音楽を聴く際に「曲だけを聴く」機会が減った人は多いのでないしょうか? YouTubeに代表される動画サービスでの再生回数が、かつてのCDシングルの販売枚数のようにその曲やグループの人気度を示す指標として、すでに一般的なものと化しています。
しかし、意外と見落としがちなポイントが「動画サービスによって音質は違うのか」。たとえばYouTubeとニコニコ動画の両方に同じ曲のMVがアップロードされていた場合、どちらで再生した方が音質が良いのでしょうか。
仮にどちらか一方の音質が良い場合は、そちらを優先的に再生する方がよいでしょう。逆にどちらも「低音質」である場合、実はCDシングルやアルバムなどに付属するDVDやBlu-rayの『MV』が想像以上に貴重な映像資源である可能性があります。具体的に見ていきましょう。
YouTubeのMVの音質はどれくらい?
結論から言えば、YouTubeのMVの音質は160kbps相当だと考えられます。
YouTube上で右クリックして「詳細統計情報」を選択すると、左上に表が表示され、音声コーデックが「opus(251)」と表記されているのが分かります。これは低ビットレートでも高音質を実現できる最新の技術です。
こちらの表を見ると分かる通り、opus(251)はオーディオビットレートでは160kbps。この数字は、たとえばSpotifyの無料プランの最高音質に相当します。
もちろん、古い動画やエンコード時の音質が低い場合は、統計情報上で160kbps相当と表示されても音質は低いままです。とはいえ、それでもYouTubeは全体的に見ると「それなりに良い音質である」と言えるでしょう。
ニコニコ動画のMVの音質はどれくらい?
一方で、ニコニコ動画は投稿された動画の音声ビットレートによって音質が変わる仕組みになっています。
たとえば「11分/1280×720/映像4Mbps/音声150kbps」の動画を投稿した場合、「128kbps/64kbps」の音声が生成されるとのこと。つまりアップロードされた動画が192kbpsに至らない場合は、128kbpsとなります。逆に192kbpsを上回るならば、192kbpsとなります。また64kbpsは必ず生成されています。
よって投稿された動画が192kbpsかそれを上回る高音質ならば、192kbpsで再生できる可能性が高く、YouTubeより高音質です。一方でその投稿動画が192kbpsに至らない場合、たとえば150kbpsであれば「128kbps」となります。この場合はYouTubeの方が高音質です。
YouTubeとニコニコは「どちらもスマホで聴くには十分な音質」
これまでに述べてきた通り、YouTubeは160kbps、ニコニコ動画は128kbpsか192kbps相当の音源だと言えます。そして「128kbps」「192kbps」といった数値は、音声ファイルの「データ量」を表しています。
たとえばCDの非圧縮データの1秒あたりのビット数は、約1,411kbpsです。つまりYouTubeもニコニコ動画も、その楽曲の「音質」で言えばいわゆる「不可逆圧縮」に相当します。
不可逆圧縮音源は元データの一部を圧縮し、ファイルサイズを節約しているため、音質の劣化は避けられません。つまり、YouTubeもニコニコ動画も、CDやハイレゾ音源に比べれば音質は下がります。もっとも動画をメインに楽しみながらイヤフォンで音を楽しむ程度には十分でしょう。
また、不可逆圧縮音源を高音質で楽しみたい場合は、アップスケーリングを試してみるのも一つの方法です。たとえばXperiaの一部機種ではLDAC対応ヘッドホンを利用することによって、ソニー独自のAI技術によって圧縮音源をハイレゾ相当の高音質にアップスケーリングすることが可能。
設定アプリの「音設定」→「オーディオ設定」から「DSEE Ultimate / DSEE HX」をオンにするだけで簡単に設定可能です。
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