動画配信サイト最大手のYouTubeは、6月1日から利用規約を変更すると発表した。その変更によると、今後はYouTuberのような収益化した動画だけでなく、収益化していない動画にも広告が出るようになるとのことだ。この変更によって、動画を配信する動画クリエイターと動画を視聴するユーザーにどのような影響が出るのだろうか。
今回YouTubeの利用規約変更の概要とは
今回YouTubeは、パートナープログラムに参加していないチャンネルまたは収益化に関する契約を締結していないチャンネルを対象として、ブランドイメージを損なわない一部の動画への広告の掲載を徐々に開始すると発表。変更理由としては、YouTube がプラットフォームのさまざまな場所で広告を掲載する権利について透明性の確保に努めるためだという。今後は動画やトップページのマストヘッド、さまざまな検索結果ページで広告を掲載されることになる。変更された利用規約は、アメリカでは2020年11月からすでに適用されており、日本では6月1日から有効となる。
つまり、日本では6月1日以降、YouTubeパートナープログラムに参加していないチャンネル、または収益化に関する契約を締結していないチャンネルを見ていると、今までは表示されていなかった広告が表示されるようになる、ということだ。
なお、この広告によるクリエイターへの収益分配は発生しないとのこと。なので、YouTubeパートナープログラムに参加している動画クリエイターにとっては、自分の配信する動画と関係のないところで掲載される広告は当然自分の収益にならないし、今回の利用規約の変更で受ける影響は特になさそうだ。
しかし、YouTubeパートナープログラムに参加できていない動画クリエイターにとっては影響が出てきそう。というのも、YouTubeパートナープログラムに参加するには、チャンネル登録者数1,000人以上、公開動画の総再生時間4,000時間以上などの要件を満たす必要があり、審査に合格する必要がある。パートナープログラムに参加できたチャンネルでは、広告を付ける・付けないの設定ボタンが表示され、動画ごとに広告表示の設定をすることができる。しかし、この要件を満たすことができないチャンネルでは、6月1日以降、広告が強制的に表示されてしまうことになりそうだ。
そして、動画を視聴するユーザーにとっても大きな影響が。「プラットフォームのさまざまな場所で広告を掲載する権利」をYouTubeが行使するということは、つまりほぼすべての動画に広告が表示されることになると考えられる。最近ではCM中の音量が大きすぎると苦情が殺到しナレーションを差し替えたという前例もあったりと、ヘッドホンを付けて大音量で聞きたいASMR動画や作業用BGMなど、急に広告が表示されると驚いてしまうような動画を視聴するユーザーからは不安の声も上がっている。
パートナープログラムに参加していなかったクリエイターは、勝手に出てくる広告が増えることになる。視聴ユーザーも、「望まない広告が増えた」と感じる人も出てくることだろう。さらにパートナープログラムに参加し広告によって収益を得ていたYouTuberにとっても、「広告が出ることがYouTuberの証」と考えていた層からすれば、どの動画でも広告が表示されてしまうのはあまり面白いことではないかもしれない。
これまで無料プランの広告ありきで利用してきたユーザーは、今後広告をスキップする回数が増えるので手間が増えそうだ。これを機に、広告をカットできる有料プランにスイッチする人が増えることになるかも!?
参考元:YouTubeで「収益化していない動画」でも広告が出るように 6月1日からの規約変更で【ねとらぼ】
※サムネイル画像(Image:Chonlachai / Shutterstock.com)