YouTubeの広告が「酒・ギャンブル・政治」を一等地から排除

YouTubeにアクセスしたとき真っ先に目に入る広告から、「お酒」「ギャンブル」「政治」ジャンルのものが排除される予定であることがわかった。広告主にとっては魅力的な枠だが、種類を制限することがユーザーエクスペリエンスの改善につながるとYouTubeが判断したとのこと。フェイクニュースの発信・拡散に利用されていることなどからたびたび“世の中に悪影響を与えている”ことを取りざたされがちなYouTubeだが、制限を設けることで健全な媒体に一歩近づくことができるか?

酒・ギャンブル・政治をマストヘッド広告から排除

(Image:Alex Yeung / Shutterstock.com)

社会的に不利益な広告は外す方向へ

 近く、YouTubeの中で最も目を引く「マストヘッド広告」からお酒・ギャンブル・政治に関する広告が排除されることがわかった。対象となるマストヘッド広告とは、トップページにアクセスした際に真っ先に表示される広告のことだ。具体的な禁止内容としては「酒類の販売を促進する広告」「酒類のブランディング広告(販売促進目的以外も含む)」「ギャンブル関連コンテンツ」「政治的な候補者の推薦広告」などが挙げられる。また特定の問題提起を行うような広告も、政治的であると判断されたものに関しては排除の対象となる。
 マストヘッド広告は大規模なリーチを実現するため広告主にとっては魅力的な枠である。YouTubeとしても重要な収入源となるが、影響力が大きすぎるがために社会的に不利益な影響を与えすぎていると問題になってきた。例えば、アメリカのトランプ元大統領が選挙直前の2日間に「終日表示させるマストヘッド広告」を購入したことは有名な話だ。それを受け、2020年11月にYouTubeは終日単位のマストヘッド広告を廃止している。

(Image:Koshiro K / Shutterstock.com)

広告収入も欲しいが、有料版「YouTube Premium」への課金で収益を確定させたい思惑も

 今回の制限は当然全ユーザーを対象としたものだが、そもそも広告を見たくない、かつ余裕のあるユーザーは「YouTube Premium」などのフリーミアムモデルに課金している。最近では「YouTube Premium」の「広告がない」部分にフォーカスした訴求したテレビCMも展開されており、YouTube側としても広告収入より有料版への課金で収入を確保したいという思惑もあるのだろう。
 そうなると無料のまま広告を見続けるのは、金銭的に余裕のない子どもや生活困窮者などの社会的弱者がメインとなってくる未来が見える。精神的に未熟であったり、多くの選択肢を持てない人へのアプローチは特に慎重になるべきだ。これを踏まえると、政治的な広告内容の禁止までを含んだ今回の制限はおおいに評価できるもので、YouTubeの健全化に一歩近づいたといえる。

 楽しいエンタメの巣窟であるものの、こうした社会的責任からは逃げの姿勢が目立っていたYouTube。いつまでも悪名高いままではいられないということだ。

参照元:YouTubeで最も目立つ広告位置からお酒・ギャンブル・政治が排除される【GIGAZINE

オトナライフ編集部
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