ネクタイから糸!? でも切るのはちょっと待って! 職人さんのお願いツイートが話題!

都内にも桜が咲き始める今日この頃、パリッとしたスーツに身を包んだ就活生らしき大学生の姿を巷でよく見かけるようになった。筆者が就活生だったのは、もう10年ほど前の話だが、いまだにリクルートとおぼしき大学生を街中で見かけると、「この学生さんが、第一志望の会社から内定を貰えますように!」と、心の中で応援せずにはいられない。

今年の就活解禁日も過ぎ、スーツ姿の学生がいよいよ目立ち始めてきた2022年3月15日のこと。しゃく。(@shakunone)さんが投稿した「ネクタイから糸が出ていても、引っ張ったり切ったりしないで」という注意喚起のツイートは、瞬く間にリツイートの嵐となり、12万件以上の「いいね」を獲得した。今回は、しゃく。さんが投稿したツイートの理由と、これを聞いたツイッターユーザーたちの声をまとめてみたので、ぜひ皆さんにご紹介したいと思う。

謎の糸の正体は!?

1968年創業のネクタイ工場『SHAKUNONÉ ®︎』の3代目として代表をつとめる、しゃく。さんは、ある日ネクタイの裏側の画像とともに、このような投稿をツイートした。

ツイートに添えられたネクタイの画像からは、確かに小さな謎の糸が飛び出している。パッと見た感じだと、ただのほつれかとも思うのだが、どうやらコレは「スリップステッチ」と呼ばれる大変重要な糸なのだそう。

ツイッター上では、「知らなかった」「めっちゃ勉強になる」などの意見が、短時間にいくつも飛び交い、この糸の知名度の低さを物語った。

スリップステッチの役割

しゃく。さんによると、この「スリップステッチ」という糸は、ネクタイを結んだり解いたりする時に、伸縮を補助する余裕糸という役割を持っているそうである。

ネクタイを長時間ずっと使ったり、思わぬ負荷がかかってしまうと、ネクタイの中心を縫っているステッチが緩んでしまうことがあるらしい。そんな時に、この糸を引っぱると元通りのキレイな形になるそうだ。これは、ネクタイが1本の糸で縫い上げられているからで、もしもうっかりスリップステッチを切ってしまうと、ネクタイがバラバラになってしまう危険性すらもあるとのこと。なんという罠だろうか。ネット上には、「何度か切った経験がある」という人や、「この糸引っ張ってネクタイ1本ダメにした」という、すでに糸に翻弄された後の人の悲壮感溢れるコメントが寄せられた。

しゃく。さん曰く、主にハンドメイドでしっかり作られたネクタイには「スリップステッチ」が付けられていることが多いそうだ。そうなると、ただ単に筆者は、今まで安物のネクタイしか身に着けていなかったのではないか、という悲しい可能性が浮上した。糸など切っていないのに、完全に心のもらい事故である。

ネクタイにこんな糸があることを知らなかった人たちからは、「新社会人に教えてあげたい!」との意見や、「切っちゃった人、いっぱいいそう」という心配の声もあがっていた。

いざという時のネクタイに!

さて、このネクタイの生命線とも言える「スリップステッチ」だが、もしも切れた場合は、基本的には買い換えるのがオススメらしい。ほつれと間違えて、うっかり自分で切ってしまうなんてことは、もちろん言語道断である。「切れたところで結ぶ」という応急処置もできるそうだが、思い出のあるネクタイなどの場合は、できるだけ早くネクタイの職人さんや、購入した店舗へ相談して欲しいそう。

しゃく。さんのブランド「SHAKUNONÉ ®︎」では、ネクタイを購入すると、発送時に必ず「スリップステッチ」の注意書きを添えてくれているそうなので、もしも「すでに切っちゃったよ!早く言えよ!」という、うっかり八兵衛のような人がこの読者の中にいらっしゃれば、これを機にいっそのことネクタイを新調してみるのもアリかも知れない。

「SHAKUNONÉ ®︎」ではInstagram→こちらもやっており、一点モノのオシャレなネクタイやスーツの参考コーディネートなども紹介しているので、もし良かったらフォローしてみて欲しい。今でも普段は、仕事柄あまりスーツを着ない筆者だが、いざという時の一本があれば、ちょっと高級なお店でのデートなどでも大活躍しそうである。女性の方は、恋人や旦那さんへのプレゼントにするのもオススメだ。その時は、「このネクタイにはスリップステッチという重要な糸があり、絶対に切ってはいけない」ということも、玉手箱の「絶対に開けてはいけない」よろしく、ぜひ一言添えてからプレゼントして欲しい。

※サムネイル画像(Image:「しゃく。(@shakunone)さん」提供)

花澤瑠衣(はなざわ・るい)
編集/ライター。猫が好き。趣味は読書と酒。数年間のハイボールブームを終えて、現在は空前の芋ロックブームを迎えている。おすすめの焼酎は、だいやめ。
Instagram:@lui0710

文=花澤瑠衣/編集・ライター

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