「株式会社スパコロ」の調査によると、現在利用している動画配信サービスのランキングは1位「Amazonプライムビデオ」、2位「Tver」、3位「Netflix」となったことが分かった。有料動画配信サービスでありながらAmazonプライムビデオが1位を取るという意外な結果になった。
今回はここまでAmazonプライムビデオがユーザーを順調に獲得している要因と、追随する他サービスの今後の動向について考えていく。
各社共にコンテンツ力に差はほとんどなし!それでも圧勝の理由は
スパコロの行なった「動画配信サービス利用率の調査」の結果が発表された。現在利用している動画配信サービスとして、1位・Amazonプライムビデオ(23.3%)、2位・Tver(16.0%)、3位・Netflix(9.1%)となった模様。2位であるTverが原則無料であることを考えると、有料動画配信サ-ビスでありながら、Amazonプライムビデオだけがここまで断トツの結果をたたき出すのは驚きだ。
各社共に、CM等の広告にて「完全オリジナル作品」、「独占配信」などコンテンツに力を注いでいることは見て取れる。そのなかで、ここまで多くの利用率を一人勝ちのように集められるのは、コンテンツ力の差だけではないのではないだろうか。
有料動画配信サービストップに絞ってさらに内訳を見ていこう。注目すべきは認知率と利用経験率の比率である。Amazonプライムビデオは、認知率60.0%、利用経験率26.9%。Netflixは、認知率54.4%、利用経験率11.7%。Huluでは、認知率55.7%、利用経験率10.9%。となっている。Amazonプライムビデオはサービスを知っている人の内、45%もの人が「使用したことがある」という結果になっている。他サービスが認知力と利用率の結びつけに苦労しているなか、効率的にユーザーを獲得している現状が見て取れる。
また、利用経験と現在利用率からみる継続率(定着率)においても、Amazonプライムビデオ(87%)、Netflixは78%、Huluで54%と最高のスコアとなっている。Huluに関してはおよそ半数近くのユーザーが離脱している。限定コンテンツを揃えたころで、視聴が終われば離脱していくという現代のユーザー心理が浮き出ている結果になっている。みなさんも「動画サービスを無料期間中に退会した」という経験はあるのではないだろうか。サービスの乱立と共に、ユーザーの退会への抵抗が低くなっているのだ。
一方で、Amazonプライムビデオの特徴は母体であるECサイトとの連動性だ。動画の視聴だけでなく会員になれば、ECサイトの配送料や配達時間での優遇を受けられる。この利点でユーザーは「買い物ついでに“とりあえず”契約してみる」といった窓口が大きくなる。同時に動画コンテンツを消費しきっても、「買い物でも使うから“とりあえず”契約継続」と引き留めにもなっているのではないだろうか。この“とりあえず”こそがAmazonプライムビデオの最大の強みになっていると考えられる。高い利用率と、定着率は「他の恩恵も受けられる」という面から来ているのではないだろうか。
総合力で戦うAmazonプライムビデオと、動画サービス一本の他サイトでは勝負は明らかである。しかし他社もこのまま黙っていないはず、他社もテコ入れを図れば「動画×他サービス」、この組み合わせが2021年のトレンドになっていくかもしれない。
参照元:(動画配信サービス利用率の調査)を公開しました。動画配信サービスの最新利用率ランキング!【株式会社スパコロ】
※サムネイル画像(Image:Juan Ci / Shutterstock.com)