令和の今、写真を撮るといったら99.9%の人がスマホを掲げる時代が到来している。スマホのカメラとあなどるなかれ、画素数や手振れ補正機能など、ひょっとしてスマホや通信機器ではなく撮影デバイスだったのかと勘違いするほどにスマホカメラの進化は止まらない。
ひと昔前のデジカメ以上に優れているスマホでの写真撮影が主流の現代において、実はあのエモいカメラがブームになっていることを、ご存じだろうか。
平成初期のカメラといえば「写ルンです」一択!
30代以上の方々は「平成レトロ」という言葉に思わず、「平成はレトロじゃない!」と声を荒げてしまうだろうが、今の若者にとってデジタルデバイスが身近に溢れていなかった平成は、レトロにカウントされてしまうらしい。少しずつテクノロジーの進化を感じていたものの、まだまだ人情の温かさが残る平成の雰囲気は、まさにエモさの塊といったところか。
そして移ろいゆく平成の時代の中で、誰もが気軽に写真を撮るきっかけを作ったともいうべき「写ルンです」が、今若い女性の平成レトロブームに乗っているのである。30代以上であれば誰もが青春の1枚や思い出の1枚を撮影したであろ写ルンですが、なぜ今ブームを迎えているのだろうか。
写ルンですの歴史
写ルンですはいわゆる「インスタントカメラ」に分類され、焦点を合わせたり、ズーム機能がないシンプルなカメラだ。正式には「富士フイルム社製レンズ付きフィルム『写ルンです』」といい、1986年に発売が開始された。それまで手持ちのカメラにフィルムケースから取り出したフィルムを挿入し、渾身の真顔で家族写真を撮っていた時代の流れを大きく変え、軽量で子どもにも扱いやすい手頃さから爆発的なブームとなった写ルンですを、修学旅行や社員旅行に持参した方も多いのではないだろうか。
写ルンですのブームを終焉させたのは、1997年頃からスタートした家庭用デジタルカメラの普及だ。これまでのフィルムカメラやインスタントカメラのように「現像するまで何が撮れているかわからない」というカメラの使い方が大きく変化し、「現像前に撮った写真を確認できる」、「カメラ屋さんまで行かずとも、自宅のプリンタで写真を印刷することも可能」という一大革命が起こったのだ。
デジタルカメラの普及とガラケーやスマホの台頭によって忘れ去られていたかのように感じていた写ルンですだが、なんと「何が撮れているかわからないのが、逆に良い」、「撮影した写真の解像度が適度に荒く、エモくていい」として、2015年頃から若者の間でブームになっているのだ。
懐かしの写ルンですは意外に高価!?
今回投稿をご紹介させていただくりばさい@TM_RvsI_RONAKAさんも、5年かけて27枚撮りの写ルンですを撮影した一人である。この令和の時代にりばさい@TM_RvsI_RONAKAさんがどんな写真を撮影したのか気になるところではあるが、今回オトナライフ編集部が着目したのは写真の内容ではなく、写ルンですの購入と現像に必要な費用だ。
りばさい@TM_RvsI_RONAKAさんの投稿を確認してみると、その金額に誰もが目を疑うはずである。
なんと写ルンですの本体購入と現像で、総額5,000円程度を要するというのだ。驚きの価格であるが、りばさい@TM_RvsI_RONAKAさんのリプライ欄にも「現像してくれるお店が少なくなりましたからね……」と意見が寄せられているように、確かに近年ではフィルムからの写真現像を希望するが利用する街のカメラ屋さんが急速に姿を消している。そのため現像設備を有している数少ない店舗に依頼することになるため、現像代が割高になってしまう傾向にあるのだ。
また「写ルンですは1000円くらいだった気がする。」というリプライも寄せられているが、現在の市場では27枚撮りの写ルンですは2,000円前後となっている。大量生産の時代も終わり、部品の値上げなども起きているのだろうか。
リプライ欄では「高くなったねぇ~……」、「暇を持て余した神々の遊び」、「現像高くなったなあ」、「昔もっと安かった気がするけど今ってそんな高いんですね!」などのコメントが寄せられていた。
実際に5,000円程度で現像した仲間も!
そしてりばさい@TM_RvsI_RONAKAさんのリプライ欄には、「同じくらいかかりました 今は現像機持ってる写真屋が少ないので現像工場まで送るらしく送料と時間がかかるとのことでした。なお仕上がった写真は手ブレ、指写り込み、赤目、間違って天井撮ってしまったやつとかでエモかったです。」というコメントも寄せられていた。5,000円というまぁまぁな金額がかかってしまっても、スマホに勝つことのできる写真のクオリティにはならないようだ。しかしながら手ブレや赤目も、振り返ってみればいい思い出になることだろう。平成を懐かしみたい方や、平成の写真文化に触れてみたい方は、5,000円で少し遊んでみてはいかがだろうか。
※サムネイル画像は(Image:「富士フイルム」公式サイトより引用)