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アナログレコードの音質は「ハイレゾ」や「CD音源」より良いのか?

アナログレコードの人気が再燃している理由のひとつに、「音の良さ」がしばしば上げられます。一方、国内では1980年代に音楽の再生媒体として「CD」が定着。アナログレコードは約40年に渡って、存在感が小さな媒体であったことも事実です。

アナログレコードの人気が再燃しているとは言え、その音質は「ハイレゾ音源」や、CDに代表される「ロスレス音源」より良いのか否か、意外と知らない方も多いのでは? 果たしてその「音の良さ」は「ハイレゾ」や「CD音源」よりも優れているものなのでしょうか。

ハイレゾ音源は「アナログレコード」に近しい音質?

アナログレコードの音質について考える際、まず最も近しいデジタル音源は「ハイレゾ」です。オリジナル音源をデジタルで「粗く保存したもの」がCD音源で、「細かく保存したもの」がハイレゾ音源です。

ハイレゾ音源は「アナログレコード」に近しい音質?1

(画像は筆者作成)

ハイレゾは96kHzや192kHzといった高いサンプリング周波数を持ち、より原音に近く、CDでは記録しきれなかった音の領域まで再現できるのが特徴です。では、なぜ「ハイレゾ」と「アナログレコード」の音質は似ているのでしょうか?

まずアナログレコードはその名の通り「アナログ」です。たとえばCDでは、人間の可聴範囲の上限である約20kHzまでをデジタルで収録するのが一般的です。

一方でアナログレコードはそもそも、デジタルではありません。レコードの溝に刻まれた音の波形は連続的に変化しており、この連続性により音が豊かに。約20kHzを超える、CDには再現できないこうした音の広がりがアナログレコードには含まれます。

つまり従来のCDには収録していない「約20kHzを超える周波数」がハイレゾには含まれるため、ハイレゾとアナログレコードの音質は「デジタル」「アナログ」の違いがあるとはいえ、一定の類似性が指摘されることが多いです。

そもそも「アナログ」と、CDなど「デジタル」は何が違うのか?

なお「音」におけるアナログとデジタルの最大の違いは、音声信号の記録・再生方法にあります。

アナログ方式では、音の波形を連続的な物理的変化として記録します。分かりやすく言えばアナログレコードの「溝」は、その名の通り「連続的に、アナログに音を記録するために作られているもの」です。

一方、デジタル方式では、音の波形を一定間隔でサンプリングし、数値データとして記録します。CDやMP3などのデジタル音源は、この数値データを再生時に音に変換しています。

そもそも「アナログ」と、CDなど「デジタル」は何が違うのか?1

(画像は筆者作成)

つまりアナログレコードは「連続量」であり、CDは「離散量」で音を表現します。両者は同じ音楽再生媒体ですが、原理や仕組みがまったく異なります。そしてハイレゾは「デジタル」ではある一方、CDよりも細かくデジタル保存されているため、従来のデジタル音源よりも、極めてアナログレコードに近しい品質を再現できます。

「ハイレゾ」とMP3やAACは何が違う?

先ほど「アナログレコード」と「ハイレゾ」にはデジタル、アナログの違いはあるものの、類似性もあるとしました。では「ハイレゾ」以外のデジタル音源(例:MP3、AAC)と、アナログレコードには類似性はあるのでしょうか。

結論から言えば、両者に類似性は「ない」に近しく、「アナログレコードより、MP3やAACの音質が良い」とは言い難い部分があります。

「ハイレゾ」とMP3やAACは何が違う?1

まずMP3とAACは両方とも不可逆圧縮音源と呼ばれます。これらの形式は、人間の耳で聞き取りにくい音を取り除くことでファイルサイズを小さくします。この過程で一部の音声情報が失われるため、元のデータを完全に復元することはできません。

なおハイレゾは通常、可逆圧縮(FLAC、ALAC)などの形式で提供されます。可逆圧縮の場合、元のデータを完全に復元できるため、音質の劣化はありません。

つまりMP3やAACは「一部の音声情報が失われている」時点で、まずロスレスと呼ばれるCD音源より低音質です。そしてもちろん約20kHzを超える音の広がりを含む、アナログレコードやハイレゾよりも低音質です。

無論、MP3やAACにはファイルサイズの小ささという利点もあり、たとえば「安いイヤホンで、スマホで音源を移動中に再生する」程度であれば十分な音質です。一方「音質」という一点で見れば、良くも悪くも「従来のCDやアナログレコードよりも低音質な音源を、インスタントに楽しむ」聴取スタイルが一般化しているとは言えるでしょう。

アナログレコードの人気再燃は「コレクション性」と「高音質」の両立が要因?

音質の観点で見ると、アナログレコードはそもそも「デジタルではなく、CDには収録されない周波数も含まれている」点で極めて特殊な媒体と言えます。

あえて「デジタルっぽい」言い方をするならば、ハイレゾ相当の音源を再生できる媒体がアナログレコードです。CDやMP3やAACでは楽しめないレベルの音質を楽しめるものであることは、間違いありません。

アナログレコードの人気再燃は「コレクション性」と「高音質」の両立が要因?1

(画像は「photoAC」より引用)

アナログレコードは「CD音源」より音質が良いかと言えば、規格上20kHzを超える高音はスパっと切られているCDに比べて「音質が良い」と言えるでしょう。当然、CD音源を下回るiTunes StoreのAACや従来の「着うた」などよりもアナログレコードは遥かに高音質です。

そしてハイレゾよりもアナログレコードの音質が良いかと言えば、今回の記事で述べている通り、ハイレゾは「アナログレコードに近しい」とは言えます。

アナログレコードの人気再燃は、ハイレゾレベルの高音質と、ジャケットの可愛さやコレクション性を両立した「アナログレコード」の商品としての魅力が、時代が変わって再認識されていると言えるでしょう。

オトナライフ編集部
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