さまざまなジャンルの古本を買い取り、店頭で販売しているブックオフ。「本を売るならブックオフ♪」というジングルでもお馴染みだが、本だけではなくCD、DVD、ゲーム、おもちゃ、トレカなども対象としているため、ブックオフではインドア派の娯楽関係をほとんど網羅している、といっても過言ではない。
2022年4月29日に投稿された、ラファ鉄@rafatestu7mdajさんの「ブックオフに行ったら世界の名著シリーズが1冊110円で売られているという奇跡に遭遇したので、手で持って帰れる限界の冊数分を購入した! GW幸先がいいスタートや!」というツイートには、8400件を超える「いいね」がつき、多くのツイッターユーザーたちからの反響を呼んだ。
今日は、「世界の名著」シリーズに関する詳細と、リプライ欄に寄せられたさまざまなコメントをご紹介したい。
世界の名著ってどんな本?
投稿者のラファ鉄さんが1冊110円で手に入れた「世界の名著」とは、一体どのような本なのだろうか。すでにご存じの方もいるかもしれないが、はじめて聞いた方のために、簡単に説明しておこう。
中央公論社の「世界の名著」とは、ざっくり言うと全66巻からなる哲学書である。大学時代に哲学科や心理学科などの学部に在籍していた方は、表紙だけでも一度は見たことがあるかもしれない。
実は筆者もずいぶん昔に、「世界の名著」シリーズから数冊をピックアップして、大学前のブックオフで購入した経験がある。久しぶりに、この「世界の名著」というタイトルを思い出し、なんだか懐かしくなってしまった。筆者が購入したのは10年以上前の話なので、さすがに当時の購入価格は覚えていないが、1冊110円は間違いなく破格である。
この投稿を見たツイッターユーザーたちからは、「これ、実家にありました! もう処分してしまったはず」との声や、「羨ましいです。それにしてもそれほどに良い物を手放す方も居るのですね」などのさまざまなコメントが寄せられた。
世界の名著VS世界の大思想
ちなみに、この「世界の名著」は、全15巻にわたる続編もあり、筆者が一番よく読んでいたのは、ユングの「心理学的類型」と、フロイトの「精神分析学入門」だった。
思想叢書としては、「世界の名著」と河出書房新社の「世界の大思想」が、恐らく当時の二大巨頭だったのではないだろうか。「世界の大思想」は全訳を行っていることに対して、「世界の名著」では原文の一部を抜き出して翻訳している。
大学時代の友人は、「世界の大思想」の方を教授に勧められたらしく、そちらを読んでいたが、この2シリーズを比較すると、訳の質的にも「世界の名著」の方がはるかに読みやすい。そのため、筆者は当時からずっと、「世界の大思想」に対しては、玄人向けの哲学書というイメージを持っている。
この手の本は、良書ながらも絶版になっている場合が多く、欲しいときに買おうとしても、なかなか手に入らない。最近ではメルカリやアマゾンなどのおかげで、多少買いやすくはなってきたが、全巻セットで手に入れようとすると、一部の巻のみがどこを探しても在庫切れ、なんてこともよくあるのだ。
読みたいだけの時は図書館に行けば良いが、コレクションとしても手元に置いておきたい場合は、わりと揃えるのが難しい。
古本屋は宝の山!
もしも、「世界の名著」や「世界の大思想」を欲しいと思った読者の方がいれば、狙い目は大学付近の古本屋である。大学生は卒業と同時に下宿を引き払う人も多く、そのタイミングで紙の本を手放すことがあるので、春先に出向けば、意外とすんなりゲットできるはずだ。
こういった哲学系の本は、買ってすぐに読み切る必要はない。というか、1冊を理解するまでに、何十時間もかかるのが当たり前だ。「世界の名著」は、立ち止まったり、悩んだりをくり返しながら、ゆっくりと時間をかけて自分の中に落とし込むタイプの本である。
すぐには理解できなくても、手元に置いて何度も見返すことで、いつかふと理解できる日が来るかもしれない。そういう意味では、借りて読むよりも、買って読むのがオススメだ。
出版不況や書籍の電子化が進み、絶版になってしまった良本も多い今、皆さんも連休の際に、古本屋で自分なりの宝探しを楽しんでみてはいかがだろうか。
※サムネイル画像(Image:「ラファ鉄(@rafatestu7mdaj)さん」提供)