大手キャリアも続々対応の「eSIM」って何? メリットとデメリットを解説

いよいよ大手キャリアでも取り扱いが始まった「eSIM」。「eSIM」とは従来の物理的な「SIMカード」と違い、スマホ本体に内蔵されたSIMのことで、キャリアの乗り換えが簡単になったり、料金が安くなるといったメリットがあるが、イマイチよく分かっていないという人も多いのでは? そこで今回は、そもそも「eSIM」とは何なのか? どんなメリットやデメリットがあるのかじっくりと解説したいと思う。

大手キャリアも取り扱いを開始した「eSIM」って何?


 当初はIIJmioや楽天モバイルなど、一部の会社しか扱ってこなかった「eSIM(イーシム)」だが、今や大手キャリアのドコモ、au、ソフトバンク、サブキャリアのUQ mobile、Y!mobile、格安料金プランのahamo、povo、LINEMOなども、すべて「eSIM」を提供するようになった。

 そもそも「eSIM」とは「Embedded-SIM」の略で“埋め込まれたSIM”という意味。従来のスマホは「SIMカード」と呼ばれる電話番号などのデータが書き込まれたICチップ搭載カードを差し込むことで、電話やネット接続ができるようになっていた。しかし、「eSIM」対応スマホであれば、本体に書き換え可能なチップが内蔵されており、キャリアの新規契約や乗り換えも、自宅にいながら「eSIM」のデータ(プロファイル)を書き換えるだけでよくなる。もちろん、「eSIM」は電子回路の一部に埋め込まれているので、SIMカードのように抜き差しすることはできない。

これまでのスマホは、物理的に抜き差しできるICカードの「SIMカード」を利用していた(上写真)。キャリアを乗り換えるときは、このSIMカードを交換する必要がある(下写真)

「eSIM」は、スマホ本体の基盤に組み込まれた書き換え可能なチップのこと。SIMカードのよに入れ替える必要はなく、キャリアの公式サイトからプロファイルをダウンロードして「eSIM」に書き込めばOK!

「eSIM」にはどんなメリットがあるの?

 それでは「eSIM」には、いったいどんなメリットがあるのだろうか? 「eSIM」が本領を発揮するのは、何といってもキャリアの新規契約や乗り換えのときである。従来、スマホの契約はわざわざショップのお店に行って店頭で手続きしたり、ネットで申し込める格安SIMであっても、契約してから2〜7日程度はSIMカードが郵送されてくるのを待つ必要があった。

 だが、「eSIM」ならネットで申し込めば、その場ですぐにキャリア乗り換えが完了するのである。もちろん、申し込み時はスマホのカメラで身分証や本人の姿を撮影する「eKYC(オンライン本人確認システム)」を利用することになるが、自宅にいながら数十分でスマホの契約が完了するのは素晴らしい。

 また、「eSIM」対応スマホは物理的なSIMカードスロットも備えているので、メインキャリアはSIMカード、格安SIMは「eSIM」の「デュアルSIM(DSDV)」運用も可能となる。そのため、従来よりもスマホ料金をかなり安く済ませることもできるのだ。デュアルSIM運用については→こちらで確認してほしい。

 たとえば、音声SIMは1GBまで0円で電話がかけ放題の「楽天モバイル」にして、ネット接続は格安SIMの「IIJmio」のデータ専用「eSIM」を利用すると、月額440円で月2GB+電話かけ放題という驚くべき低価格でスマホを運用することも可能となる。これについては→こちらの記事で確認してほしい。

こちらは楽天モバイルでの「eSIM」申し込み手続き画面。ネットから「eSIM用プロファイル」をダウンロードするだけで開通手続きが完了するのは便利だ

こちらはドコモ回線の格安SIM(SIMカード)と楽天モバイル(eSIM)の、デュアルSIM運用の設定画面。2つのSIMカードのアンテナが2本立っているのが確認できるはずだ

(Image:iijmio.jp)

IIJmioが提供する「eSIM」はドコモ回線のデータ専用になるが、月2GBで月額440円、月4GBで月額660円、月8GBでも月額1,100円という安さ。しかも、2021年10月末までは1GB増量キャンペーン中だ

「eSIM」対応のスマホってどんなものがあるの?

 キャリアの乗り換えが楽になったり、スマホの料金を安くすることができる「eSIM」だが、残念ながらどんなスマホでも利用できるわけではない。「eSIM」を利用できるのは「eSIM」に対応したスマホだけでなのである。とはいえ、最近は「eSIM」対応スマホも増えており、たとえば、iPhoneXS・XR以降のiPhoneはすべて「eSIM」に対応しているし、Googleの「Pixel」シリーズや楽天のオリジナルスマホ、OPPOの一部機種などが対応しているので、もしスマホを買い替えるなら、今後は「eSIM」対応機種かどうか確認しておいたほうがよいだろう。

iPhoneならXS/XRシリーズ以降がすべて「eSIM」に対応する。また、ソニーの「Xperia 10 III Lite」やシャープ「AQUOS sense4 lite」など、日本メーカー製スマホも対応しつつある

(Image:ALDECA studio / Shutterstock.com)

最近のiPhoneなら「eSIM」に対応しているので、物理SIMカード(nanoSIM)と「eSIM」のデュアルSIM運用も可能となっている

おサイフケータイ&防水・防塵対応で高性能な「OPPO Reno5 A」はeSIM+nanoSIMのデュアルSIM対応で、SIMフリー版が4万円以下で購入できる。ただし、Y!mobile版は「eSIM」非対応なので購入時は注意したい

「eSIM」に何かデリットはないの?

 ここまでの説明で「eSIM」にはメリットしかないように思えるが、何かデメリットはないのだろうか? まず、「eSIM」を利用するには「eSIM」対応スマホが必要になるが、わざわざ「eSIM」を使うためだけにスマホを新調するのはバカげている。すでに「eSIM」対応機種を持っている、あるいはキャリアの乗り換えで「eSIM」対応スマホを激安で買えるのならアリだろう。また、「eSIM」対応機種でも現状では「SIMロック」されている機種もあるので、キャリアを乗り換えるときはSIMロック解除が必要になる点も注意したい。もちろん、「eSIM」を使いたいなら事前に各キャリアの公式サイトで、必ず「eSIM」対応スマホを確認しておくこと。万一、リストにないスマホを購入して「eSIM」が使えなくても文句は言えないぞ。

(Image:au.com)

こちらはauの「eSIM」対応リスト。iPhoneは問題ないが、Androidスマホに関しては「Google Pixel 5」しか対応リストにない。単に検証していないだけだと思うが、それ以外の機種は自己責任ということになる(au公式サイトより)

●IIJmio「eSIM」(公式)は→こちら

文=すずきあきら/編集・ライター

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