音楽を聞くとき、どのようなストリーミングサービスを使っているだろうか。この市場を引っ張っているのは、SpotifyやApple Musicだが、TikTokが参入するという。システムについては他の音楽ストリーミングサービスとほぼ同じ。プラットフォームは現在、ブラジルとインドネシアのみで、他の国や地域での開始は不明だが、音楽のサブスク市場に一石を投じられるのか。
TikTok Musicが、音楽ストリーミング市場に参入!
音楽を聞く媒体というのは、時代とともに変化している。レコード、カセットテープ、MD、CD、そして昨今はストリーミングサービス。そして、その音楽ストリーミング市場では、多くのプラットフォームがしのぎを削っている状態だ。メディアコンサルティング会社のMIDiA Researchのアナリスト、マーク・マリガン氏の世界の音楽サブスクサービスのシェアレポートによると、1位がSpotify(31%)、2位がApple Music(15%)、3位がAmazon Music(13%)。ついで4位がTencent Music(13%)、5位がYouTube Music(8%)となっている。
これは2021年のものだが、Spotifyが頭一つ抜きん出ていて、Apple Musicと、Amazon Musicが追随しているというのが世界の状況だ。ここに、中国のSNSツールのTikTokが TikTok Musicとして参入するという。
各国政府が警戒するTikTokだが、音楽プロモーションの場としての影響が大きいのも事実
TikTok Musicは、他の音楽ストリーミングサービスとほぼ同じシステムで、楽曲のフルカタログにアクセスでき、ライブラリに追加することができる。プラットフォームは今現在、ブラジルとインドネシアのみ提供されており、他の国や地域で開始されるかは不明となっている。
ここで気になるのが、アメリカの動向だろう。世界の音楽シーンを牽引しているのはアメリカだ。だが、アメリカ政府はTikTokに不信感を抱いている。理由は、中国政府がTikTokにアメリカの利用者の個人データの引き渡しを強要したり、強力なコンテンツ推奨アルゴリズムを使ってプロパガンダを広めたりする可能性についての懸念があるからだ。政府が難色を示している状況なので、アメリカでのサービス開始は不透明なのではないか。
他にも、2023年3月現在、複数の国が政府の公用デバイスでのTikTok使用を禁止している。台湾、前出のアメリカ、欧州27カ国をまとめる欧州委員会、カナダ、ベルギー、イギリス、ニュージーランドなどだ。
このような背景がある中で、TikTok Musicはどこまでシェアを拡大できるだろうか。とはいえ、多くのアーティストがTikTokを音楽プロモーションの場所として活用していることも事実で、今後の動きから目が離せない。
※サムネイル画像(Image:Poetra.RH / Shutterstock.com)