みずほ銀行は、東京都千代田区に本店を構える都市銀行である。全ての都道府県に支店があるので、口座をお持ちの方も多いのではないだろうか。そんなみずほ銀行には、産業調査部という部署が存在し、さまざまな調査レポートを発行している。
2022年4月20日に投稿された、村田泰祐@Murata_Taisukeさんの「みずほ銀行が148ページにわたる日本のエンタメ産業の現状と勝ち筋へのレポートを無料で公開。出版、映画、アニメ、音楽、ゲーム全網羅。各業界のビジネスモデル、権利の仕組み、Disneyなど成功企業の分析まで図解で分かりやすく解説。無料なのに神資料なので読むべき！」というツイートには、2.3万件を超える「いいね」がつき、多くのツイッターユーザーたちからの反響を呼んだ。
今回は、ツイートに関する詳細と、リプライ欄に寄せられたコメントをご紹介したい。
エンタメ産業とは？
エンタメ産業とは、人に娯楽を提供する業界のことである。コンテンツからレジャーまでさまざまな側面を持つが、どこからどこまでの会社がエンタメ産業なのかという定義は非常に曖昧だ。誰が見てもエンタメ産業だと言えるのは、映画、音楽、放送、出版、ゲーム、ギャンブル、スポーツ、舞台、遊園地あたりではないだろうか。
今回、みずほ銀行が発行した「みずほ産業調査」では、エンタメ業界の「問題意識の提起」から始まり、コンテンツ産業を市場規模の大部分を占める「出版」「映画」「アニメーション」「音楽」「ゲーム」の 5つの産業カテゴリーに分けた上で、競争環境及び戦略方向性について考察している。
レポートは二部構成となっており、第一部の考察を踏まえて、第二部では日本のコンテンツ産業プレーヤーが、世界で存在感を発揮し続けるための打ち手を提示。エンタメ業界で働く人以外が読んでも、かなりわかりやすく面白い内容となっている。
無料公開でありながら、結構なボリュームがあるので、資料そのものが読み物としてのエンタメと言っても過言ではないかもしれない。
コンテンツ産業で存在感を示すにはIP戦略が大切
このツイートを見たツイッターユーザーたちからは、「知りませんでした。教えていただき、ありがとうございます」という声や、「自社の勝ち筋は見えているのかなぁ…？」など、さまざまなコメントが寄せられている。
また、どういうわけか、みずほ銀行は、2021年2月からの12か月間に、合計11回ものシステム障害を発生させていることから、「障害ばっかり出している銀行に言われてもね」との意見や、「まず自分のところのシステムを解析しろと思っている」などの手厳しいコメントも相次いだ。
この件は、すでに監督官庁による行政処分を受け、経営幹部が引責辞任する事態にまでいたっているので、それはそれとして横に置いておいて、今回のレポートを楽しんでもらえれば幸いである。
筆者も以前はエンタメ業界で働いていたのだが、自社のゲーム産業についてしか概観を知らなかったので、他業種の制作の流れを知ることができて、とても勉強になった。異業種の全体を俯瞰して見ることなど、普通はなかなかないので貴重な体験である。
「みずほ産業調査」のレポートでは、Disneyの取り組みを例に出し、コンテンツとIPを自社で抱える方式をとることをオススメしていたが、日本の企業が世界のコンテンツ産業において存在感を高めていく上で、このやり方はぜひマネするべきだなと思った。
みずほ銀行産業調査部のレポートは面白い！
みずほ銀行では、こうした「みずほ産業調査」と題したレポートを不定期で発行している。HPのアーカイブで見られるのは、2005年のvol.15のレポートからなので、もしかするともっと前から、こういった取り組みを行っていたのかもしれない。
みずほ銀行産業調査部では、「みずほ産業調査」のほかに、「Mizuho Industry Focus」という産業界を巡る、時々の最新テーマに焦点を当てて刊行しているレポートや、「Mizuho Short Industry Focus」という業界や業種の最新情報を含めた、ビジネスの観点で有益となるであろう、社会・経済情報などのタイムリーな話題を扱うレポートも発行している。
過去のレポートも閲覧可能なので、今と10年前の違いを比べてみるのも、なかかなか面白いかもしれない。かなり気合の入ったレポートであるにもかかわらず、これらは全て無料公開なので、気になる人は読んでみてはいかがだろうか。
●みずほ銀行 産業調査 Vol.69は→こちら
※サムネイル画像（Image:「村田泰祐（@Murata_Taisuke）さん」提供）