サブスク型や広告付き無料サービスなど、さまざまな動画配信サービスが登場し、その利用は一般的になりつつある。市場の成長はいったん落ち着いたように見えるが、果たして実態はどうなのだろうか。GEM Partners株式会社が発表した「動画配信/放送/ビデオソフト市場 ユーザー分析レポート」の2024年11月調査版によると、定額制動画配信サービス(SVOD)の利用率は緩やかな上昇を続けているものの、その成長速度は鈍化傾向にあることが明らかになっている。
動画配信はサブスク型が市場を制したか?
ネットフリックス(Netflix)やAmazonプライム・ビデオなどに代表されるSVOD。その利用率は2024年に40.5%を記録し、前年比で1.5ポイント上昇した。これは2020年(前年比+8.1ポイント)や2021年(前年比+4.8ポイント)の急激な成長と比べると、明らかに鈍化しており、サブスク型のサービスがいったん区切りを迎えたと言ってもよいだろう。とはいうものの、2023年(前年比+1.2ポイント)に続いて1ポイント以上の上昇を維持しており、市場の成熟化が進む中でもまだまだ成長傾向にあるようだ。
一方で、これまで緩やかな上昇傾向にあった広告付き無料動画配信サービス(AdVOD)は、前年比0.9ポイント減少と、初めて減少に。また、無料放送(地上波やBS)も減少傾向にある。レンタル市場全体も縮小傾向にあり、特にDVD・BDレンタルや従量制動画配信サービス(TVOD)の利用率が継続的に減少している。これは、「動画を見るならサブスク型サービス」という状況の始まりを意味しているのかもしれない。
サブスク型サービスの利用数は微増。若年層で増加傾向
SVODサービスの平均利用数も変化している。市場全体(回答者全体)では、平均0.9サービスに加入しており、前年から0.1増加した。SVOD利用者に限定すると、前年の1.76から2024年は1.81と微増している。
年代別に見ると、15歳~19歳と20代の若年層で平均利用サービス数が増加している一方、30代以上では維持または減少傾向にあることが判明しており、この世代をターゲットにしたコンテンツ戦略が重要になると予想されている。
特に若年層にとって、タイパは最も重視される傾向にあり、無料であっても不要な広告を見る必要があったり、わざわざ借りる手間が発生したりすることは避けたいのだろう。自分にとって有益な時間となるなら、有料での動画視聴もやむなしと考えているのかもしれない。
今回の調査結果は、日本の動画配信市場が新たな段階に入ったことを示唆している。消費者にとっては、より多様で質の高いコンテンツを楽しめる環境が整っていくことが期待されできるため、今後の市場動向に注目したい。
出典元:【GEM Partners株式会社】
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