個人事業主やフリーランスの皆さんにとって、「インボイス制度」の開始は、非常に大きな影響があるはずだ。インボイス制度は、令和5年10月から導入されることが決まっているので、それまでにきちんと理解しておきたいところだが、イマイチよくわからないという人も多いのではないだろうか。
2022年11月17日に投稿された、はたけ|個人専門税理士@hatake_taxさんの「自営業の知り合いから「とりあえず、インボイスの事業者に登録したけど、インボイスって絶対必要なの?」って聞かれたので、「いや、特例があって、帳簿だけ保存しておけば、インボイスが不要な取引が9種類あるよ」と答えたら、具体的に知りたそうな顔をしていたので、リプ欄の内容を伝えました。」というツイートには、950件を超える「いいね」がついており、ツイッター上で話題となっている。
今回は、こちらのツイートに関する詳細と、リプライ欄に寄せられたさまざまな意見をご紹介したい。
自営業の知り合いから「とりあえず、インボイスの事業者に登録したけど、インボイスって絶対必要なの?」って聞かれたので、「いや、特例があって、帳簿だけ保存しておけば、インボイスが不要な取引が9種類あるよ」と答えたら、具体的に知りたそうな顔をしていたので、リプ欄の内容を伝えました。
— はたけ|個人専門税理士 (@hatake_tax) November 16, 2022
インボイス制度とは、どのような制度?
そもそも、インボイス制度とはなんなのかを、まずは簡単に説明しておこう。インボイス制度とは、仕入れ税額の控除を受ける制度のことである。「インボイス」は適用税率や消費税額などが記載された適格請求書のことなのだが、事業者の皆さんは元請に求められた際にこれを発行しなければいけない。
現時点で免税事業者の皆さんは、インボイス制度に登録して課税事業者となるか、免税事業者を継続するかを検討することから、はじめなければならない。
インボイス制度導入前の現時点では、どの事業者に発注を行っても、元請企業が負担する消費税額は同じである。しかし、制度がスタートすると、元請企業が免税事業者に発注した場合、余分な消費税を負担しなければならなくなるのだ。
このようになった場合、金銭面での折り合いがつかず、他の事業者に発注先を変えられてしまうということにもなりかねないため、インボイス制度に登録する免税事業者は増えるだろう。
ツイートにもあるように、はたけ|個人専門税理士さんの知り合いは、ひとまず課税事業者になることを選んだようだが、後からインボイスは絶対に必要なのだろうかといった疑問が湧いてきたようだ。実は帳簿さえ保存しておけば、インボイスが不要な取引がある。
はたけ|個人専門税理士さんは、帳簿のみの保存でOKな取引として、以下の9つの特例をあげている。
①適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関による旅客の運送
②適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除く)が記載されている入場券等が使用の際に回収される取引(①に該当するものを除く)
③古物営業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの古物(古物営業を営む者の棚卸資産に該当するものに限る)の購入
④質屋を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの質物(質屋を営む者の棚卸資産に該当するものに限る)の取得
⑤宅地建物取引業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの建物(宅地建物取引業を営む者の棚卸資産に該当するものに限る)の購入
⑥適格請求書発行事業者でない者からの再生資源及び再生部品(購入者の棚卸資産に該当するものに限る)の購入
⑦適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の自動販売機及び自動サービス機からの商品の購入等
⑧適格請求書の交付義務が免除される郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたものに限る)
⑨従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)
※国税庁『インボイス制度に関するQ&A問82』を参照。
わかりやすく言うと、「3万円未満の電車賃、自動販売機の飲み物、コインロッカー、金融機関のATMによる手数料などはインボイスの対象外」とのことだ。
インボイス制度は、全員が理解しなければ意味がない!
このツイートを見たツイッターユーザーたちからは、「自分で調べ正しく理解するのは至難の業!有益な情報をありがとうございます。とても助かっています!」といった声や、「インボイス制度ほんと分かりにくいです・・・軽減税率ができて税率が複数あるからここまで複雑なんですかね・・・?」など、さまざまなコメントがリプライ欄には寄せられている。
インボイス制度はややこしいばかりでなく、自分ひとりが理解していても意味がない。取引関係者や仕入れ先など、制度にかかわるすべての人がわかっておかないと、税金関係は後々、大変なことになるので注意が必要だ。
実際に、インボイス制度がはじまってしまえば、みんな、徐々に慣れていくと思うが、こうして事前に知っておくことで、安心してスタートを切ることができるかもしれない。今回の記事が読者の皆さんにとって、少しでもお役に立てれば幸いである。