。大きめの画面で動画鑑賞やビデオ通話を楽しみたい人に最適(価格:1万4980円)

●Amazon Echo Show 8は→こちら(Amazon)

(Image:Amazon.co.jp)

10インチHDディスプレイ搭載の最上位モデル「Echo Show 10」。モーション機能により、画面が自動的に回転するのが特徴だ(近日発売予定、価格:2万9980円)

●Amazon Echo Show 10は→こちら(Amazon)

 それでは、Echo Showシリーズの便利な機能について紹介していこう。
 まず注目したいのが、ビデオ通話に対応していることだ。画面なしのEchoでも音声通話は可能だが、Echo Showシリーズはディスプレイとカメラを搭載しているので、お互いの顔を見ながら通話できる。コロナ禍でなかなか会えない友人や、離れて暮らす家族とのコミュニケーションに役立つだろう。テレワークでの打ち合わせにも活用できる。相手がEcho Showを持っていなくても、スマホの「Amazon Alexa」アプリを利用してもらえばビデオ通話が可能だ。日本では未対応だが、米国など一部の国では最大7人のグループ通話やZoomとの連携にも対応している。これらの機能が日本でも使えるようになれば、さらに便利になるはずだ。
 また、自宅にあるEcho Showの映像を、外出先からスマホで見ることも可能だ。留守番中の子どもやペットの様子を確認したり、簡易的な防犯カメラとして使ったりと、幅広い用途に活用できる。

(Image:Amazon.co.jp)

ビデオ通話中の画面。発信や応答、終話などの操作が音声で可能なので、手軽に通話できる。Echo Show 10の場合、ユーザーの動きに合わせてディスプレイ部分が自動的に向きを変える仕組みで、通話しやすいように設計されている

プライムビデオやNetflixの動画を視聴できる

 映画やドラマ、アニメなどの動画を視聴できるのも、Echo Showシリーズの大きな魅力だ。プライムビデオのほか、NetflixやParavi、ひかりTVに対応しており、内蔵ブラウザーを使ってYouTubeなども再生できる。機種にもよるが、画面がスマホよりも大きいので、快適に動画を楽しめるだろう。

プライムビデオの動画選択画面。おすすめの一覧やウォッチリストから見たいものを探し、「1番を再生して」などと話しかけるだけで視聴できる

 また、オンラインフォトストレージサービスの「Amazon Photos」に保存した写真を閲覧できる機能もある。スライドショー形式で表示できるので、Echo Showを操作していないときはデジタルフォトフレーム風に使うことが可能だ。

 画面でさまざまな情報を確認できるのもEcho Showシリーズの特徴だ。たとえば音楽を再生しているとき、曲名やアーティスト名を知りたいと思ったら、画面なしのEchoでは「この曲は何?」などと尋ねる必要がある。Echo Showシリーズなら、曲名やアーティスト名が画面に表示されるので、ひと目でわかる。

音楽再生中の画面。曲名やアーティスト名、アルバム名がわかりやすく表示される。曲によっては歌詞を表示することも可能

 調べ物をするときも、ディスプレイがあると便利だ。画面なしのEchoでは、質問に対して音声でしか答えてくれないが、Echo Showシリーズなら文字や画像でも確認できる。たとえば「○○は英語で?」と質問すれば、英単語のスペルと発音が同時にわかる。
 Echoに機能を追加するためのAlexaスキルも、最近はEcho Showに対応したものが増えている。こうしたスキルを使えば「電車の乗換経路を文字で確認する」「料理のレシピを写真付きでチェックする」「動画で解説を見ながらヨガや筋トレをする」「株価情報をチャートで見る」など、さまざまな機能を利用できる。
 ビデオ通話や映画・ドラマの視聴といった機能に比べると地味だが、実際に使ってみると、Echo Showシリーズで一番便利なのはこういった点だと実感する。ディスプレイがあることで用途が広がり、実用性が大幅にアップするのだ。

Alexaスキルの「Yahoo!乗換案内」で経路を検索したところ。こういった情報は音声ではわかりにくいが、Echo Showなら文字で表示されるので一目瞭然だ

タッチパネルが使えるから操作がラク

 スマートスピーカーは音声で操作するのが基本だが、Echo Showシリーズ場合は画面に直接触れて操作することもできる。スマホやタブレットと同じように、ディスプレイがタッチパネルになっているのだ。「画面に表示された一覧からどれかを選ぶ」というような場合、音声で伝えるよりもタップしたほうが早い。細かいことだが、操作のストレスを軽減でき、使い勝手の向上につながっている。

画面の右端を左へスワイプすると、このようなメニューが表示される。ここから機能を選んで実行できる

 ここまではEcho Showシリーズの便利な機能や優れた点を紹介してきたが、いくつか弱点もある。「ここがちょっと残念」という点についても触れておこう。

●画面なしのEchoよりも価格が高め

 ディスプレイやカメラが搭載されている分、画面なしのEchoに比べると価格が高い。たとえばEcho Dot(第4世代)なら5980円で買えるが、Echo Showシリーズだと一番安いEcho Show 5でも9980円だ。
 とはいえ、期間限定のセールで大幅に値下げされることも多く、過去にはEcho Show 5が1台5980円、あるいは2台セットで9980円で販売されていたこともある。安く手に入れたいなら、セール情報をこまめにチェックしよう。

●設置場所に気をつける必要がある

 画面なしのEchoは、音声が届く範囲ならどこに置いてもいいが、Echo Showシリーズはディスプレイが見える位置にないと意味がないので、設置場所が制限される。また、Echo Dotなどに比べてサイズ(特に横幅)が大きく、場所を取るのもネックだ。特にEcho Show 10はディスプレイ部分が回転するため、近くに花びんやマグカップなどがあると、ぶつかって倒れてしまうことがある。
 「画面付きの機種がほしいが、設置スペースに余裕がない」という場合は、比較的コンパクトなEcho Show 5を選ぶとよいだろう。

●音質を重視したい人には不向き

 いい音で音楽を楽しみたいなら、Echo Show 5やEcho Show 8はあまりお勧めできない。内蔵スピーカーのサイズが小さいうえに、Echo Show 5はモノラル再生なので、音質の面では期待しないほうがいい。スピーカーとしての性能を重視するなら、「Echo Studio」などのモデルを検討してみよう。
 ただ、Echo Show 5やEcho Show 8は、オーディオケーブル(3.5mmライン出力)やBluetoothで外部スピーカーを接続することもできる。すでに高音質なスピーカーを持っているなら、この方法で音楽を聴けば不満を解消できるだろう。

(Image:Amazon.co.jp)

「Echo(第4世代)」は、3.0インチウーファーと0.8ツイーター2基を搭載し、旧モデルよりも音質が向上している。サウンドを重視するなら選択肢の1つになるだろう(価格:1万1980円)

●Amazon Echo(第4世代)は→こちら(Amazon)

(Image:Amazon.co.jp)

音質にこだわりたい人に最適なのが「Echo Studio」。5.25インチウーファー、2.0インチミッドレンジスピーカー3基、1.0インチツイーターを搭載し、没入感のあるHi-Fi/3Dサウンドを堪能できる(価格:2万4980円)

●Amazon Echo Studioは→こちら(Amazon)

 Echo Showシリーズを使ってみたいけど、価格に見合うメリットがあるのかわからないので購入を迷っている、という人もいるだろう。そこで、Echo Show以外でAlexaの機能を画面付きで使える機器を紹介しよう。

●FireタブレットをEcho Showのように使う

 「Fireタブレット」は、Amazonが開発・販売しているタブレット端末だ。AndroidをベースにしたFire OSを搭載しており、Androidタブレットに近い操作感で使える。Alexaアプリがインストールされているので、Echoの代わりに使うことも可能だ。自宅ではEchoとして、外出先ではタブレットとして1台2役で使えるし、他社製のタブレットに比べると低価格なので、お得感がある。タイムセールで大幅に値下げされることもあるので要チェックだ。

(Image:Amazon.co.jp)

Fireタブレットシリーズの1つ、8インチディスプレイ搭載の「Fire HD 8」(価格:9980円)。このほか、ほぼ同じスペックでRAMの容量を増やした「Fire HD 8 Plus」(価格:1万1980円)や、10インチディスプレイ搭載の「Fire HD 10」(価格:1万5980円)などがある

●Amazon Fire HD 8は→こちら(Amazon)

 FireタブレットをEcho Showシリーズと同じように使いたいなら、「Showモード」をオンにしよう。そうすればEcho Showと似たホーム画面に切り替わり、音声でAlexaを呼び出して操作できる。タブレット用のスタンドに立てておけば使いやすいだろう。
 なお、Showモードに対応しているのは「Fire HD 8」「Fire HD 8 Plus」「Fire HD 10」のみ。廉価モデルの「Fire 7」では利用できないので注意しよう。

画面上端を下へスワイプし、通知パネルの上部にある「Showモード」をタップしてオンにする

このような画面に切り替わり、Echo Showと同じように話しかければ操作できる。タブレットとして使いたい場合はShowモードをオフにしよう

●Fire TVシリーズでAlexaの機能を使う

 Fire TVシリーズは、テレビに接続して使うストリーミングメディアプレーヤーだ。こちらもAlexaを搭載しており、テレビの画面でEcho Showに近い機能を利用できる(一部の機能には非対応)。Echo Showと違って、テレビの大きな画面でプライムビデオなどを視聴できるのが魅力だ。動画鑑賞が主な目的なら、有力な選択肢になるだろう。
 特におすすめなのが、最上位モデルの「Fire TV Cube」だ。単体でもスマートスピーカーとして動作し、Alexaの機能を便利に使える。

(Image:Amazon.co.jp)

Fire TVシリーズの最上位モデル「Fire TV Cube」(価格:1万4980円)。単体でもAlexaの機能を利用でき、テレビの電源が入っていればEcho Showのように使うこともできる

●Amazon Fire TV Cubeは→こちら(Amazon)

自宅ですごす時間が増えた昨今、生活のさまざまな場面で役立つEcho Showシリーズは、さらに魅力を増しているように思える。今回は、Echo Showのメリットやデメリット、同等の機能を別の機器で使う方法など、いろいろな角度から紹介してみた。もし購入を考えているなら、ぜひ参考にしていただきたい。

※サムネイル画像(Image:Joni Hanebutt / Shutterstock.com)

文=文月七那/フリーライター

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