現在、国が積極的に普及を推進しているキャッシュレス決済。「2025年までにキャッシュレス決済率40%到達」という指針を掲げ、目標到達のため「キャッシュレス・消費者還元事業」など官民が力を合わせて“脱・キャッシュレス後進国”へと歩みを進めている状況だ。そんな中、経済産業省からキャッシュレス決済の実態調査アンケートの結果が発表されている。今回は、日本でも着実に進んでいるキャッシュレス化についてお伝えしていきたい。
キャッシュレス決済を導入している店舗は70%以上!
経産省は6月18日、2021年1月27日~3月31日に実施した「キャッシュレス決済実態調査アンケート」の結果を公表した。それによれば「キャッシュレス決済を導入している」と答えた店舗は72%となり、およそ4分の3の店舗で何かしらのキャッシュレス決済が利用できることがわかった。
キャッシュレス決済の種類別で見てみると、「クレジットカード決済」と「コード決済」はどちらも店舗導入率が55%と過半数を超えている。一方、「交通系電子マネー」「非交通系電子マネー」では、ともに25%に留まった。コード決済(QRコード決済)は、キャッシュレス決済の中でもかなり後発のサービスでありながら、各種電子マネーを軽々と凌駕し、長い歴史を誇るクレカと並ぶほど普及している様子が伺えた。
数年前まではその存在を知らない人も多かったQRコード決済が急速に普及したのは、「PayPay」の「100億円あげちゃうキャンペーン」をはじめQRコード決済サービス各社がこぞって大々的な還元キャンペーンを打ち出した成果に他ならないだろう。2019年10月1日の消費税率引上げに伴いキャッシュレス・消費者還元事業が実施された際にも積極的なキャンペーンを打ち出し、それを機に「QRコード決済を利用しはじめた」という読者もいるのではないだろうか。
決済の種類別に各地方の普及割合を見ていくと、クレカ決済は関東エリアの店舗で60.8%と全国で最も高い導入率を記録した。2位にも北海道東北エリアが57.5%でランクインし、東高西低とも言える普及具合を見せた。
一方で気鋭のQRコード決済はというと、中国四国エリアで64.2%という驚異的な割合を見せた。ほぼ3軒に2軒という高い割合でQRコード決済が利用できるのはユーザーからすると非常にありがたいことだろう。しかし意外にも関東エリアでは導入率49.7%と全国6地域で唯一50%を下回った。新しい決済方法でもあり流行の発信地とも言える東京を中心に普及しているのかと思っていたが、意外な結果と言えそうだ。もしかすると「もうクレカは導入しているから」と、わざわざ新たな決済方法を入れるのをためらった店舗が少なくなかったのかもしれない。
この調査で明らかとなったのは、キャッシュレス決済の利用率ではなく店舗導入率だ。店で導入していたとしても現金払いをするお客も多いことだろう。しかしキャッシュレスが使える店舗が増えれば、キャッシュレスユーザーがキャッシュレス決済を利用する回数も増えるのは自明の理。
果たして“2025年に40%オーバー”の目標を達成することはできるのだろうか。今後の公式発表に期待したい。
出典元:キャッシュレス決済実態調査アンケートを行いました。【経済産業省】