2001年7月に公開された、スタジオジブリによる映画『千と千尋の神隠し』。言わずと知れた宮崎駿監督作品で、日本では歴代2位の316億8000万円という興行収入を記録し、公開から20年以上が経った今でも多くのファンに愛されている。筆者が小学生の頃、初めて映画館で見た映画は、この『千と千尋の神隠し』だった。
2022年3月26日に投稿された、7@_szunaさんの「千と千尋の神隠しみたいな写真が撮れた。」というツイートには、作中で主人公の千尋が乗った「水面を走る電車の中から見た光景」にそっくりな写真が添えられており、Twitter上で多くの反響を呼んだ。今回は、そんな7さんのツイートに寄せられた様々な意見と、『千と千尋の神隠し』の魅力をご紹介したい。
『千と千尋の神隠し』とは?
名作中の名作と言っても過言ではない『千と千尋の神隠し』だが、まだ見たことのない方向けに、先に簡単なストーリーをお伝えしておきたい。
両親とともに引っ越し先の新しい家へと向かう予定だった10歳の少女「千尋」は、トンネルを抜けると、不思議な異世界の町へと迷い込んでしまう。神々に用意された料理に手をつけたバツとして、醜いブタの姿に変えられてしまった両親を助けるため、その世界を牛耳る「湯婆婆」のもと、『油屋』という屋号の銭湯のような場所で千尋は働くこととなる。その際に湯婆婆から名前を一文字取られ、『千』と呼ばれるようになった千尋は、個性豊かな仲間たちと出会い、異世界での暮らしを通じて成長していく、といったストーリーだ。
ベルリン国際映画祭において、アニメーションとしては史上初の最高賞である「金熊賞」を受賞した『千と千尋の神隠し』は、その他アカデミー賞をはじめ、日本国内外の多くの賞の栄冠に輝いている。当時、夏休み公開の映画だったにも関わらず、翌年の春休みまで上映が続くという異例のロングラン興行となったそうだ。
作中に出てくる町並みは、台湾にある「九份」という町にとても酷似しており、千尋が働くこととなった『油屋』は、日本に点在するいくつかの温泉街をモデルにしたのではないかとファンの間では囁かれている。どれもスタジオジブリが公式に認めているわけではないのだが、この他にも『千と千尋の神隠し』に出てくる景色や建物とよく似ている場所は、全国各地に存在しているようだ。
あの名シーンが現実に!
7さんが投稿したツイートの写真は、千尋が作中で「ハク」という友達が犯した過ちを救うために、「湯婆婆」の双子の姉である「銭婆」のもとへと向かう交通手段として乗った、水面を走る不思議な電車『海原電鉄』の窓から見える景色にそっくりである。
千尋たちが電車に乗りこみ目的地へと向かうシーンは、物語の展開として何か特別なイベントが発生するというわけではない。しかし筆者は、こちらの電車のシーンが大好きだ。ゆったりと流れる時間の経過や、いつの間にか随分と遠くまで来てしまったことに対する、10歳の少女の不安などが繊細に描かれており、妙にノスタルジックな気持ちになるのである。
7さんが投稿した写真は現実世界にちゃんと存在する場所なので、実際にこの電車に乗り込めば、まるで自分が千尋になったかのような不思議な気分を味わえるかも知れない。
この写真を見たTwitterユーザーたちからは、「素敵な写真ですね」との声や、「千と千尋のこのシーンで流れていた音楽が、頭の中に浮かんできてジーンときました」などの感想が寄せられた。
この写真の撮影場所は?
気になる写真の撮影場所だが、リプライ欄では「江ノ電ではないか?」との考察が飛び交っている。しかし、投稿者の7さんからは、特に撮影場所がどこなのかまでは明らかにされていない。世界のどこかにこの景色が実在するのは間違いないが、現時点で詳細はまったくの不明である。
Twitter上では、「四国愛媛県伊予〜下灘駅も最高に絶景ですよ」との声や、「これ、香川の詫間駅〜海岸寺じゃないですか?」といったコメントもあり、こちらの海面を走る電車も、油屋と同じように、全国各地にモデルが存在するのかも知れない。
皆さんもぜひ、身近な場所で『千と千尋の神隠し』の面影を探してみてはいかがだろうか。その際はぜひ、怪しげなトンネルや、軒先に美味しそうな料理が並んだ屋台には気を付け、うっかり不思議の町に迷い込まないように注意して欲しい。
※サムネイル画像(Image:「7(@_szuna)さん」提供)