「Spotify」で始まる高音質楽曲の提供が注目を集めているようだ。「Spotify HiFi」と名付けられたそのサービスは、2021年後半にいくつかの国と地域で開始すると伝えられている。日本がその中に含まれるかはまだ判明していないようだが、ファンとしてはサービスが先行提供されるグループに含まれていてほしいと思うのは当たり前のことだろう。
今回は、ストリーミングサービスで一般化する可能性を秘めた高音質楽曲の魅力やこれでさらに窮地に立たされる可能性のあるジャンルについてお伝えしていきたい。
人気ストリーミングサービス・Spotifyに高音質が登場!
音楽ストリーミングサービス・Spotifyは、2月22日に開催したオンラインイベント「Stream On」において、ロスレスの高音質ストリーミング・Spotify HiFiのサービス開始を伝えた。“ロスレス”とは、音楽をデジタル化する際の音質劣化を抑えたもののこと。音楽データはデジタル化によって大なり小なりの音質の劣化が発生するが、それを極限まで低減することで生の音を聞いているような高音質にすることができるのだ。
その音質の高さについてはSpotifyも発表の中で「CD並の音質のロスレスオーディオ」と表現し、これまでのストリーミングサービスの範囲を超えたクオリティであることを強調した。
高音質のストリーミングサービスはSpotifyだけでなく、ストリーミングサービス業界のライバルでもあるAmazonの「Amazon Music HD」、ソニー・ミュージックエンタテインメントでも「mora qualitas」といったサービスが存在している。今回のSpotify HiFiは、同種のサービスとしてまさに真っ向から勝負を仕掛けるかたちとなったようだ。
“高音質”の音楽ファイルには以前から「ハイレゾ」と呼ばれるものなどがあるが、オーディオの高音質需要が生まれたのは今に始まったことではない。レコードの時代からオーディオファンに向けたスピーカーなど高性能・高価格な機器が多く存在し、音源を携帯できるようになってからも高性能ヘッドホン・イヤホンの登場が絶えないことからも、現代でもそうした需要が根強いことは明らかだ。
しかしそんなコアなファン向けのイメージの強かった“高音質”が、ストリーミングサービスでも楽しめるようになったことで日頃気軽に音楽を楽しんでいるライト層にも浸透していく可能性も少なくない。逆に高音質に慣れてしまった若年層が、通常のストリーミングサービスを聞くと「いつもの曲と何か違うな…」と違和感を覚えてしまうことだってあり得る話だ。
Spotify HiFiの普及でCD音源との音質の差がさらに縮まれば、近年進んでいる“CD離れ”がさらに加速してしまうこともあり得るだろう。CDを購入する文化が、いよいよコアなファン層だけのものになる未来が見えてきたのかもしれない。
参照元:Spotify、ロスレスの高音質ストリーミング「Spotify HiFi」今年後半に開始【PHILE WEB】
※サムネイル画像(Image:Chubo – my masterpiece / Shutterstock.com)