「PayPay」と「LINE Pay」が統合に関する協議をすることが明らかとなり、発表直後から各種メディアで大きく報じられた。一部報道をはじめ「LINE Payが無くなる」と捉えた人も少なくなかったが、現時点で統合されるのは“国内のQR・バーコード決済”の分野に留まることが公式に発表されている。本件では完全なる吸収合併とはならなかったが、近年のQRコード決済の乱立ぶりもあって「ついに淘汰がはじまったか」と考える人が多かったも無理からぬことではないだろうか。
今回は、ここ数年続く“キャッシュレス戦国時代”を経て、これからQRコード決済サービスはどんな方向に進んでいくのかも考えていきたい。
LINE Payは存続し、PayPayはその力を借りて拡大
今回「LINE PayがPayPayに吸収されて消えてしまう」という見方が生じたのは、やはり「4月下旬から一部PayPay加盟店でLINE Payが使えるようになっていく」という報道からだろう。ひとまずは、ユーザーが店舗のQRコードを撮影・決済を行なう「ユーザースキャン方式」の店舗に限られるようだが、親会社が統合し競合サービスも同じバーコードから支払いができるようになるのであれば、並行して別サービスとして運用していくメリットは希薄になっていく。行きつく先にサービスの吸収合併があると考えるのは自然な流れと言えるだろう。
国をあげてキャッシュレス決済の普及が推進されていることもあり、近年は様々なQRコード決済サービスが乱立している。PayPayやLINE Pay、「楽天ペイ」といったメジャーなサービスから、ゆうちょ銀行の「ゆうちょPay」、横浜銀行の「はまPay」をはじめとした銀行が運営するもの、岐阜県高山市・飛騨市「さるぼぼコイン」や東京都世田谷区「せたがやPay」など地域限定のサービスも登場している。
しかしそれだけ数が増えるとライバルサービスより優位に立つことが難しくなる。そのためユーザーも分散してしまい、各サービスとも業界のシェア争いに苦戦してしまうことに。日本のQRコード決済の草分け的存在でもあった「Origami Pay」も、大手資本を後ろ盾とした戦略を展開する新興勢力に敗れて2020年にサービスを終了してしまった。後年に振り返ってみたら、そこが群雄割拠から淘汰の流れへの転換点と言えるかもしれない。
今回PayPayがLINE Payと手を結んだことで、業界内での存在感はさらに増していくことは想像に難くない。既に絶対王者の地位を不動のものとしているPayPayは、このままさらなる独走態勢に入ってしまうのだろうか。
サービスが多すぎても選びづらいが、完全なる一強時代に入ってしまうと選択肢が狭まりすぎてしまうことも懸念点となりそうだ。今後のQRコード決済がどういった方向に進んでいくかを、しっかりと見守っていきたい。
参照元:PayPay・LINE Pay統合は「国内コード決済」のみ。LINE Payはなくならない【Impress Watch】