iPhoneのキーボードには、さまざまな裏技が存在する。本当に裏技として作られたのかはさておいて、キーボード上で「今日」「昨日」「明日」などを入力すれば、予測変換に実際の年月日が、郵便番号をハイフンなしで入力すれば、住所が表示されるというような裏技は、すでに知っている人も多いのではないだろうか。
2022年5月11日に投稿された、高2の大谷@Ohhtanisaanさんの「zを押した後にh、j、k、lを押すと矢印になる←↓↑→」というツイートには、5500件を超える「いいね」がつき、多くのツイッターユーザーたちからの反響を呼んだ。
今回は、キーボードの入力におけるマニアックな裏技と、コメント欄に寄せられたさまざまな意見をご紹介したい。
矢印に変換される!?
なぜそうなるのかは不明だが、zを入力した後にh、j、k、lのいずれかを押すと、高2の大谷さんが教えてくれたように、たしかに←↓↑→の矢印に変換される。h、j、k、lはキーボード上の横並びの文字列なので、コマンドとしてはかなり覚えやすい。入力時の時短にもなるので、それなりに実用性のある裏技ではないだろうか。
この投稿を見たツイッターユーザーたちからは、「誤字った時に出てきてなんでだろ?って思っていたからスッキリしたわ」といったコメントや、「PCのGoogle日本語入力にもあるけどこれ元ネタどこなんだろう」など、zから始まる出所不明の謎コマンドを不審がる声が寄せられている。
他にもある「z+○」シリーズ
ちなみに「z+○」シリーズは、他にも存在するのをご存じだろうか。これはiPhoneではなく、Google日本語入力を使っている方向けの情報なのだが、先ほどと同じように、z入力後に「,」を押すと2点リーダーの「‥」が、z入力後に「.」を押すと3点リーダーの「…」が出てくる仕組みとなっている。矢印と同様、どうしてそうなるのかまでは不明だが、三点リーダーは使用頻度が結構高めな記号なので、覚えておいて損はないだろう。
また、z入力後に「-」を押すと、波線の「~」を出すことができ、z入力後に「[」を押すと、二重鍵カッコの始まりの「『」が、z入力後に「]」を押すと、二重鍵カッコのしめの「』」が出現する。
これらのzから始まる入力コマンドは、1969年にAT&T社ベル研究所で開発された「Unix(ユニックス)」というOSで利用されていた、日本語入力システムに由来するものらしい。この入力システムは、「Wnn(ウンヌ)」という名称で、アステック・オムロン・京都大学によって共同開発されたそうである。京都大学が開発に関わっていたのであれば、謎の「z+○」のコマンドはなんらかの遊び心に思えなくもない。
そもそも、この若干呼びにくい「Wnn(ウンヌ)」というネーミングセンスも、「Watashino Namaeha Nakanodesu」を「私の名前は中野です」と一括変換できる、という意味でローマ字表記の各文節の頭文字をとって「Wnn」と命名したそうである。「z+○」についても、なんらかのユニークな理由があるのかもしれないが、調べても全貌がわからなかったので、あとは皆さんの想像にお任せしたいと思う。
謎コマンドはロマンがある!
ネット上では、「iPhoneだけじゃないかもですが、ユーザ辞書で入力を「↑」読みを「う」に設定すると「う」のスワイプするだけで「↑」が出ます「み→、し↓、ひ←」も設定しています。「わ」で「www」とか…住所とか…」といったコメントもあり、ユーザ辞書の便利さが取り上げられていた。たしかに、頻繁に使うのであれば、ユーザ辞書に登録すればいいのである。
筆者も昔は、よく使う文字や変換で出ない友達の名前などを、すべてユーザ辞書に登録していたが、最近は優秀な予測変換のおかげで、ほとんど新規の登録をすることがなくなってしまった。ユーザ辞書に登録するのが確実な近道ではあるが、こうした謎のコマンドを発見するのも、それなりにロマンがあって面白いのではないだろうか。
他にも、特殊な文字列を打ち込めば、簡単に打ちたい記号が出てくるなどの情報があるのであれば、さらに知りたいところである。すべて覚えられる自信はないが、マニアックな情報として抑えておきたいのは、やはり筆者がパソコン好きだからかもしれない。どのようなプログラミングも、組んだ人の性格がモロに出るので、「さらにこうした方がよいものができる」と、プログラマーが必死に探究した結果を思いがけず発見するのは、なかなか楽しいものである。バグさえ出なければ、の話だが……。
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