音楽業界の収益におけるストリーミングサービスの割合がいよいよ大きくなってきた。音楽にしろ映像にしろ、配信の手軽にアクセスできる便利さや知らなかった作品との出会いはとても魅力的だ。一方で、CDやレコードなどによる物理メディアにしか満たせない所有欲があることもたしか。時代の流れで数が減ってしまうのはしかたないが、絶滅することがないように願いたい。
収益の66%を有料サブスクが担っている音楽業界
SpotifyやApple Music、Amazon Musicなど、日本でも音楽ストリーミングサービスを利用している人は多いだろう。ロスレスオーディオに対応するなど音質も向上してラインナップも増えていることから、筆者自身も以前に比べてCDなどを買わなくなった実感もある。
アメリカでは、2021年上半期の音楽業界の収益の66%が音楽ストリーミングの有料サブスクリプションサービスによるものだということが判明した。加入者についてもに3,150万人だった2017年上半期から毎年右肩上がりで推移し、2021年には8,210万人と約2.6倍に。いまや音楽業界はストリーミングサービスを基盤に動いているようだ。
ならばCDなどが廃れていくのかといえば、まったくなくなることもなさそうだ。同調査によると、CDやレコードといった物理メディアの収益も1年前から増加しているという。これは音楽ファンの需要に応えたものであり、レコード会社は音を楽しむだけでない付加価値をCDやレコードで与えているというのだ。
たしかに、ストリーミングサービスであれば受け取るのは「音」のみだが、物理メディアであればジャケットの構成や収録曲の流れなどプラスの楽しみがある。特定のアーティストを応援している場合は、ストリーミングで聞けたとしてもCDは手元に置いておきたいというファン心理もある。
また、あまり考えたくないことだが、仮に好きな曲を手がけたアーティストが不祥事を起こした場合に配信が止まってしまう可能性はぬぐいきれない。これは音楽だけでなく映像作品にも言えることで、映画やドラマで一人の役者が不祥事を起こした場合に作品自体が公開を中止されてしまうケースも過去にあった。
非常に残念なことだが、そういったリスクに備えて物理メディアを手元に置いておくのはひとつの手だろう。両者のいいところ取りができるよう、物理メディアにもぜひ生き残ってほしいものだ。
参照元:音楽業界の収益の66%をApple MusicやSpotifyなどのストリーミングサービスが占めていることが判明【GIGAZINE】