テレビドラマの楽しみ方が大きく変化しているようだ。若者のテレビ離れが急速に進んでいる昨今。NHK放送文化研究所が2021年5月に発表した国民生活時間調査によると、10〜20代の約半数が平日にほとんどテレビを観ていないということが分かった。スマホや動画配信サービスの普及による、娯楽・生活習慣の多様化がその主な要因だ。
では今の時代、私たちの生活の中でテレビはどのような役割を担っているのだろうか。テレビドラマに関するあるアンケート結果から、昨今のテレビ事情を紐解いてみる。
ドラマは後から見る派が圧倒的多数
株式会社vivianeが2021年5月、ドラマが好きな全国の10~60代の男女500名を対象に、「普段どんな方法でドラマを観るか」というアンケートを行った。
その調査結果によると、「あとから録画で観る」が全体の56.0%で1位となった。その理由としては「子どもが寝てからゆっくり見たいので」「自分の好きなタイミングで見られるから」などが挙がっていた。2位は「リアルタイムでテレビで観る」方法。かつてのテレビドラマの王道の楽しみ方だったが、今や全体の26.8%と少数派となった。そして第3位は「あとから動画配信サービスで観る」で全体の17.2%。時間をテレビに縛られず、お風呂タイムやジムで運動中、料理しながら、などどこででも、ながら視聴ができることが魅力のようだ。
つまり、録画や配信サービスで後から見るという人を合わせると、70%以上の人にとってドラマはリアルタイムで楽しむものではなくなっているということが分かる。動画配信サービスで視聴している人のなかには、そもそも家にテレビがないという人もいて、スマホでテレビ番組視聴ができる今、テレビの存在意義が大きく揺らいでいることが浮き彫りとなった。
1953年に日本で地上波テレビ放送が開始して以来、長い間テレビは人々にとって娯楽や情報収集に欠かせない暮らしの一部だった。 1980~90年代のテレビドラマの黄金期には大ヒットドラマの時間帯には街から人が消える、などと言われ社会に与える影響も大きかった。
しかしインターネットが普及した現在、テレビは数ある選択肢のうちのひとつに過ぎなくなった。楽しみ方はますます多様化し、個人的になってきている。テレビはこのまま役割を終えるのだろうか?メディアの中心は確かにテレビからインターネットへと移り変わってきている。
一方で、地上波だけに頼らずドラマのスピンオフ作品を動画配信サービスで配信するなど、テレビ業界もインターネットを積極的に利用するようになってきている。テレビとインターネットが対立するのではなく、相互的な楽しみ方が今後も増えていくのではないだろうか。リアルタイムで見なくなっても、ドラマを楽しむ人は大勢いる。大きな転換期にあるテレビ業界は、これからも時代とともに進化し続けていくことだろう。
出典元:「2020年 国民生活時間調査」結果概要(PDF)【NHK放送文化研究所】
出典元:ドラマ好き500人に聞いた!「普段ドラマをどうやって観る?」のアンケート調査結果を発表。リアルタイムで観る層は少数派に【ワンスクリーン】