2025年からTVer(ティーバー)も視聴率調査の対象に!「視聴率」はどう変わる?

2025年10月から、TVerをはじめとする各種動画配信サービスも視聴率調査(ビデオリサーチ社による実施)の対象に加わることが正式決定しました。これまでのテレビ視聴率調査は、家庭内でのテレビ視聴に限定されていました。しかし2024年現在、動画配信サービスやコネクテッドTVが広く普及したことによって視聴行動は多様化。

「テレビを所有しているものの地上波を見ているわけではない世帯は、どの配信サービスで何を見ているのか」「配信サービスの視聴者数は視聴率に置き換えるとどれくらいなのか」は把握しづらい状況にありました。ではビデオリサーチ社がTVerなどを視聴率調査の対象に含めたら「テレビ離れ」や「低視聴率化」といった現象はどう変化するのでしょうか?

2025年からTVerや各種動画配信サービスも視聴率測定の対象に

ビデオリサーチ社は「動画配信プラットフォームの利用実態把握」を目的に、テレビ視聴率に加え、コネクテッドTVやPC・モバイル端末でのTVerやYouTubeなど動画配信プラットフォームの動画視聴実態の把握に乗り出しています。

2024年4月に関東地区にてβ版(関東地区2,700世帯の半数程度のサンプル数での調査)での調査に着手。2025年10月からは、全国32地区で正式にコネクテッドTVなどでの視聴の「視聴率調査」をスタートする予定です。

2025年からTVerや各種動画配信サービスも視聴率測定の対象に1

(画像は「ビデオリサーチ」プレスリリースより引用)

2025年10月以降は、地上波のテレビと同じように「TVer」や「YouTube」などの視聴率も測定可能になる見込みです。

そもそも「TVerの100万回再生」はすごいのか?

動画配信サービスの視聴実態はこれまでは「再生回数」や「MUB(月間ユニークブラウザ数)」などの指標で評価されることが多く、視聴率とは異なる水準で評価されてきました。

一般的に分かりやすい例には、ドラマやバラエティー番組が「TVerで100万回再生突破!」というようなニュースを見て「なんとなくすごそう」と感じるケースなどが挙げられます。しかし「TVerで100万回再生突破する」ことは地上波を凌駕するくらいすごいことなのか、はなんとなく見えづらいですよね。こうした点もTVerが視聴率調査の対象となることで、いままでよりは見える化されるようになるでしょう。

参考までに「TVerの100万回再生は本当にすごいのか」という点について、再生回数とMUBの関係などをベースにご紹介します。

従来、TVの視聴率1%は「何万人」に相当するの?

そもそも視聴率1%は、関東地区では推計約40.5万人、全国では推計約118.5万人が視聴していると言われています。

従来、TVの視聴率1%は「何万人」に相当するの?1

(「ビデオリサーチ」調べ)

つまり「TVerでの100万回再生」をそのままテレビの視聴率に当てはめると、およそ0.8%に相当します。地上波の視聴率が振るわない昨今、配信サービスだけで「0.8%」の視聴率を取るならば驚異的にも感じられますよね。

しかし、TVerは「1人が複数回再生する」ことも非常に多いという注意点があります。つまり、単純に視聴者数と再生回数を比較することはできません。詳しくは以下で詳しく解説します。

TVerの「月間再生回数」と「MUB(月間ユニークブラウザ)」について

実は、TVerの再生回数100万回は「100万人が視聴した」というわけではありません。その根拠の1つとして、TVerが公表している月間再生回数とMUB(月間ユニークブラウザ)の差にあります。

TVerの「月間再生回数」と「MUB(月間ユニークブラウザ)」について1

(画像は「TVer」公式サイトより引用)

Tver全体の2024年1月の月間動画再生数は4億回。月間ユーザー数は3,500万MUB(月間ユニークブラウザ数)となっています。1MUBが10回以上視聴していなくては、動画再生数は4億回に達することはない計算です。

ちなみにパリ五輪で大きく盛り上がった2024年7月は月間動画再生数が4.8億回、MUBは4,000万。1MUBが10回程度動画を再生する傾向はあまり変わっていません。

TVerの「月間再生回数」と「MUB(月間ユニークブラウザ)」について2

(画像は「TVer」公式サイトより引用)

つまり100万再生を突破したTVerのコンテンツであっても、月間ユーザー数と月間動画再生数の比率に基づいて考えると「1名が10回再生している」かもしれません。よって「100万MUB」ではなく「100万回再生」と公表されているテレビドラマやバラエティ番組の、実際のTVerでのユニークユーザー数は10万人前後である可能性もあるでしょう。

そのためテレビの視聴率1%と「TVerの100万回再生」の価値を比較すると、テレビの視聴率1%の方が基本的には価値が高いと考えられます。とはいえTVerに価値がないわけではなく、自ら検索してコンテンツを視聴している「ロイヤルユーザー」であるとは言えるでしょう。

TVerによる配信広告はテレビ局の売上にどれだけ寄与している?

先ほどTVerのユーザーを「ロイヤルユーザー」と表現しました。実際、TVerは広告主にとってはかなり魅力的な出稿先になっていると見られ、配信広告の収益も大きいです。民放キー局の2024年3月期連結決算情報によると、テレビ広告の減収が続く一方で、TVerを中心とした配信広告収入が事業の増収の要因となっています。

フジ・メディアHDは、動画配信サービス「FODプレミアム」を中心としたデジタル事業収入が前期比26.9%増。デジタル事業の売上高は229.4億円を達成。なかでもTVerなどの配信広告が同61.6%増と大幅に伸びる結果に。

日本テレビHDは営業利益が減収となったものの、売上高は増収。TVerなどによる動画広告が堅調で、デジタル広告収入が前期比33.3%増、興行収入は同47.2%増となりました。 

TVerが視聴率調査の対象に加わると「視聴率」はどう変わる?

TVerが視聴率調査の対象に加わると、「再生回数」で評価されがちだったTVerが「視聴率」の観点からも評価対象となるでしょう。これまで再生数やお気に入り登録数などで評価されがちだったTVerは「視聴率に換算すると、どの程度の影響力があるのか」が分かりやすくなります。

2025年10月以後は「再生回数やお気に入り登録数、MUB」といった従来の指標と、視聴率の両面からTVerや動画配信サービスのメディア価値は評価されるようになると見られます。

たとえば「再生回数は多いもののMUBの数は少なく、視聴率も高くはないコンテンツ」などは、従来であれば「再生回数の多さ」から高く評価されたかもしれません。しかし、今後は「どの指標を重視してそのメディアやコンテンツの価値を判断するか」という点で、慎重な姿勢が求められるようになるでしょう。

※サムネイル画像(Image:nikkimeel / Shutterstock.com)※画像は一部編集部で加工しています

オトナライフ編集部
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