動画サイトやVODサービスの普及によって、アニメやドラマ、バラエティに映画もスマホで視聴できるようになり、若者のテレビ離れはさらに進んでいると考える人は多いだろう。それでは、実際にどれほどテレビ離れが進んでおり、逆に、テレビを利用している若者は何を視聴しているのだろうか。
Z世代の約4分の1が「家にテレビがない」
株式会社アップデイトが運営する「otalab」はZ世代を対象に「テレビの使用に関する実態調査」を実施した。まず、実家暮らしを除くZ世代に人々に家のテレビの有無を確認した。すると74%が「ある」と回答。つまり約4分の1が家にテレビを置いていないという。スマホなどで動画やニュースは十分チェックできるため、テレビは必要ないと感じている人が多いようだ。
続いて、上記の質問で「ある」と回答した人が持つテレビの種類について聞いたところ、「地上波とVODサービスどちらも映る」が44%、「地上波のみ映る」が45%、「VODサービスのみ映る」が4%という結果に。VODサービスに着目すると、約5割がサブスクを中心としたネット動画サービスを利用できるテレビを使っていることわかる。Z世代の人にとって、ネット動画が移るか否かは、テレビ選びで重要なポイントになっている模様。
テレビを使う頻度については、「ほぼ毎日」見る人が52%で、週に3日以上見る人は8割に上っている。若者のテレビ離れが騒がれるようになって久しいが、本調査では大多数のZ世代が2日に1回以上はテレビを見ていることが明らかになり、想像よりもテレビを楽しんでいる人は少なくないだろう。
「リアタイ視聴」「録画」「見逃し配信・VOD」がほぼ横並びに
テレビを使用する若者は意外と多いことはわかったが、必ずしも、全員が地上波の番組を見ているとは限らない。そこで、テレビの中で1番利用時間が長いものを尋ねると、やはり最も多かったのは「地上波放送」。しかし、割合でいえば52.4%とそこまで大きく伸びていない印象だ。2番目は25.2%で「録画の視聴」、3番目に多かったのは「VODサービス」となった。VODよりも録画で地上波の放送を見ている人が多く、リアルタイムで見る機会が減っているだけで、地上波のコンテンツ自体は、まだ人気があるのだと考えられる。
実際に、アニメやドラマなどの今期作品の視聴方法を聞くと、「リアルタイム」で視聴する人は37%だが、「録画」で見るという人も32%と多い。また「見逃し配信」と「VODサービス」の合計も32%であるため、視聴方法の割合は均衡している。リアルタイムで視聴する若者は3分の1ほどしかいないため、地上波放送の視聴率で番組の人気を測ることの重要性は低下しているといえるだろう。
最後にテレビを使う理由を質問すると、「お気に入りの番組や動画を見たいから」「特定の見たい番組や動画があるから」がトップ2にランクイン。「暇だから」という理由は3位だが、暇つぶしのためにテレビをつける人よりも、見たい番組を見る人が多いようだ。YouTubeやVODが当たり前の彼らにとっては、暇なときに「たまたま流れている動画を見る」よりも「興味深い動画を探して見る」機会が多く、その考え方がテレビに利用にも適用されているのだと考えられる。
現代の若者は地上波のコンテンツに興味を失くしたわけでなく、ただ、視聴媒体の選択肢が増えたことで、相対的にテレビの必要性を感じなくなっているのだと推測される。“リアタイ視聴”することにそれほど重きを置いておらず、自分の好きな時間に好きな動画を見ることが、タイパを重視しがちなZ世代の楽しみ方なのかもしれない。
出典元:【otalab】
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