NHKの番組の「見逃し配信」ができる「NHKプラス」。2023年の『第74回NHK紅白歌合戦』で、出場歌手の純烈が「NHKプラス」のQRコードが貼り付けられた衣装で登場し、パフォーマンス中にもスクリーンに大きくQRコードを表示させたことでも話題になりました。
パフォーマンス後には「NHKプラス」に繋がりにくくなるほど反響を集めたこのパフォーマンスでしたが、裏を返せば、そのタイミングで「NHKプラス」がサーバー落ちするほど未登録の人が多かったということ。実際、「NHKプラス」で何ができるか把握していないという方も少なくないのではないでしょうか?
そこで今回はNHKプラスに登録すると具体的に何ができるのか。またそもそもNHKプラスの利用には受信契約が必要なのか解説します。
NHKプラスを視聴するには「受信契約」は必要?
「NHKプラス」を視聴するためには、原則としてアカウント登録が必要です。アカウント登録は「仮アカウント登録(視聴期限1カ月)」→「本登録(NHK受信契約及びNHKから送付されるハガキが必須)」という2段階で完了します。
つまり正式なアカウント登録のためにはNHKとの受信契約が必要です。(※リアルタイム視聴と一部の番組は登録なしでも視聴可能。ただし、画面右下に登録を促すテロップが大きく入ります)
なお「NHKプラス」側が厳選した一部のBS番組も視聴することができますが、あくまで視聴できるのは「NHKプラス」が選んだ番組です。BSの柔軟な視聴は不可だと言えるでしょう。
テレビがない家庭でもNHKプラスへの登録・視聴が可能?
2024年時点ではテレビを所有していない家庭では原則、NHKプラスの視聴は「できない」と言えます。
「NHKプラス」は仮アカウントを作成後にすぐ視聴可能ですが、仮アカウント作成後、放送受信契約の住所に届くハガキに書かれた確認コードを入力することで本登録が完了します。つまり放送受信契約をしていない場合、本登録が完了できないため「原則、テレビがないなら視聴できない」と言えます。ただ単身赴任や学生など、同一生計の自宅で受信契約をしている場合は自宅で登録したIDでNHKプラスを視聴することができます。
またNHKは「ネット受信料」(※月額 1100円の見込み)の導入に向けた動きを本格化しています。ネット受信料が正式に導入された場合、NHKプラスはテレビなしでも本契約しやすいサービスとなる可能性が高いでしょう。
NHKオンデマンドとの違いは?
なお、NHKプラスは冒頭で述べた紅白歌合戦のパフォーマンスで大きく知名度が向上しました。逆に言えば長年、いまひとつ知名度が伸び悩んでいたサービスでもあり「NHKオンデマンド」との違いが分かりづらいと感じる方も多いのでは?
結論から言えばNHKプラスは無料で利用できるサービスである一方、「NHKオンデマンド」は月額990円(税込)の動画サブスクリプションサービスです。
先述したとおり、NHKプラスはNHKとの受信契約を行わなければ視聴できませんが、NHKオンデマンドはNHKと受信契約をしていなくても登録して視聴することが可能です。また、NHKプラスは見逃し配信期間は基本的に1週間な一方、NHKオンデマンドはかつて放送されていた番組も視聴可能。昔の朝ドラや大河ドラマ、夜ドラなどを見ることができます。
NHKプラスに登録すると具体的に何ができる?主な例
NHKプラスに登録すると何ができるのか、具体例をいくつかご紹介します。
NHK・Eテレのリアルタイム視聴及び見逃し配信と追いかけ再生
NHK総合とEテレの番組をリアルタイムで視聴できます。また、放送後1週間以内であれば、見逃した番組を好きな時間に視聴することも可能です。加えてNHKプラスの便利な機能の一つが「追いかけ再生」です。この機能を使えば、放送中の番組を冒頭から視聴することができます。たとえば好きな番組の放送開始時刻にテレビをつけるのが間に合わなかった際、NHKプラスにログインして「追いかけ再生」すれば、即時に番組冒頭から追いかけ再生が可能です。
マルチデバイス対応
NHKプラスは、スマホ、タブレット、パソコンなど、さまざまなデバイスで利用できます。これにより、外出先でもテレビ番組を楽しむことができます。通勤中や待ち時間など、これまでテレビを見ることができなかった時間帯でも、NHKの番組を視聴できるようになりました。
「テレビを持たない人」のNHKプラスの利用意向はかなり低め
先にいくつかNHKプラスでできることをご紹介しましたが、NHKプラスの利用意向は低迷が続いていると推察されます。
2023年の民放連研究所のネット配信のニーズに関する調査結果によると、NHKプラスをまだ利用していない方にアンケートを取った際に前向きな利用意向を示す割合は、2021年以降、ほぼ横ばいです。
つまり3年程度、利用意向は「伸びていない」と言えます。
加えて同調査において「テレビを所有していない方(=NHK受信料を払っていない方)」に対して、NHKプラスの利用意向を尋ねたところ前向きな利用意向を示す割合は7%程度だったとのこと。
良くも悪くもNHKプラスは「すでにNHKを視聴している方が、無料で見逃し配信を見られるサービス」に留まっており、新たな層の開拓が難しく、ユーザーの利用意向は3年程度伸び悩み中。テレビ未所有者にはほとんど魅力的に映っていないサービスだとも言えそうです。
民放ではない局のサービスということもあり、TVerのように広告を積極的に活用したサービス展開も難しく「今後、どのように発展し得るサービスなのか」は今後、NHKプラスの注目される点でしょう。
※サムネイル画像は(Image:Shutterstock.com)※画像は一部編集部で加工しています