定額制の動画配信サービスは今や日常生活に欠かせないもののひとつとなっている人も多いのではないだろうか。マーケティングリサーチの実査や集計のアンケートシステムなどを展開する株式会社マーケティングアプリケーションズが昨年12月に、全国の20歳~69歳男女を対象として、定額制の動画配信サービスの使用実態について調査を行った。現在の利用率は全体23%と国民の5人に1人は何かしらのサブスクリプションの動画配信サービスを登録している状況にあるが、コロナ第1波が少し落ち着きつつあった昨夏7月にインプレス総合研究所が調査した有料動画配信サービスの利用率は21.5%。巣ごもり需要で今後も増加傾向にありそうな予感だ。
さらに有料動画配信サービスユーザーによるアンケートによると、2020年7月の時点で「Amazonプライム・ビデオ」が突出し、2位には「Netflix」の19.5%、3位には「Hulu」の12.4%とし、他社から大幅にユーザー獲得を優位にしていた。12月の有料動画配信サービスのマーケットは変わらずAmazonプライム・ビデオが1位だが、2位のNetflixは46%、3位はHuluで45%とAmazonプライム・ビデオに追随するユーザー数の伸び率に驚きを隠せない。NetflixやHuluのオリジナル性やジャンルの幅の広さに魅力を感じる人がますます増えているようだ。
ファン急増によりキャッシュフローが安定
巣ごもり需要とともに会員数を着実に伸ばしたNetflixが、有料会員数が全世界2億人を突破したと決算資料で明らかにした。コロナ禍によるロックダウンや外出自粛により急速にユーザー数を伸ばし、収益状況も上向きになりキャッシュフローが安定化。会員定着により、大規模な資金調達は不要になり他社を圧倒する急成長ぶりを見せている。
また、世の中の状況だけでなく、Netflixオリジナル作品の充実ぶりもその成長を後押ししている。同社自体、オリジナル映画に力を入れており、既存映画会社にも引けを取らない質の高い内容だ。Netflixオリジナル映画やドラマがヒットすれば、視聴者の口コミで登録者数増加につながっていく。そうした視聴者の期待に応え続けるNetflixの力の入れ具合も、ユーザーが魅力に感じる部分なのではないだろうか。
そんな勢いづくNetflixの一方、米ワーナーメディアの動画配信サービス「HBO Max」が昨年5月から開始した。映画作品を多数配信しているワーナー・ブラザースだが、人気海外ドラマの放送局「HBO」も同社傘下。「Sex And The City」や「ザ・ワイヤー」、「ウエストワールド」といった人気海外ドラマを手掛けており、視聴者からの支持も熱い。HBO作品のほかにも、日本が誇るジブリ作品も配信され、米ストリーミング配信では初となる試みとなっているため、NetflixやHuluに続く、新たな刺客として、登録者数のさらなる躍進が期待できるだろう。
Netflixと比較するとオリジナル作品の数は勝てないが、往年のヒット作や旧作を数多く取り揃えており、ワーナーファンはもちろん、海外ドラマ好きの視聴者を取り込めそうだ。これは新作が続々と誕生する他社の動画配信サービスとは一線を画すワーナー・ブラサースの強みともいえる。しかし、価格という部分では大きな課題が出ている。HBO maxは14ドル99セントと他社サービスよりも割高と見受けられる。
また、ディズニー・ピクサー・マーベル・スターウォーズ・ ナショナルジオグラフィックの5ブランドの作品が楽しめる「Disney+」も全世界のディズニーファンが登録している様子だ。
2021年も外出自粛は続いており、動画配信サービスの加入者は今後も増えていくことだろう。これからも生き残りをかけた“サブスクサバイバル戦線”は勢いを増していきそうだ。
参照元: “収益2.6兆円”動画の覇者Netflix「絶好調決算」から見る“配信戦争”の行方……日本発作品も戦える【Business Insider Japan】
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