子どもは好奇心の塊だ。さまざまな出来事に対して「どうして?」「なぜ?」といった疑問がたびたび湧き上がる。読者の皆さんも、ふとした瞬間に、子どもからうまく答えられない質問を投げかけられたことがあるのではないだろうか。
2022年10月10日に投稿された、Yuki Maeda@yukisumireさんの「下山後のペットボトル。登山始めた頃、娘に「このペットボトル何でこんなに凹んでるの?」と聞かれて山と下界の気圧の違いでそうなると一応詳しく説明したら「なんでお母さんはそうならないの?」と聞かれ「本当だねえ」としか答えられなかった」というツイートには、登山で凹んだペットボトルの写真が添えられていた。この投稿には、5.4万件を超える「いいね」がついており、ツイッター上で大きな話題となっている。
今回は、こちらのツイートに関する詳細と、リプライ欄に寄せられたさまざまな意見をご紹介したい。
この疑問の正しい答えは?
まず、ペットボトルが凹む理由となった、高度による気圧の違いから簡単におさらいしていこう。中学校で理科の時間に習ったことを思い出してほしいのだが、「気圧」とは空気が物を押す力のことである。
標高が高い場所は空気が薄くて気圧が低く、空気が濃い低地は気圧が高い。そのため、高い場所から低い場所へと移動すると、ペットボトルは気圧に押されて圧縮されてしまうのだ。
では、どうして人間は山登りをしても、ペットボトルのように凹まないのだろうか。ツイートにおける質問の答えとして正しいのは、「人間の体はペットボトルのような完全な密閉状態ではないから」である。
しかし、気圧の低い場所において、人間の体にまったく影響がないのかと言われればそうではない。鼓膜のあたりは、空気が密閉に近い部位なので、誰でも気圧の変化でキーンとなったことが一度はあるはずだ。気圧が低い場所は、もれなく空気中に含まれている酸素の量も少ないため、登山などでは体が環境に順応できず「高山病」と呼ばれるような症状を発症する人も多くいる。
飛行機内の気圧は?
このツイートを見たツイッターユーザーたちからは、「電車の中で拝見し、笑いをこらえて腹筋がはち切れるかと思いました。あぶないあぶない。お嬢様の純粋な言葉がグサッと刺さりますね」と、ほのぼのエピソードに思わず笑ってしまったとの声や、「登ったらこんな凹むんだったら頑張れるんですけど、。なんで降りた後体重計乗って変わらないのか自分、、です」と、ペットボトル並にやせられるのなら山登りのモチベーションになるのに…といった声など、さまざまなコメントがリプライ欄には寄せられていた。
では、山よりもはるかに高い所を飛ぶ飛行機内の気圧は、一体どうなっているのだろうか。そのままだと、とんでもなく低い気圧なのだが、飛行機では客席の気圧を調整して地上の気圧になるべく近くなるよう設定している。
具体的に言えば、地上が1気圧で飛行機内は約0.8気圧だ。水平飛行中の飛行機内は、標高約2,000mの山に登っているような状態と同じような環境だそうなので、山に例えると富士山の五合目にいるような感覚といったところだろうか。
正しい答えを教えることは、知的好奇心を刺激する
山登りでペットボトルは凹むのに、人間はどうして凹まないのかという、子どもの素朴な疑問。自分の頭ではわかっていても、言葉を選んで子どもにわかりやすく伝えるというのは、意外と難しいものである。
しかし、こうした子ども目線の疑問に対して、タイミングよくきちんと周囲の大人が正しい答えを伝えられるようになると、その子の知的好奇心を刺激することができるので、物事の知識や理解をさらに深めたいと感じるきっかけにもなるはずだ。
※サムネイル画像(Image:「Yuki Maeda(@yukisumire)」さん提供)