読者の皆さんは、ゲームはお好きだろうか。コツコツやり込む系のゲームから、他の人と集まってワイワイ楽しむ系のゲームなど、ゲームにはさまざまな種類がある。最近はあまり遊ばなくなってしまったという人でも、昔は友達や家族と一緒にゲームを対戦して、盛り上がった思い出がある人も多いかもしれない。
2022年5月17日に投稿された、濱村 崇 / GameDesignLab@GDLab_Hamaさんの、「ゲームには【必ず勝ちと負けがあります】…って言いきってしまうと「いやいや。そうでないゲームもありますよ」という話に当然なりますよね。今日は、ゲームの【勝ちと負け】について視点を変えて考えてみました。オチは無いですけど、考えるキッカケになれば!」というツイートには、あらゆるジャンルのゲームの勝ち負けの分類について、4コマ漫画にしたものが添えられている。この投稿には900件近い「いいね」がつき、多くのツイッターユーザーたちからの反響を呼んだ。
今回は、このツイートに関する詳細を皆さんにご紹介したい。
すべてのゲームに「勝ち負け」はある?
「ゲームには必ず勝ち負けがある」と仮定した投稿者の濱村さんは、まずはじめにサッカーや野球、格闘ゲーム、バトロワなどの対戦ジャンルにおいては、必ず勝者と敗者が存在すると述べている。さらに、一人用のシューティングや音ゲー、アクションゲームに関しても、ステージクリア=勝ちで、ゲームオーバー=負けとすれば、この考え方は成り立つ。しかし、『マインクラフト』などのオープンワールドの中で、ひたすら好きにすごすようなゲーム作品は、どこに勝ち負けを見いだせばいいのだろうか。
その疑問に対して、投稿者の濱村さんは「まあ聞いて」と前置きし、勝ち負けとは評価のことであると定義している。わかりやすく言うと、対人戦は相手との「相対評価」で、ひとり用アクションはステージクリアなどの「絶対評価」のことだ。そこで考えたのは、まったく新たな評価軸であり、『マインクラフト』などのサンドボックスは「自己評価もしくは他者からの評価」に分類されるのではないかという仮説だ。この場合、自分が思い描いているところまで達成できなかった場合が「負け」ということになる。
これら4つの評価軸を組み合わせれば、たしかに「すべてのゲームには勝ち負けがある」と言い切ることができるかもしれない。
投稿者の濱村さんは、「こんなツイートをすると「そう言い切れないだろ!?」ってクリエイターの皆さんなら思いますよね。そして反証を言語化したくなると思います。こういう行為こそが、ゲームを設計していく上で必要な筋トレだと考てます。ぜひ皆さんのご意見や感想を、リプや引用RTしてください」と、先ほどのツイートに追記する形で意見を募集している。
こちらのツイート、実はゲームクリエイター向けのブレインストーミングだったのだ。この原稿を書いている筆者は、偶然にも元ゲームクリエイターなのだが、ユーザーとしてゲームを遊ぶようになると、ゲームに関する「勝ち負け」の定義が自分の中で少し変わってきたなと、最近では思っている。
たしかに、わかりやすい勝ち負けがないゲーム作品は意外と多い。そのような中で、自己評価や他者からの評価を軸にして楽しむことで、勝ち負けが明確になるというのは、筆者も同意見である。
ただ、今はゲームを作っていた頃と違って、もっと広い意味での「ゲームの勝ち負け」は、「そもそも、そのゲームを楽しめるかどうか」なのではないかと思うようになってきたのだ。もちろん、ゲーム性という意味では、各種さまざまな種類のものが存在するし、「クソゲー」と呼ばれるような、はなから話にならないような作品もあるにはある。
ただ、アクションでも、サンドボックスでも、どれほどクソゲーでも、自分が満足するところまで到達できるぐらい楽しめれば、筆者の中では「勝ち」だと考えるようになった。「勝ち」は「元が取れるぐらい楽しんだ」という言葉に置き換えた方が、わかりやすいかもしれない。
具体的に言うと、『あつまれどうぶつの森』では、満足するレベルの島を作る前に心が折れたので「負け」、『リングフィットアドベンチャー』もクリアに至る前に力尽きて途中放棄したので「負け」。しかし、机の奥から発掘されて、久しぶりに遊んでみた初代の『たまごっち』に関しては、はじめて好きなキャラクターを出すところまで育て上げたので、その後たまごっちは普通に死んだが、これは筆者の「勝ち」だと考えている。
ゲームの勝ち負けは意外と奥深い!?
「ゲームにおける勝ち負け」について、皆さんはどのような考えをお持ちだろうか。「必ず」勝ち負けがあるという意見に対しては、詳細は違うものの、筆者は投稿者の濱村さんとほぼ同意見である。この他にもさまざまな意見があると思うし、意外とゲームの勝ち負けは奥が深いものなのかもしれない。
趣味や遊びとして、またちょっとしたストレス発散にも一役買ってくれるゲームは、勝ち負けでは言い表せない価値がある。このようなことを言ってはなんだが、どれほど「クソゲー」にもコアなファンは存在するのだ。ゲームに負けるのはなんら問題ないが、自分の人生には負けないように、気を引き締めて生きねばならないなと、この記事を執筆するにあたって、あらためて感じた筆者だった。
※サムネイル画像(Image:「濱村 崇 / GameDesignLab(@GDLab_Hama)さん」提供)