「オタク」とは、1980年代にサブカルチャーの愛好者を示す言葉として登場した呼称だ。一時期はネガティブなイメージのあった「オタク」という言葉だが、令和の若者世代は、そのほとんどが「推し活」や「オタ活」を一般的な趣味として楽しんでいる。
2023年10月23日に投稿された、よむゾウさん@三省堂@zousanseidoさんの「発売まであと30日 \大限界クイズ/ Q.空欄に入る語を答えよ。 【□になりたい】 用例:『阿部ちゃんの部屋の□になりたい…勉強机でもいい…』 ヒント:よむゾウはイスになりたい▶▶正解は18時パォ」という書き込みには、11月21日に発売予定の三省堂『オタク用語辞典 大限界』から出題された、オタク用語クイズが添えられていた。この投稿には、多くの「いいね」がついており、インターネット上で話題となっている。
今回は、こちらの投稿に関する詳細を皆さんにご紹介します。
【(推しの)□になりたい】
さて、【□になりたい】の□に入る語句、読者の皆さんは答えられるだろうか。普通にオタ活をしていても、わからないという人は意外と多いかもしれない。このクイズ、なかなかマニアックである。
正解は【壁になりたい】で、「推しや推しカプの全てを至近距離から見ていたいものの、直接的なかかわりは持たずに、推しには決して干渉しない第三者として存在していたい。むしろ存在はけしていたい。」といった意味のオタク用語らしい。
なお「推しカプ」とは、自分が応援しているカップルのことを意味する、こちらもまたオタク用語のひとつだ。「推しカプ」という単語は、主にキャラクター同士の恋愛関係や、二次創作などにおいて使われることが多い。
解説を読んでも意味がサッパリわからなければ、説明を理解するために、さらに辞書を引くという状況にもなりかねないが、それもまた『オタク用語辞典 大限界』のおもしろさであり、魅力のひとつなのではないだろうか。
「床なら毎日踏んでもらえるから、ある意味ご褒美」との声も
この投稿を読んだインターネットユーザーたちからは「床なら毎日踏んでもらえるからある意味ご褒美」と、□に入る語句が「床」だったらよかったのにとの声や、「元ネタは壁なんだろうか。正直いろんなもん当てはめるよねー。俺は推しちゃんの配信用マイクになりたい。枕でも可。あぁいっそマウスになって、いっしょう握られるのもまた……おぉ妄想がはかどる」と、幸せな妄想を繰り広げる声など、さまざまなコメントが返信欄には寄せられている。
推しがいる生活というのは、それだけで世界が輝くのだろう。壁でも床でも、なんでもいいから近くで推しを見ていたいという気持ちは、全オタク共通の思いなのかもしれない。
対象がアニメキャラでない限り、四六時中、推しを観察していれば、見たくない部分も見てしまう可能性が高いが、こうした言葉がオタク用語として、一定の層に定着しているというのは、おもしろい時代になったものである。
幅広い世代がエンタメとして楽しめる辞典
三省堂の『オタク用語辞典 大限界』に収録されたオタク用語をクイズ形式で紹介した今回の投稿。
『オタク用語辞典 大限界』は、名古屋短期大学現代教養学科の学生12名が、自分たちの周りで使われているオタク用語約1,600項目を採集し、語釈と用例を加えた、前代未聞の辞典となっている。「日本の男性アイドル」や「K-POP」、「2.5次元」、「ポケモン」など、各界隈ごとに全14章で構成されている本作は、幅広い世代がひとつのエンタメとして楽しめるのではないだろうか。
『オタク用語辞典 大限界』の発売日は2023年11月21日、翌22日からは電子書籍版も配信開始予定とのことなので、気になった方は、ぜひチェックしてみてほしい。
※サムネイル画像は(Image:「三省堂」公式サイトより引用)