シニア向けスマホの代表機種とも言える「らくらくホン」。らくらくホンは、高齢者や機械の操作に不安を覚えるユーザーに応える携帯端末として開発がスタートし、1999年より販売が開始された。意外と歴史の長い同シリーズだが、通常のスマホを利用しているユーザーにとっては、逆に使いにくいとの声もネットでは数多く寄せられている。
2023年8月7日に投稿された、Torishima@同IDでThreads/Misskey/Blueskyに避難中@izutorishimaさんの「らくらくホン自体がクソって言われてるのは明確に異議を唱えたくて、なぜなら高齢者(それも今の70代後半〜くらいの世代)層向けに作られているから 普通のスマホのUIパラダイムと真逆の、ガラケーから移行しやすいタスク指向的な動線設計になってるから、一般スマホに慣れた人が使いづらいのは当然」という書き込みには、らくらくホンの設定画面のUIをスクショした画像が添えられていた。この投稿には、多くの「いいね」がついており、インターネット上で話題となっている。
今回は、こちらの投稿に関する詳細を皆さんにご紹介します。
らくらくホンと通常のスマホの大きな違いとは?
投稿に添えられた「らくらくホン」のUI画像を見てみると、たしかに通常のスマホとは大きく異なる点がある。たとえばiPhoneでWi-Fiを設定する場合、Wi-Fiを示す図形のアイコンをタップすることで、オンオフを切り替えることが出来るが、らくらくホンの場合はUIそのものが文字での説明メインとなっているのだ。iPhoneに限らず、直感的なアイコンでの操作に慣れた一般のスマホユーザーにとって、これはかなり使い辛いかも知れない。
また、投稿者のTorishima@同IDでThreads/Misskey/Blueskyに避難中さんは、らくらくホンと通常のスマホとの違いとして、以下のようにも述べている。
「あと70代後半くらいの世代の高齢者は経験上フラットデザイン / マテリアルデザインの UI コンポーネントを理解できないことが多いようで、だかららくらくホンはフラットっぽくしつつもボタンは全てスキューモーフィズム的に物理的な凹凸が強調されたデザインになってる」
ちなみにスキューモーフィズムとは、別の物に似せるために行うデザインや装飾を指す用語のことだ。らくらくホンのUIデザインには、物理的な凹凸を強調することで、ガラケー時代によくあったボタン感を、画面上でも演出しているのが見て取れる。フラットなデザインが主流の今、これも大きな違いと言えるだろう。
フラットデザインのUIが使いこなせない、らくらくホンユーザーたち
一部のユーザーにとっての使いやすさを追求した結果、一般的なスマホとはUIの仕様がかけ離れている「らくらくホン」。これはこれで、ユーザーの要望に寄り添った製品ではあるのだが、ガラケーからスマホへ移行するに従って、らくらくホンユーザーにはある問題が発生してしまったのだ。
まず、スマホはガラケーと違い、自分たちで好みのアプリをダウンロードして使用するのが前提の端末だ。そうすると、ちょっとしたメッセージアプリなんかも、通常のスマホユーザーと同じものを、らくらくホンユーザーはダウンロードすることになる。そうなると、らくらくホンで慣れてしまったユーザーにとっては、通常のスマホで一般化しているフラットデザインのUIが使いこなせないのだ。
実際に投稿者のTorishima@同IDでThreads/Misskey/Blueskyに避難中さんも、「祖父母がスマホで躓いた際の IT 介護をしてるからこんな事を知ってるわけだけど、実際に LINE アプリは若者向けにフラットデザインマシマシで作られてるから、例えばビデオ通話する際のカメラ切り替えるボタンがどこかを知覚できなくて30分くらいリモートで格闘したこともある」と述べており、らくらくホンユーザーに通常のUIを認識してもらうことにかなり苦戦したようである。
らくらくホンにはリピーターが多い!
長い間、独自のUIを維持してきた「らくらくホン」は、通常のスマホユーザーが使うと非常に使いにくく、またその逆も然りだということを取り上げた今回の投稿。
「らくらくホン」は20年以上にわたるロングセラーシリーズというだけでなく、シニア層の携帯電話の普及にもかなり貢献してきた機種である。事実として、「らくらくホン」のユーザーには、リピーターがかなり多いそうだ。
携帯端末の主流がスマホとなった令和の今、「らくらくホン」利用者が時代の流れに取り残されないためには、ユーザーの負担にならない程度に、少しずつデザインを移行していく必要があるのかも知れない。
※サムネイル画像(Image:「Torishima@同IDでThreads/Misskey/Blueskyに避難中(@izutorishima)」さん提供)