「ダジャレ」とは、似通った音を持つ単語を連続して並べる言葉遊びだ。こうして書くとなんだか高尚な遊びのように聞こえるが、「ダジャレ」には「謎かけ」ほどの難易度はない。タイミングを選ばず突発的に思いつく「ダジャレ」は、「おやじギャグ」や「滑りギャグ」などと、若者から揶揄されることもしばしばある。では、なぜ「ダジャレ」は、おっさんやおやじ、中年男性が口にするギャグとして広まっているのだろうか。
2022年8月17日に投稿された、天城を越えない藤原@fj_wr_さんの「おっさんがダジャレを言うのはなぜ?というNHKの番組で、頭の中でダジャレを思い浮かべてしまうのは全年齢的なものなんだけど、その「思いついたことを言わないでおこうと制御する力」が弱くなった結果発してしまうのがおっさん、という残酷な話が好きすぎて思い出してしまう…。」というツイートには、2.1万件を超える「いいね」がついており、ツイッター上で大きな話題となっている。
今回は、こちらのツイートに関する詳細と、リプライ欄に寄せられたさまざまな意見をご紹介したい。
ロジカルに考えると心に刺さる……
投稿者の天城を越えない藤原さんは、先日とあるブログ記事にて「オタクの女性が大人の落ち着きを手に入れたいと悩んでいる投稿に対し、まずは自身の衝動性に対してブレーキをかける訓練が必要である」という回答を目にしたそうだ。衝動性に対して、いったんその衝動を抑えられるようになることが「社会性」である。ブログには、「人は根源的には衝動性の高い動物なので、自らが衝動を抑制することで社会性を獲得する」といった主旨のコメントがあり、ふと今回のツイートを投稿しようと思い立ったそうだ。
ツイートの引用元であるNHKの番組は、バーチャルMCのチコちゃんが、お笑い芸人の岡村隆史さんとともに身近な疑問を解決する『チコちゃんに叱られる!』だそうである。
番組を見た天城を越えない藤原さんは、自身の育児経験を通して「そういえば幼児も最初は衝動性が抑えられないけど、徐々に我慢を覚えるんだよなぁ。つまり、老化とは成長の過程で獲得した「我慢する力」を失うってことなのかも……」と納得したそうだ。
「ダジャレ」は、おじさんになると誰もが言い出すものだと気軽に考えていたのだが、こうしてロジカルに理由を考察されると、なかなか、心に刺さる話である。
加齢により衝動性が抑えられなくなる?
このツイートを読んだツイッターユーザーたちからは、「多分、さらに歳を食うと思いつきもしなくなるから大丈夫だろ、と見ながら言われた私は……」と、同じ番組を見ながら家族に妙な慰められ方をしたとの声や、「情けなさすぎる」といつか自分にも起こる可能性があることを他人事のように語るコメントなど、さまざまなリプライが寄せられていた。
投稿者の天城を越えない藤原さんは、最初のツイートに追記する形で「「ダジャレを言ってしまうのは衝動性が抑えられなくなった結果」って、衝動性を抑えることが社会性、って話の後に聞くと悲しいものがある。。老いると社会性が失われていく…」と述べ、さらに「年齢的な衰えが衝動性を抑えられなくする、というのであれば女性(おばさん)だって同じだけダジャレを我慢できなくなるはずなのだが、番組内で性差に対してのアプローチがあったかどうまでは見られなかった。まあチコちゃんなので半信半疑な内容かもしれんけど…」と、男性だけこのようなおかしな状況になることに、若干、納得がいっていない様子も匂わせていた。
たしかに、加齢により衝動性が抑えられなくなるのであれば、女性もおばさんになると、ダジャレを我慢できなくなりそうだが、自分の母親や祖母がダジャレを連発している様子は今のところ見ていない。
ダジャレは一種のコミュニケーション?
そもそも、男性がダジャレを発言することの根底には、他者とのコミュニケーションを円滑にしたいという思いがあるのではないかと筆者は睨んでいる。どれだけ「寒い!」「おもしろくない!」と言われても、恐らくおじさんにとって「ダジャレ」は、聞かされた側の一連のリアクションも含めて一種のエンターテイメントなのだろう。
皆さんの周りでも、ダジャレを連発するおじさんがいるかもしれない。友人知人、父親が、気が付くといつの間にかダジャレメーカーとなっていることもあるはずだ。そのような時は、これもひとつのコミュニケーションだと受け止めて、スルーせずにリアクションを返すと、なんらかの楽しい展開が待っているかもしれない。