2003年の地上波デジタル放送開始に伴って、お茶の間でおなじみになったのが「薄型テレビ」。
薄型テレビが登場して、画面の比率が16:9になって早20年が経過しようとしているとはいえ、まだまだ、ブラウン管テレビやあの四角い4:3比率の画面を覚えている人も多いのではないだろうか。(いなかったら寂しい……。)
だが、今回あまざけさん(@panacolorTH20)のツイートで話題になった、こちらのテレビが記憶にある人は、少数派なのではないだろうか?
なんと1972年にNationalから発売されたダイヤル式テレビである……!!
あまざけさん(@panacolorTH20)のツイートに対して、リプライ欄では「デザインが、Theテレビ」「懐かしい雰囲気」「昭和の銘機」など、久しぶりのガチャガチャテレビに興奮の声が相次いでいる。
また、筆者の知識が足りない部分であるが「受信機側に音声や映像入力端子もあるのか」「300Ωのフィーダー線を探すのか」などなど、知識人からのコメントも飛び交っている。
一般人の昭和レトロ愛をかきたてるだけでなく、マニア垂涎の昭和テレビ。だが、そもそも「超音波リモコンテレビ」とはなんなのか。
超音波リモコンテレビとは
あまざけさん(@panacolorTH20)のツイートで紹介されている「ナショナル製の超音波リモコンテレビ」の元祖は、1971年に三洋電機から発売された「ズバコン」というテレビである。
このズバコンは「10m離れたところからでも、超音波でチャンネルやボリューム操作ができる」ことが売りのテレビであったそうだ。超音波リモコンを操作すると、テレビ本体が音波を受信して、ダイヤルがガチャガチャと回ったらしい。
しかも音波、つまりは音でチャンネルを変えるので、リモコンは電池不要で使えるとのこと。……何それ欲しい。
わざわざリモコンをテレビに向ける必要がなくて、音だけでチャンネルを操作できるとは、ズボラのためのテレビではないか。
なんか超音波とかめっちゃかっこいいし。欲しい、欲しすぎる。
超音波テレビが10年もたたずに姿を消した理由
なぜ、こんなにも中二病向けの超音波リモコンテレビが姿を消してしまったのか。その理由は「超音波リモコン以外の音に反応して、チャンネルが変わってしまうから」とのことである。
音波、つまり高い音がなると、チャンネルのモーターが回る仕組みになっているので、ピアノの高い音はもちろんのこと、小銭をジャラジャラといわせる音や、お茶碗がぶつかる音、金属製のボタンのついた服で歩いた時の音など、とにかく生活音でチャンネルが変わってしまったらしい。
たしかに、ドラマのいいシーンがお父さんのくしゃみ一つで見られなかったら、それはもう家族会議レベルの有事である。猫のタマの首輪につけた鈴でチャンネルが変わっても誰も怒らないだろうけど。むしろ、猫が歩く度にチャンネルが変わるなんて、かわいすぎる。
奥深い昭和レトロの世界と、現代の技術
その後の赤外線リモコンの登場によって、姿を消してしまった超音波リモコンテレビであるが、4年間にわたってこの超音波リモコンテレビを探し続けたあまざけさん(@panacolorTH20)の熱意によって、なんとアンテナ線を接続して、実際にテレビとして機能している状態を見ることができる。
あまざけさん(@panacolorTH20)によると、このツイートで紹介されている超音波リモコンテレビは「調度品として使われていた」そうで、「小一時間のメンテナンスで復帰した」とのことであるが、いやはやなんと約50年前、半世紀も前の家電が動いている様子を見ることができて、「感動」の一言である。
また、あまざけさん(@panacolorTH20)のツイッターでは、実際に高い音でチャンネルが変わる様子や、チャンネルダイヤルが回る様子も見ることができて、とても楽しい上に時々かわいい猫ちゃんの動画もアップされているので、ぜひ皆さんもチェックしてみてほしい。
昭和レトロの世界にはまってしまうこと間違いなしである。
※サムネイル画像(Image:「あまざけ(@panacolorTH20)さん」提供)