Amazonのオーディブルに加入する価値は本当にある? オーディオブック聴き放題に意味はあるのか

Amazonが提供するオーディオブックやポッドキャストのサブスク「オーディブル(Audible)」。ナレーターや声優によるビジネス書や専門書、小説などの朗読やポッドキャストを楽しめます。

「聴く読書」が楽しめるサービスですが、そもそも「オーディオブックの聴き放題」にどの程度価値があるのか疑問に思う方もいるのでは。実はオーディブルのサブスクには「テキスト」はなく、なおかつ同じAmazonのKindle本はAlexaアプリなどを活用すれば読み上げ機能も使えるためです。

そこで今回は「オーディブルに加入する価値は本当にあるのか」を見ていきましょう。

オーディブルに加入する価値は本当にあるのか?

オーディオブックを主とするサブスク「オーディブル」に加入する価値は本当にあるのか、疑問符がつきがちな主要な点をいくつか見ていきましょう。

オーディオブックには「テキスト」が付随しない

まず、オーディオブックには「テキスト」が付随しません。つまり小説や専門書、ビジネス書などの読み上げを耳で聴きながら、目でテキストを追うといった楽しみ方はできません。

オーディオブックには「テキスト」が付随しない1

(画像は「Audible」公式サイトより引用)

なお再生画面に字幕表示でテキストが表示されるといった機能もありません。なお同様に図版の表示もできないケースが多いです(※個別に付属資料が提供されているオーディオブックを除く)。
そのため登場人物が多い小説や難しい内容を含む専門書など、聴く書籍によっては「内容を理解するのが難しい」場合があります。

なお仮に専門書などをオーディブルで楽しむ場合は、ブックマーク機能とメモを徹底的に活用することもおすすめします。たとえば「3分20秒」の箇所が気になった場合、当該の再生時間をブックマークしたうえでメモを残し、またその個所から再開できる機能があります。聴いた内容をとにかくメモに記録していくとよいでしょう。

Kindle本はそもそも「読み上げ」機能を利用可能

冒頭でも述べた通り、Kindle本を購入すればAlexaアプリなどを活用することで「読み上げ」が可能。自動でのページ送りにも対応しています。

Kindle本はそもそも「読み上げ」機能を利用可能1

自動のページ送りに対応している機能の例として、

・Kindleアプリのアシストリーダー
・AlexaアプリのKindle読書補助機能

などが挙げられます。これらの機能を使えば、自動でページ送りをして音声でKindle本を読み上げてもらうことができます。

つまり目当てのナレーターや声優の読み上げを聴きたいわけではなく「聴く読書をしたい」にすぎないならば、Kindle本を買って音声読み上げを利用すれば十分という考え方もできます。この方法であればテキストを別途読むこともでき、オーディブルの月額費用もかかりません。

音声読み上げソフトやAIの普及

音声読み上げソフトやAIの普及1

(画像は「音読さん」公式サイトより引用)

「音読さん」に代表される音声読み上げソフトも普及しています。たとえば音読さんでは無料で最大5000文字までテキストを読み上げることができます。有料プランでは最大月間100万文字の読み上げも可能。

つまりAlexaなどによる読み上げの品質が気に入らない場合でも、テキストを読み上げさせる代替手段は存在しています(※別途ソフトへのテキスト入力の工数や、音声データの保存などの工数は発生します)。

オーディオブックは紙の本や電子書籍よりも高い

オーディオブックの買い切り料金は、紙の本や電子書籍よりも高くなります。

オーディオブックは紙の本や電子書籍よりも高い1

たとえばオーディブルで「海辺のカフカ」(村上春樹)を購入した場合の料金は4,000円。Kindleだと880円、単行本だと1,414円で販売されていました。

同様にKindle Unlimited(月980円)に比べて、オーディブルのサブスク(月1,500円)は値段が高いです。

オーディオブックを購入する場合でも、月額で聴き放題を楽しむ場合でも「電子書籍や紙の書籍よりも高いのに、付属資料がない限りは図版やテキストが手元で見られない」点には一定の不便さがやや感じられます。

ポッドキャストをメインで聴くならばSpotifyやApple Podcastで十分では

なおオーディブルをポッドキャストメインで楽しんでいるかたも多いでしょう。しかしその場合はSpotifyやApple Podcastもポッドキャストが充実しているため、有料のポッドキャストサービスとして見ると必ずしも優位性があるとは言えません。

オーディオブックに「読書効果」は本当にあるのか

「聴く読書」はナレーションばかりが先に進み、少し巻き戻して聴くということがしづらいので、内容が頭に残らないことも多いという欠点があります。オーディオブックには「読書効果」は本当にあるのでしょうか。

この点については、様々な研究が存在しています。たとえば2016年には、ペンシルベニア・ブルームスバーグ大学のベス・ロゴウスキ氏が研究を行っています。その研究は同じ書籍を3つのグループに異なる方法でインプットさせ、読書効果に差があるのか検証するもの。以下の3通りのインプット方法が実行されました。

・本をオーディオブックで聴く
・本を電子書籍で読む
・オーディオブックを聴きながら本も目で追う

結論から言えば、3つのグループの読書効果には大きな有意差は存在しなかったとのことです。

一方で2010年にジェームズ・マディソン大学のデイヴィッド・ダニエル氏が行った研究では「オーディオブックによる講義を聴いたグループ」「紙の本を読んだグループ」で学習効果を比較すると、紙の本のほうがはるかに学習効果が高かったとのこと。

この2つの研究を照らし合わせると「電子書籍とオーディオブックでは学習効果に差がないが、紙の本とオーディオブックには大きな差がある」と言えるかもしれません。

オーディオブックは「働いていると本が読めない」問題への1つの回答ではある

もっともビジネスパーソンのほうなどにとっては「紙の本を持ち歩くこと自体が負担」というケースはしばしばあります。本はかさばるうえに重く、またスマートフォンのほうが「本を読みつつ、メールが来たらそちらを開く」といった柔軟性があるためです。

このようになかなか読書に集中できない状況にある方にとっては、オーディオブックは「働いていると本が読めない問題」への1つの回答にはなりえるかもしれません。

たとえば通勤電車の中でオーディブルで「聴く読書」をし、流し聞きをしながら面白いと思った箇所だけはブックマークをしたうえでメモするというのは良い習慣です。本のテキストをだらだらと目で追うのはアウトプットの要素がないため、人によっては退屈に思えるものです。一方でブックマークとメモを繰り返すのはアウトプットの要素があるため、メモ内容が記憶に残りやすいです。加えて基本的にながら聞きでかまわないため、移動中や食事休憩中の習慣に適しています。

一方で「学習効果」に関して言えば、紙の本に対する優位性があるかと言えば微妙です。またオーディブルにはテキストが付随しないため、専門書などの読書に向くかと言えば微妙な部分もあります。固有名詞や専門用語が多い本などを読むのであれば、Kindle本と読み上げ機能を駆使し、分からない点だけKindleで読み返すほうが適しているかもしれません。

オトナライフ編集部
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