皆さんは、「国民皆保険」という言葉をご存じだろうか。日本では、すべての国民が健康保険に加入することが義務付けられており、これを国民皆保険制度と呼ぶ。保険に入っておくこと、思わぬ事故や病気になった時にも、高額な医療費の負担が軽減できるメリットがある。
2022年10月1日に投稿された、ねこみち|毎日図解でお金を学ぶ@Tomojidienさんの「名前がソックリですが「健康保険」と「国民健康保険」はまったく違います。転職や起業を考えている人にとって、この違いは超重要です。自分はどっち?という人はリプ欄です」というツイートには、健康保険と国民健康保険の違いをわかりやすく解説した図が添えられていた。この投稿には、8000件を超える「いいね」がついており、ツイッター上で大きな話題となっている。
今回は、こちらのツイートに関する詳細と、リプライ欄に寄せられたさまざまな意見をご紹介します。
名前がソックリですが「健康保険」と「国民健康保険」は全く違います。転職や起業を考えてる人にとって、この違いは超重要です。自分どっち?という人はリプ欄です pic.twitter.com/E6fEcgQvY2
— ねこみち|毎日図解でお金を学ぶ (@Tomojidien) September 30, 2022
健康保険と国民健康保険の違いとは?
健康保険と国民健康保険は、どちらも健康保険制度のひとつなのだが、比べてみると内容に多少の違いがある。ツイートで紹介されていた、健康保険と国民健康保険の具体的な違いを見ていこう。
まず、出産手当金と傷病手当金だが、国民健康保険の場合は両方とも受け取ることができないのに対し、健康保険に加入している場合は、その両方を受け取ることができる。
各保険の対象者は、会社員や公務員、またその扶養家族は健康保険に加入し、その他の個人事業主やフリーランスなどは、国民健康保険に加入する場合が多い。フルタイムで働いて家計を支えている人が、なんらかの理由で働けない期間が出来た場合に、救済制度としてこうした各種手当金が用意されている。
ネーミングがややこしい
次に、家族が増えた場合の保険料について見ていこう。こちらは健康保険だと変わらないのに対し、国民健康保険の場合は世帯人数に応じて保険料が計算されるので、家族が増えれば、増えるだけ保険料も増える。
保険料の支払いに関しては、国民健康保険の場合は全額自分で支払わなければならないが、健康保険の場合は半額が勤務先の負担となる。この場合は、給料から天引きされるのだが、労使折半は健康保険に加入する上でかなり大きなメリットだと言えるかもしれない。
最後に扶養についてだが、こちらは健康保険であれば条件次第で家族の保険料の負担はないが、国民健康保険の場合は家族の保険料を負担しなければならない。
このツイートを見たツイッターユーザーたちからは、「お金の勉強始めたての頃、「なんでこんなややこしいネーミングなん?」って思ったのを思い出しました。名前がこんなに近いのに、内容はかなり違いますよね」と、「健康保険」と「国民健康保険」の名前が似すぎていることに対する疑問の声や、「現役高校生ですが、やっぱりこういうものは覚えて置くといいなと思いました」といった学生の生の声など、さまざまなコメントがリプライ欄には寄せられていた。
国民皆保険制度は日本の財産
表だけを見ると、会社員や公務員が加入できる健康保険の方がメリットは多そうだが、給料天引きであるがゆえに、節税対策という意味では自営業者やフリーランスの方が受ける恩恵は大きい。
また、所得が基準値を下回った場合も国民健康保険であれば、自動的に減額してもらうことができる。国民健康保険は所得によって保険料が上がるのが一般的だが、国民健康保険組合に加入することで、業種によっては保険料を抑えられることもあるのだ。
健康保険と国民健康保険は、どちらもリスクを社会全体でカバーしあうという仕組みだ。日本では生まれた時から当たり前のようにある制度なので、なかなかその有難みを実感する機会は少ないかもしれないが、お金を気にせず国民全員が受けたい医療を選択できる「国民皆保険制度」は、間違いなく日本の大きな財産である。
※サムネイル画像(Image:「ねこみち|毎日図解でお金を学ぶ(@Tomojidien)」さん提供)