人類は多くの発明によって、さまざまなアイテムを世の中に生み出してきた。とくに、目には見えない存在である「時間」の概念を解き明かし、最初に時計を作った人は、まさに天才以外の何者でもない。地球上で最初の時計は、日時計だったと言われており、太陽の動きで立体物の影が長さや向きを変えていくことで、時間の存在に気付いたと言われている。
2022年5月26日に投稿された、じーえすくん@ia9k54さんの「横浜駅では10時間制を採用してるらしい(((((」というツイートには、10時までしか文字盤のないアナログ時計の画像が添付されている。この投稿には瞬く間に6.2万件以上の「いいね」がつき、多くのツイッターユーザーたちからの反響を呼んだ。
今回は、こちらのツイートの詳細と、投稿に寄せられたさまざまな意見をご紹介したい。
横浜駅では10時間制を採用してるらしい((((( pic.twitter.com/N0htMezrhd
— じーえすくん (@ia9k54) May 26, 2022
不思議な10時間時計の謎!
当たり前の話だが、通常の時計は12時まで表示されているのが一般的である。一日は24時間なので、時計が一周するごとに午前と午後が入れ替わるシステムだ。これは世界共通なので、どこの国で時計を購入しても、アナログ時計であれば必ず12時まで文字盤がある。
ところが、投稿された画像の時計には、10時までしか文字盤がない。それどころか、秒針が刻むメモリも、通常の5秒ではなく6秒刻みになっている。10時間時計だが、一周で60秒というのだけは合っているようだ。とはいえ、普通のペースで動くと、たちまち通常とは、かけ離れた時刻を表示してしまうので、一体どういう動きをするのか非常に興味深い。
このツイートを見たツイッターユーザーたちからは、「時間のカウント方法に10進法が採用された世界線から流れ着いた時計」と、冷静にこの時計の不思議を分析する声や、「ここだけ時元が違う」「パラレルワールドに迷い込んだ説」「横浜駅には中に異次元まであるのか」など、異世界を疑うようなコメントが多数、寄せられている。
この不思議な時計の正体は?
10時間時計は、一体誰が作ったのだろうか。実はこの時計、正式名称を『Spinout Hours ~弾き出された2時間と、そのいくつか~』といい、遠山正道さんという方の作品らしい。遠山正道さんは、こういった現代アート専門のアーティストさんなのかと思いきや、なんと「スープストックトーキョー」などを手掛けた、現役バリバリの実業家の方だというのだから驚きである。
『Spinout Hours ~弾き出された2時間と、そのいくつか~』は、「架空の国の政府が、能力が低下してしまった人間に対して、10進法を簡便化・合理化した時計をつくった」という設定をもとに制作されている。
ツイッター上では、「横浜駅」と投稿にあったことから「一応、時計としては成立しているのだが…「この時計を確認できるくらい時間に余裕を持とう、駆け込み乗車抑制」的なメッセージ込められているのかな?」と、こちらの時計に関して、深読みするユーザーも見受けられた。
恐らく、制作者は駆け込み乗車の抑制に関してまでは、考えて作っていないだろう。ただ、アーティストの奇抜な発想に困惑しつつも、なんとか必死に作品の意図を読み解こうとする状況というのも、まさに現代アートならではの醍醐味である。
気になる人は見に行こう!
実際に『Spinout Hours ~弾き出された2時間と、そのいくつか~』が設置されている場所は、横浜駅のホームではなく、横浜駅西口直結のNEWoMan YOKOHAMAというファッションビルの1Fだそうだ。気になる人は、見に行ってみてもおもしろいかもしれない。
10進法とはわかっていても、実際に自分の目で見てみると、次第に頭がこんがらがってきそうである。読者の皆さんは、弾き出された2時間に一体どのようなことを思うだろうか。
※サムネイル画像(Image:「じーえすくん(@ia9k54)さん」提供)