おうち時間が増えたことにより、家電量販店で購入できる完成されたPCだけでなく、必要な機能をカスタマイズして自分好みのPCを作ることができる自作PCの需要が高まっている。テレワークが推奨され自宅の働く環境を強化したい人や、PCで趣味の時間を満喫したい人にも人気の自作PC。その主力パーツであるマザーボードの市場にも大きな変化があったという。今回は、10年以上トップシェアを誇っていた「ASUS」を抑え、見事逆転劇を見せた個性派マザーボードメーカーについて紹介する。
ASRockが10年ぶりに首位へ
2021年4月に発表された家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」でマザーボード市場の月間メーカー別販売台数シェアで1位を獲得したのは「ASRock」だった。ここ10年の間1位を獲得できていなかったASRockだが、2021年に入って以降そのシェアを伸ばし続け、3月にはシェア率37.9%を記録してついに言わずと知れたマザーボード界のトップメーカー・ASUSを抑え1位に輝いた。ここ数年売り上げが落ち込むこともあったASRockだったが、マザーボード市場を大きく揺るがす順位の逆転に注目が集まっている。
同データの「2020年に売れたマザーボードトップ10」でも1位「SocketAM4 AMD B450 B450 Steel Legend」(ASRock)、3位「SocketAM4 AMD B450 B450M Pro4」(ASRock)、4位「SocketAM4 AMD B450 B450M Steel Legend」(ASRock)と、2位のMSIや5位のASUSを除いてASRockの商品が上位にランクイン。このような2020年の商品の売り上げが影響し、トップシェアの獲得につながったようだ。
長年首位の座を維持してきたASUSといえば、海外でも人気のトップメーカーだ。機能が豊富なことや拡張性・汎用性に優れた製品が評価され、“堅実なメーカー”として人気を誇ってきた。一方、この10年ASUSとは真逆の方向性で勝負し続けてきたのがASRockである。ASRockの人気のヒミツは、耐久性・機能性を兼ね備えたコストパフォーマンス抜群の価格。通販商品の値段が比較できるサイト「価格ドットコム」でマザーボードのカテゴリーでASRock が1位を獲得していることからも、価格に満足しているユーザーが多いことが伺える。
そしてなによりPCファンの支持を集めている理由は“製品のユニークさ”だ。防水機能や除湿機能といったマザーボードらしくない独自機能を盛り込んだり、不要とも思える旧型のパーツにも対応したりと、PCファンの間では個性的すぎるがゆえに“変態マザーボード”とも呼ばれ、ASRockに対して「一風変わったマザーボードメーカー」という印象をもつ人も少なくないだろう。コストパフォーマンスに加え、独自路線で差別化を図ってきたことが今回1位に返り咲いた理由のひとつなのかもしれない。
個性派がいまや正統派となりつつあるASRock。マザーボード界での生き残りをかけて進化し続けるASRockが、今後どのようなユニークな商品を展開するかに期待が集まる。
参照元:マザボ市場で10年ぶりに首位交代、ASRockがASUSを逆転【BCN+R】